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沸き上がる念
初日のホームルームにて、簡潔な自己紹介をする女子生徒。いや、簡潔と言うより最低限? ともあれ、あまりに愛想のない……と言うか、まるで感情すらない様子の彼女に、さっきまでの楽しい雰囲気が一気に重く――
ただ、それはそうと……随分、綺麗な子だな。自分で言うのもなんだけど、容姿にはそれなりの――いや、相当の自信がある。あるけれど……正直、敵わない。認めたくはないけど、まるで敵わない。
まあでも、それは良い。何が良いのかはともかくそれは良い。私が衝撃を受けたのは……彼女が立ち上がったその瞬間、ある種の直観が働いたから。恐らくは、彼女が何かしらの――姉に近い種の、何かしらの病気を抱えているという直観が。
そして、ほぼ同時――俄に私の奥底から沸き上がってきたのは……我ながら何とも身勝手極まりない、底知れぬ憎悪の念だった。




