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もう、あんなことは――
「……音咲くん」
そう、微笑み告げる音咲くん。そもそも疑う理由なんてないけれど、その表情からも感謝の気持ちがひしひしと伝わる。だけど――
「……ううん、僕は精々きっかけを作っただけ。君たち二人が仲直り出来たのは、お互いを真摯に想い逃げずに向き合った結果……だから、感謝なんて必要ないよ。でも、ありがとう音咲くん」
「……いや、なんであんたが」
そう伝えると、呆れたように微笑み答える音咲くん。そんな彼に、再び口を開いて――
「……ねえ、音咲くん。もう、あんなことは言わないでほしいんだ。人を好きになる資格がないなんて、そんな悲しいことはもう二度と」




