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第48話 寝起きの相棒


ダンジョンの外に出た。


午後の陽射しが、薄暗い地下の空気を一掃する。


リナとティアが、手の中のクレープを美味しそうに頬張っていた。


「本当に美味しいわ。冷たいクリームが疲れた体に染みる」


「はいっ。生地もホカホカで、とっても甘いです」


二人が無事に笑っているのを見て、カイも小さく息を吐いた。


その時。


カイのローブのフードが、もぞもぞと動いた。


「キュル?」


フードの中から、小さな頭がひょっこりと顔を出す。


フォルだ。


パチパチと瞬きをして、短い前足で目をこすり、ふわぁと小さくあくびをした。


「……おはよう、フォル。よく眠れた?」


カイが指先でその頭を撫でる。


フォルは気持ちよさそうに目を細め、「キュル」と短く鳴いた。


「えっ。フォル、ずっとそこにいたの!?」


リナがクレープを持ったまま驚く。


「うん。僕が歩いても振動が伝わらないようにしていたから、ぐっすりだったみたい」


カイは淡々と答える。


ダンジョンの凶悪な罠も、マッドスライムの奇襲も、ジークの怒号も。


フォルにとっては、一度も目を覚ます理由にならないほど「無音で無振動」だったのだ。


リナは、手元の冷めないクレープと、寝起きのフォルを交互に見る。


「……あなたたち、本当に緊張感がないのね」


リナは呆れたように一つ息を吐いた。


ワーワーと騒ぎ立てる気も起きない。


ただ、この規格外の少年と一緒にいると、世界の危機すら日常の些事に思えてくる。


「……まあ、美味しいからいいけど」


リナは小さく呟き、残りのクレープを口に運んだ。


アルトの空は、今日もよく晴れていた。


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