150/242
ほんとに冗談?
「さて、冗談はさておき――」
「うん、ほんとに冗談だよね?」
その後、そんな彼女の前置きに思わず被せてしまう僕。……うん、ごめんね? でも、つい。
……まあ、もちろん美男美女に関し全く否定はないんだけども……でも、偶然だよ? ええ、もちろん偶然ですとも。まだまだ不束な身ではあるものの、決してそのような差別は――
「……その、覚えていますか? 以前、お弁当を作ると申し上げたのを」
「……あ……うん、もちろんだよ蒔野さん!」
「……お忘れでしたね?」
「……あ、えっと……はい、ごめんなさい」
すると、僕の――我ながら白々しい僕の返答に白い目で尋ねる蒔野さん。うん、その……はい、ごめんなさい。




