表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
20/45

第18話 衝撃

 バイト、祭り、家でゴロゴロと満喫した夏休みも終わり、毎日勉強する日々がまた始まった。


 2学期後半には文化祭も控えている。

 それに向けてクラスでは出し物決めが行われていた。

 

「じゃあ多数決の結果、クラスの出し物はたませんでいいですか?」


 私と朔は教壇に立ち、クラスの出し物を全体に確認する。

 全員に承諾をもらえたところで望月先生へとバトンを返し、席は戻る。

「たませんねぇ。作るのも簡単だし、美味いし。いいもの思いついたなー。じゃあとりあえずこれで文化祭のやつは終わって……あー次は」


 休みが明けてからも、千雅の表情はどこか晴れなかった。

 夏祭りの後、千雅からは家まで送っていけなかったことに対して謝罪メッセージが届いた。千雅にも事情はあったし、私は気にしていなかった、でも千雅にとっては心残りだったようだ。


 学校が始まった後、毎日話していた千雅との会話がかなり減った。夏休み前は、一緒に帰ろうと千雅からいつも来ていた誘いも、パタリと止んだ。

 千雅は授業が終わるとすぐに席を立ち、呼び止める間もなく教室を出ていく。


 ……今日も、話しかけられなかった。


「ちかちゃん、なんかあったのかなぁ?」

「まぁ、あの感じはなんかあったんだろうなぁ」


 由乃と拓真は千雅がさっきまで座っていた席を見つめている。帰る支度を終えた葵も会話に加わる。

「……なんか今の千雅って、『余裕無し』って感じだよね」

「あんなにべったりだったはるちゃんにも、なんか距離感じるもんなぁ〜」

 拓真の言葉に少しだけ心がズキッと痛む。

 昔は、千雅の話もたくさん聞けていたのに。

 中学から今までの数年間、その会えなかった時間は、私が思っていたよりもずっと大きかったのかもしれない。


「遥は千雅から何か聞いてる?」

「家の事で揉めてるとしか……」

「そっかー。家の事なら、うちらじゃ何もできないしね」

「……うん」


「……。」


 朔は何も言わない。それでも少し心配してるのか、みんなと一緒に千雅の机の方を見ている。

 千雅に声を掛けてあげたいけど、話すのが嫌で話さないのかもしれないし……。


 悩んでも答えは出なかった。

 

 ――――――――――――


 休日、バイト先にシフトを出してきた帰り道。

 

 あれからも、千雅は相変わらず忙しそうだった。休み時間にも何度か話しかけようと試みたけれど、「ごめんはるちゃん、今は余裕なくて……また話すね。ごめん。」と言われてしまった。


 思った以上に事は深刻なのかもしれない。


 私は考え事をして前を見ていなかった。

 マンションの入り口で反対側から来た人とぶつかってしまう。

「あっ!ごめんなさいっ!」

「……遥、大丈夫か?」

 

 朔が心配そうに私を見ていた。


「あれ、朔?どうしたの?」

「いやポストに荷物を取りに来たらちょうど遥が見えて。声は掛けたんだが……」

「え、あ!ごめん!考え事しちゃってた」

「千雅のことか?」

「……うん。」

「……遥は、千雅のことを」


「え、遥……朔?こんなところで2人とも何してるの?」


 マンションホールから驚いた顔の千雅が現れる。

 唐突な出来事に驚きが隠せない。


「千雅?!なんでここに?!」

「引っ越しの片付けひと段落して、ポスト確認しにきたんだけど……」

「引っ越しって、前言ってた……え?」

「ここの3階に引っ越してきたんだ。」


「え゛っ」


 遥の野太い声だけがその場に残った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ