死人を飼う
「死飼いって何なんだよ」
白の英字パーカーとピンクの膝下のスカート、黒いタイツに室内でも白のスニーカーを履いて、ボブカットを揺らす童女に僕はついに問いかけた。
かなり投げやりな気持ちで。
「死んでる人と暮らしてご飯あげたりすることだよ! 私のばあい、ご飯は『オシャベリ』! お兄さんのお名前はなぁにー?」
こともなげに、童女は僕に聞いてきた。
しかし、名字を言えば良いのか、下の名前を言えば良いのか。
「僕はその……君とお喋りしていたら『死飼い』が成立するの? 君を飼うメリットとデメリットって何なんだ、なんで生き物を飼えないんだ……?」
僕は手で目を覆っていた。君は誰なんだ、を聞くのを忘れてしまったと他人事みたいに考えていた。
「しつもんが多いよう。えっと、えっと、死飼いをすると、なんか、お家賃? 分だけちょっと良いことがたまに起きたりするみたいだよ。あたしは道が見えなくなっちゃって、でもこのお家だけ輝いて視えて、だからここに来てペット飼いたい人が四階に来るのを待ってました。このお家についたら、四階においでおいでされてね、四階に行ったの。それでお兄さんとはじめましてってごアイサツ出来たから一緒に住むんだよ。悪いことはご飯くれないとあたしが泣いちゃうこと! 生きてる子を飼っちゃいけないのは、死んじゃった子とこの四階に嫌われちゃって、生きてる子を飼っちゃった人がおなかすいちゃうこと!!」
女の子はつっかえつっかえ、僕に『死飼い』の説明をした、彼女なりに丁寧に。
「ご飯……がお喋り……か」
僕はもうただだらしなく、笑って手を目からはなし、俯いた。




