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新たな問題?
――それから、およそ二週間経て。
あれからも、昼休みの度に中庭へと――音咲くんの下へ訪れては、厚かましくもベンチにお邪魔する僕。最初こそ怪訝そうな反応だったけど、僕のしつこさにも慣れてくれたのか、一週間経た辺りから呆れたような反応になっていて。そんな彼の様子に、少し安堵を覚え……いや、安堵もおかしいけども。
ともあれ、最初に比べ少し会話も続くようになってきた。少しずつ……本当に少しずつだけど、距離を縮められている気がしなくもない。もちろん、非常に良いことだ。……良いこと、なのだけど――
「――おや、随分とご無沙汰ですね由良先生。私のことなど、すっかりお忘れになっているものかと思っていました」
「……いや、決してそんなことは……」
ある日の昼休みのこと。
屋上のベンチにて、満面の笑顔で告げる黒髪の美少女。……うん、ほんと困ったね。




