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うつろのゆめ  作者: 狛ノ上緒都
完結編:第二話「夜明け」
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夜明け 2-7



『夢じゃねぇっす、夢じゃねぇっすよ。ごめんなねーちゃん、今まで一人にして。ごめんな、アンタの家族を守りきれなくて』


シャオランは同じ言葉を、喉を震わせながら紡ぎます。

私達は額をあわせて、手を握り、鏡合わせの様に寄り添いました。


『いいえ、良いのです。良いのです。貴方がケガを負ってまで、あの子達を守ろうとした。貴方だけでも、生きていてくれてよかった』


シャオランは懺悔の言葉のように謝罪を繰り返しますが、彼だけでも生きていてくれた事が、私は何よりも嬉しいのです。

シャオランの傷だらけの手を強く握り、しばらく静かな病室で二人して涙を流しました。


二人落ち着いた頃に、修道服の袖でシャオランの涙を拭います。


「アリウス!」


シャオランは病室の外で控えていたアリウス様を呼びます。

アリウス様はゆっくり入ってきてシャオランのそばに控えました。


「本当にありがとう。オレの代わりにねーちゃんを護ってくれて。お陰でねーちゃんに会えた。ねーちゃんの心を壊さずに済んだ」


アリウス様は首を横に振ります。


「いいえ、俺はいつも通りの仕事をしただけです。あとはシャオランさんのケガが治るまで、引き続きマオさんの護衛に就かせて頂きます」


それも依頼なのか、私達を気遣ってかはわかりません。

アリウス様は教会の復興もありますので、と付け加えました。



静かになってしまっても、あの家にまた家族が帰ってくるのなら、私はあの家を守らねばなりません。

それに、子供たちとも向き合って、きちんとお別れを言いたいのです。


『シャオラン、ケガが治ったら、子供たちにお別れを言いましょう。先生なのに、まだあの子達にお別れを言えてないのです。シャオランお兄ちゃんの事だって、きっと待っていますから』


「ん、了解っす。いっぱい花を手向けてやろうっす」


シャオランは私の頭を、傷だらけの手で優しく撫でました。

風がカーテンを揺らし、その隙間からお日様の光が入り込みます。


穏やかな日の光に包まれて、私はシャオランに微笑みました。

あれほど来てほしくなかった朝が、ようやく私の下に帰ってきてくださった気がしたのです。





第二話「夜明け」終了




うつろのゆめ 完結




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