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転生しても受難の日々  作者: 流星明
邪神と聖女との出会い
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第60話 衝撃の事実発覚!?

お待たせしました。アイラ視点の話です。

「この辺りの街道にはいないみたい。アヤメさん、何か分かりますか?」


ユウキがいなくなってから2日。私達は街道の宿場町を探しつつ北上を続けた。あの後、マヤ様やレイさんによる聖国関係者への聞き取りを行った。その方法は‥‥怖くて言えない。


結果、陸路と川の2つのいずれかのルートで聖女がビトリア聖国に帰還したとの情報を得た。私とアヤメさんは陸路をミズキさんが川を探索しているけれど、どうなってるかしら?


「おそらく、犯人は陸路じゃなく川から船で聖都に向かったと思います。聖女がお忍びとはいえ、馬車1台で移動はありえないですし。アイラさんのテレポートで街道を先回りしているのに、見つからないなら間違いないでしょう」


そうなのよね。聖国関係の馬車は幾つか見かけたけれど、聖女がいる気配が無い。護衛の騎士もいたけれど少なすぎるし。やはり、馬車は私達の目眩ましだったようね。


はあ、ユウキって何でこんなに誘拐されるのかしら。今回でしょ、暗黒教団の時でしょ、後は盗賊ギルドに捕まった時もあったわ。あの時は助けに行った時、恐怖のあまりユウキは失禁してたわね。普段は子供っぽくないのに、ああいう所は子供らしいと安心したっけ。


「こうなったら、聖都ダルティンノブールに直接行くしかないかな? ミズキさんは飛び出して行っちゃったし、ユイと皇女様はイライラしてるし、リーザさんは泣いてるしで大変。早く連れ戻さなきゃ」


聖都ダルティンノブール。ビトリア聖国の中心にして極光教の総本山か。街並みも美しいし、歴史的建築物も多い。だけれど、それがスラム街を覆い隠す形として存在している。正直、私は好きな街ではないな。


「‥‥貴女は落ち着いてらっしゃいますね。取り乱すかと思いきや、冷静ですから」


恋敵の前で泣いてたら、話にならないからよ。今でも泣きそうなの我慢しているんだから。アヤメさんか。強大な恋敵だけど、戦いになったらユイ以上に頼りになりそうね。


ユイからも『アヤメの監視とユウキ兄ちゃんを探すのをお願い』って、頭を下げて頼まれてる。戦争では足手まといだったけど、ここで頑張らなくちゃね。


「これでも動揺はしてるわ。でも行動しなければ何も変わらないでしょ? それに、ユウキとテレポートを使った鬼ごっこをよくしてたから探すのは得意よ」


主に帝都限定だったけれどね。見える範囲に移動するという縛りを付けて、後はひたすら走ってテレポートで逃げる遊び。おかげで体力と魔力、あと精神力を鍛えられたわ。最初は皆に見られて恥ずかしかったけど、慣れてきたら何とも無くなった。


今思えば、あれは外に私を連れ出す口実だったんだと思う。人に慣らす為の荒療治過ぎたけれど楽しかったわね。


「‥‥なんか、すごい遊びをしていたんですね。ただ、相手は妨害魔法を使っていますから、魔力はたどれません。同じ理由で通信魔法も使えません。何回か連絡していますが、『魔力の届かない場所にいるか、気絶及び死亡している為、連絡出来ません』って言葉が流れるだけ‥‥」


気づけば私は、アヤメさんの胸ぐらをつかんでいた。何その便利な魔法!? 魔法学院では習わなかったし、書物にも載ってなかったんだけど。ぐぬぬ、こうなったら‥‥。


「ねえ、アヤメさん。恋敵とはいえ、勝負は公平かつ厳正に行われるべきではないかしら? 私もテレポートという強力な手札を持っているけれど、さすがに通信魔法以上の力は無いと思うわ。だから‥‥教えろ!!」


「必死ですね、アイラさんは。あなたなら構いませんよ。ご主人様を思う女性陣の中で最も信頼出来ますし、いざという時にテレポートが役立ちますから。では、通信魔法の登録を行いますね」


私から離れたアヤメさんは何やら魔法で文字盤を呼び出した。それにアヤメさんが文字を書いていくと私の名前が宙に描かれる。名前が光輝くと勢い良く私の体に入っていった。えっ、これで終わり? 驚いた私を尻目に、アヤメさんがこちらを向いて、心の中に語りかけてきた


『1月程前に、ご主人様の初めてを無理やり奪った方ああ。聞こえますかああ!?』


『ちょっとおお、第一声がそれって何よ! ま、魔力封じて、媚薬使って押し倒しただけよ。わ、悪い!?』


『あえて言わせて頂きますが。正気ですか!?(ケ〇コバ風味) 男と女が逆だったら、強姦と言われても文句言えませんよ』


うぐっ、痛いところを突いてくるわね。た、確かに犯罪に近いのは認める。でも、ユウキを繋ぎ止めたかったの‥‥あ、あれ? なんか気分が悪くなった。ここ最近、体調がずっと悪いのよね。戦争中だったから黙っていたけど。


『だ、だって不安だったのよ。いつか、私のユウキが遠くに行っちゃいそうで。そうなる前に‥‥うっ、うう。うええ!』


あまりの気持ち悪さに私は吐いてしまった。‥‥なにこれ、私はどうしちゃったの? ふとアヤメさんに目をやると、人の悪い笑みを浮かべてこちらを見ていた。こ、怖いから止めて?


「‥‥今気付いたんですが、まさか1回で決めてしまうなんて。さすが、ご主人様です。アイラさん、あなた妊娠してますよ。しかし、神眼持ちが2人もいて気づかないものですかね?」


通信魔法を切って、信じられない言葉をかけてきたアヤメさん。待って、理解が追い付かない。


「え? ええええ!! 私も今聞いて驚きましたよ。私が、私が妊娠。ユウキの子供がこの中に‥‥」


私は驚きながらもお腹を優しく触る。正直言うと嬉しいな。ボルハ達に犯されそうになり、私は家族から傷物扱いされた。やってくる縁談は、年寄りの後添えか少女好きの男性ばかり。鬱になり、部屋に引きこもっていた私を助けてくれたのがユウキだった。


当たり散らしたり、テレポートであちこちに跳ばしたり。私は彼に酷い事をしたわね。なのに彼は諦めもせず、私に優しく接してくれた。いつしか、私の心の中で彼の比重は増えていく、加速度的に。今、私は断言出来る。もし、ファルディス家とユウキが対立するなら、私は彼に付いていく。例え、お父様達を裏切る事になっても。


「ふむ、良い顔になりましたね。女であると同時に貴女は母親になったんです。これからが大変ですから、ご自愛下さい。おや、紙と箱が天上から降りてきましたね」


私にも見える。青空の下、光の柱を通して、それが降りてくるのを。アヤメさんが受け取り、便箋から手紙を取り出す。便箋には女神アルゼナのサインが書かれていた。えっ、アルゼナ様からの贈り物? この段階で!?


「ふむ、読み上げますね。『初めまして、アルゼナです。まずは妊娠おめでとう。ユウキ君、精力強すぎぃぃ。まっ、私がスキル与えたのが原因だけどね~~。前置きはさておき、これをあげよう。魔力遮断のペンダントだよ。実は妊婦がテレポート使うのは危険なんだ。下手したら流産しかねないからね。そこで、このペンダントの出番。これなら体に過剰な魔力が入らないから母体に問題なく使えるから。母子共に頑張ってね!』だそうです。確かに、アイラさんがテレポートを使えないのは大きな痛手ですし、良かったですね」


箱を開けるとエメラルドの宝石が輝くペンダントが鎮座していた。箱から取り出した私は、すぐにペンダントを首にかけて首の後ろで金具を止める。アルゼナ様、ありがとう!


「悪くありませんね、お似合いですよ。おや? 2枚目がありました。『なお、ユウキ君とマヤちゃん達が気づかなかったのは私が隠ぺいしてたから。謹慎とけたら君ら戦争中だったし、ちょうど良かったねえ。あと、アヤメちゃんはともかく聖女は受け入れたくないなあ。正義の女神、面倒くせえ。なので、今から2人を彼のところに移動させます。場所は聖女の住む屋敷の貴賓室です。心の準備、OK? カウントダウン開始します。5、4‥‥』って、いきなりすぎませんか!?」


途端に私達の周りに光が集まり出しました。アルゼナ様には感謝しなきゃ、帰ったら教会に寄付しないと。


「アヤメさん、諦めましょう。アルゼナ様は自分の楽しみを至上に置く方ですから。とはいえ、探しているユウキの下に連れてもらえるんです。探す手間が省けたと喜びましょう」


待っててね、ユウキ。今助けに行くから。あの聖女はどうしてくれようかしら? 勝手にユウキを連れていく泥棒は、これを機に殺処分しなきゃね!












次回、2人と聖女とのガチバトル。

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