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心臓が保ちません?
「あれから、実際にお姉ちゃんがお母さんに話してくれたみたいで。あの翌日、お母さんが病室に来て謝ってくれたの。今までごめんねって」
「……そっか」
その後、嬉しそうにそう話す久谷さん。そんな彼女の笑顔に、改めて僕も安堵を覚える。……うん、ほんとに良かった。
その後、少し他愛もない話をした後じゃあねと手を振り去っていく久谷さん。そんな彼女に、僕も手を振りまたねと答え――
「――あ、そうだ先生」
すると、ふと振り返りそう口にする久谷さん。ん? いったい、どうしたの――
「――私も、狙っちゃおうかな? 蒔野さんみたいに」
「……っ!? ……へっ、いや、でも……」
「ふふっ、冗談だよ。やっぱり面白いね、先生」
そう、悪戯っぽい微笑で言い残し改めて去っていく久谷さん。……ふぅ、ほんと心臓に悪――
「……おやおや、随分とおモテなようで……何よりですね、由良先生?」
すると、後方から届く冷え冷えとした声。……うん、ほんと心臓に悪いなぁ。




