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最低だね、先生?
思いも掛けない蒔野さんの発言に、思わず声を上げたのは久谷さんでなく僕。いや、流石にそれは予想外にも程が――
「……あの、先生……いったい、それは」
「いや違うよ久谷さん! ……いや、違わないかもしれないけど……あの、蒔野さん? なんで、このタイミングでそれを?」
「へっ? ああ、私が久谷さんに感謝しているのは、あの件のお陰で由良先生に救ってもらえたからで……そして、それが結果的にあの夜に繋がって……ふふっ、少し先走ってしまいましたね、えへっ」
「そんなキャラだっけ君!?」
すると、最後の方に片目を閉じちょっと舌を出す蒔野さん。いやそんなキャラだっけ君!? あと、先走りというかそれはもはや――
「…………ふふっ、ふふふっ……そっか、最低だね、先生?」
すると、ふと前方から届いた声。見ると、何とも堪えきれない様子で笑う久谷さん。そんな彼女の様子に、僕らは顔を見合わせ微笑んだ。




