194/242
太陽のような笑顔で
「…………」
しばし、無言で手紙を握り締める。もう幾度も目にした、なんとも愛嬌溢れる丸文字で綴られた友希哉の手紙を。……だけど、どうしてだろう。こんなに近くにあるのに、いつの間にか文字が霞んでいって――
「……随分と、久しぶりだったんだ。友希哉が、笑顔を見せてくれたのは」
「…………へっ?」
すると、ふと届いた声に顔をハッと上げる僕。……しまった、こんな情けない顔を……だけど、霞んだ視界でもはっきり分かるほど、お二人の表情は柔らかな暖かさに満ちていて。
「……僕らも詳しいことは知らないんだけど、友希哉は昔、恋愛事で辛い思いをしたみたいでね。それ以降、あの子が笑ったところを見たことがなかった。
だけど、二年前のある日……久しぶりに、あの子の笑顔を見た。僕らがずっと、ずっと見たくて仕方のなかった……いつかまた見れると待ち焦がれていた、あの太陽のような笑顔で言ったんだ。好きな人ができた、とね」




