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転生しても受難の日々  作者: 流星明
山積する諸問題を解決せよ
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第75話 ミューズ復活と元教え子との再会

お待たせしました。

エアリアル公爵との会談も終えた俺は、アヤメとネリスを連れて帝都にテレポートで戻る。なかなか苦労人の良い人だった。やはり苦労をしている人を見ると親近感が沸くよなあ。


リーザとレイは、1週間後にエルバンス城で行われる論功行賞に招かれているらしい。そのままリーザ達は帝都に住めるようで、彼女は嬉し泣きをしていた。


レイの方は公爵家の仕事があるので、領地に帰るそうだ。ただ、帝都にも定期的に顔を出すし、領地に遊びに来るよう約束させられたが。


「ここがアルゼナの教会か。中は入った事が無いが、外から見るになかなか立派な建物だぞ。ここでミズキとミューズさんが育ったんだな」


白い壁にはめられたステンドグラスが、太陽によって輝いていた。描かれたアルゼナは‥‥美化しすぎじゃないか? 体型盛ってるし、顔も美人過ぎるだろ! 職人の人は実物見てないんだろうなあ。


「アルゼナ神は神々の中でも最強と目される方です。信仰する人々も多く、寄付金もかなりの物と聞いている。我は母が敬虔なラーナ神の信者だから縁遠いがな」


「私は父の影響でアルゼナ神を信仰しています。実際に会ってみると破天荒な神様でしたが。父の言っていた通りの方で驚きましたよ」


2人は今のところ争ったりしなさそうだ。因縁があるだけに心配してたが、杞憂ですみそうだな。おや、シスターがこちらにやって来るぞ? って、よく見たらミズキじゃないか!


なんでシスターの服を着てるんだろう。青い色のローブ、胸が強調されてなかなか‥‥痛っ! あのアヤメさんにネリスさん、脇腹つねるの止めてくれませんかね!?


「ユウキじゃない。アルゼナ様がユウキが来るって、言われたけどどうかしたの? 後ろにいるのは、アヤメさんと‥‥誰かしら?」


「初めまして、我はネリス=リーキッドです。この度、ラーナ神の神託により、ユウキの恋人となりました。ミズキ殿は先達としてご指導よろしくお願いします」


「‥‥ユウキ、この子の言葉使い固すぎなんだけれど!? まあ、ラーナ神から送り込むって言われてたから覚悟はしていたわ。でも、少し安心した。こんな堅物なら私の敵じゃないわね」


ミズキ、止めてあげて! 無神経な一言でネリスが怒ったぞ。


「ふ、ふん。噂で聞いていたけど相変わらずの猪みたいね? 前世の記憶を取り戻して、少しは頭を使うようになったと思ったけれど。私の実力を見抜けないなんて貴方の目は節穴かしら?」


あっ、ネリスさんの鎧が外れて素の彼女が出てきた。まあ、今回はミズキが悪いな。本人目の前にして、貴女は敵じゃないって挑発以外の何物でも無いから。さて、あまり酷くならない内に介入しようか。


「へえ、言うじゃない。私とやり合うつもりなら相手をしても‥‥痛ああ!!」


「はい、はい。静かになさい、ミズキ。まったく、ミューズだった頃に比べてお転婆が増したわね。こんにちは、ユウキ様御一行。アルゼナ様を祀る教会へようこそ。ミズキの母のクイナ=アルセと申しまして、ここで神官長をしてます。皆様、娘をよろしくお願いしますね」


ミズキの頭を思い切り杖で殴った女性は、何事も無かったかの様に穏やかに微笑む。ミズキに似ているが、怖さが段違いだ。だって、躊躇(ちゅうちょ)無く娘の頭に杖を振り下ろしたもの。普通なら頭割れてもおかしくないぞ。


俺達が来る事を知っていると言う事は、アルゼナが神託を伝えたのかな? ミズキの母親が神官長とは驚いたが、もっと驚いたのはミューズがミズキに変わったと認識している事だ。


「クイナさんは驚かないんですか? その、ミューズさんがミズキに‥‥」


「私にとって、娘は娘ですわ。ミューズとミズキは2人で1人の存在になったみたいです。『入れ替わる事があるから、大変だけどよろしくね』とアルゼナ様に言われました。ミズキが教会に戻った事で、ミューズの人格が活動出来るようになったみたいですよ」


「ユウキが来る前までは、ミューズさんの人格を出してたわよ。子供達に不審がられないようにね。‥‥はあ、私に色々と忠告と説教を言ったりしてきて大変だけど。『もう少し、ユウキの事や周りの女性の事を考えなさい』とかね」


あれだ、有名なカードゲームの主人公みたいな状態になったのか。ミューズさんが消えてしまったのかと、不安になってしまったが良かった。おっと、感傷に浸るのは後回しだ。


「ええと、実はここに来たのはその‥‥」


「はい、娘が嫉妬にかられて何かすると心配して来られたのでしょう。ご安心下さい。ロウ側の接触者はありましたが、娘は断りました。接触者は地下に居ますのでお会いになりますか?」


「あのねえ、私がアイラを殺す訳無いでしょ!? あの娘、わざわざユウキの事を教会に来て近況とか教えてくれるんだから。最近は寄付もしてくれるし、お菓子を配ったりしてくれるから孤児の子達もすっかり懐いてるわ。ミューズも感謝してるわよ」


アイラの慈善事業に感謝しかないな。俺には過ぎたる嫁さんかも知れない。


‥‥ミズキはともかくとして、クイナさんは怖い女性な気がする。だって、普通なら断った接触者は帰るはずなのに地下に居るって。絶対に監禁してるよね!?


「会いましょう。どういった人物なのか見定めなければなりませんから。ミズキ、ありがとう。これからもアイラと仲良くしてくれ」


「ま、まあマヤさんやユイさんよりは仲良く出来そうよ。じゃあ、皆付いてきて。私にアイラさんを殺して欲しいって依頼をした奴の所に案内するから」


2人の後を俺達は付いていく。すると教会の近くに小さな小屋があった。クイナさんがドアを開けると地下への階段が現れる。俺達が階段を降りていくと声が聞こえてきた。


「おい、俺はロウ=ファルディス様の側近たるコウタだぞ!! こんな所に閉じ込めたら、後でどうなるか分かっているのか!?」


「相変わらず、品の無い話し方ですね。コウタ様でしたか? アルゼナ様が転生させたにしては、オツムが残念ですわ」


コウタ? もしかしたらと思って神眼を発動させてみる。間違いない、俺の教え子だった。小西広太は警察官の息子だったが、粗暴な性格で親御さんも困っていたな。


剣道部に所属していて、そこで出会ったユイを彼女にしたいと狙っていたらしい。しかし、ユイが強烈な肘鉄を食らわせたようで、以後はおとなしくなっていたんだが。


「いいか、ユウキ=ファルディスは恩を仇で返すような男だ。そんな男の子を宿したアイラお嬢様も敵になったと見ていい。ならば、機先を制するのは当然だろうが!」


「ふう、こうも愚かな人間が側近とは。ロウ=ファルディスの底が知れますね。初めまして、アヤメ=ルビアスです。こちらの方は言わずとも構いませんね」


アヤメさん、俺を矢面に立たせないでくれないかね? 見てごらん、いきなり本人の登場でコウタ君が固まったよ。とりあえず、まずは話を聞いてみるか。


「どうも、恩を仇で返すユウキ=ファルディスだ。久しぶりに会ったというのに、随分なご挨拶だな。小西広太君」


「なっ! 俺の名前を知っているのか。誰だ? クラスメートにユウキなんて‥‥まさか!」


少し考えてからようやく俺の正体に気付いたようだ。コウタは怒りの表情を浮かべて、牢屋の鉄格子を掴んで食って掛かってきた。


「てめえ、不死鳥じゃねえか! 1人だけ異世界生活を楽しみやがってええ!! 女性5人のハーレムを作ってんじゃねえよ。しかも、立花結唯まで‥‥ちくしょうがああ!」


だから不死鳥と呼ぶの止めい。前世でもだが、異世界でも恥ずかしいんだよ! 俺が何か言おうとすると、アヤメが手で制して前に出る。


「情報が古すぎです、無能が。今やご主人様は7人のハーレムを形成しております。エアリアル公爵家レイ様とリーキッド候爵家ネリス様が加わりました。ネリス様、一言どうぞ」


「な、なんで我に振るんだ!? ええと、ユウキの妻になる事が確定のネリスだ。よ、よろしく?」


「アヤメさん、そんな情報教えなくて良いから!! ただの自慢にしか聞こえない。あとネリスに無茶振りしない! 困ってるだろうが」


コウタを見れば、顎が外れんばかりに驚いているのが見てとれる。いや、気付いたらこうなってたからな? 色々な神様の思惑絡んでるから、ややこしいだけだぞ。まあ、受け入れたからには幸せにするけどな。


「ふ、ふざけんなああ!! 教師の癖に異世界を堪能しやがって! 小説の展開なら、すぐ死ぬか足手まといになるはずの奴が何でええ!!」


小説じゃ、確かにそうだなあ。俺みたいなポジションの人物って基本ハブられたり、すぐに殺されたりするし。そうなっていないのは、アルゼナのおかげかも知れない。時折、とんでもない事をするが感謝はしないといけないか。アルゼナ、ありがとう。













次回、元教え子への尋問。

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