124/242
僕の意思
さて、そういうわけで僕らは計画通りに事を実行――まあ、計画と言っても例の件を各々話しただけなんだけども。……それに、結局のところ久谷さんを救ったのはやはり――
「……蒔野さん?」
ふと、声を洩らす。隣にいる蒔野さんが、ぎゅっと僕の手を掴んだから。でも、急にどうしたの――
「……その、嬉しかったです」
「……へっ?」
「……僕の意思だと、言ってくれたこと。例え、私のための嘘であっても……私とのキスを僕の意思だと言ってくれたこと、本当に嬉しかったです。だから……ありがとうございます、由良先生」




