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legend stone ~伝説の意志~  作者: 田中稚夏
”三章” 二人の旅 梨乃登場
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可愛さの裏

「どうして貴方達は、私達をつけてきているのですか?」

 天使と悪魔の口論が終わった頃、私の前にいきなり少女が現れた。そして微妙に震えているような、高くて幼く可愛らしい声で言ってきた。

 歳は七歳くらい? ピンクでふりふりのワンピースと来て、同じくピンクの可愛らしいカチューシャを付けている。靴もピンク色で、小さい花のような飾りがついているわ。子供用のヒール、とかなのかしらね。髪はクリーム色でふわふわと、少女の太股辺りまで伸びている。前髪は少し長めで、目に掛かりそうなところまで伸びている。或いは、下を向いているせいでそう見えただけなのかもしれない。

 顔は大人しそうで、それでも決して地味という訳ではない。柔らかそうな頬は仄かに赤く、大きな目の上には長い睫毛がここからでも見える。身長は私よりも結構低いから、130cmもないんじゃないの?

「え? どこから、こんなに沢山の人が? 驚きですね」

 ふぇ? 悠馬が私に言って来ていた、まあ私は普通に驚いてるわ。悠馬、貴方のは演技なの? 見た感じ、演技派には見えなかったけど…。ああでも、見えてたかも。ごめん、分かんなくなっちゃった。

「つけているつもりはなかった、そう言うんですか?」

 背の低い少女は私達を見上げる体制になっているが、少女のその言い方には多少の威厳を感じた。

「貴方達、どこから現れたんですか? てか貴方は、誰なんですか?」

 悠馬は最後まで、恍け通すようだ。でもまあそれが、一番楽でいいわよね。

「私は山瀬やませ梨乃りのです、憶えておくといいですよ」

 山瀬梨乃? まあいいわ、憶えておいた方がいいなら憶えておく。しかしこの少女、一体何者なのかしら。

「梨乃さんですか、分かりました。宜しくお願いします」

 悠馬は笑顔で、梨乃と名乗る少女に頭を下げる。天然を装うって言うの?

「よ、宜しく? 宜しくするつもりはありません。もう着いて来ないで下さいね、次会った時には確実に殺しますから」

 とても可愛らしい満面の笑みで、ナイフを見せて来た。ナイフ? 魔王の部隊の隊長級なのでしょうに、そんな武器を使っているの…?

「ちょっと、冗談はやめて下さいよ。それに貴方達に、ついて行ったりしませんって」

 悠馬は普通の天然で暢気な少年を、最後の最後まで演じ通した。

「冗談では、ありませんよ。それではさようなら、もう会わないことを期待してますよ」

 上品に微笑み、少女は消えて行った。やがて周囲には、何の音もなくなった。

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