番外編 セレナの野望① 電気
「ん〜インフラかなぁ〜」
つぶやくアルド。
「何よ、インフラって、分かるように説明して」
セレナが言う。
現在、俺、セレナ、エレナの3人で極秘会議を行なっている。今後の商会の事業計画の方針についてだ。ピーラー、梅酒、マヨネーズ、リバーシ、自転車——などのちまちましたビジネスはかったるいと言い出したセレナの要望と言うか強要みたいなものだ。(いや、随分と儲かってるだろ!と問い詰めたい)
姉のエレナは落ち着かせる。
「セレナ、落ち着きなさい。あまり、アルドを問い詰めないように」
セレナがアルドを缶詰めのように閉じ込めて激詰めされないのは、エレナが盾いや、防波堤になってくれるからだ。セレナが唯一勝てない(精神的に)のが姉のエレナだった。エレナと結婚していなければ、終わらない取り調べが行われ、異世界の知識を永遠と話すロボットになっていただろう。
ありがとうエレナ、君と結婚して本当に良かった。
そう、セレナがアルドを取り込む為に結婚させたのが、逆に足枷になった。セレナがアルドに対して行なった唯一の失策だった。
(ちっ、めんどくせーなぁ。こんな事なら、妾にして、夜の格闘技で制圧しておくんだったな、いや、クリストファーが嫌がるか)
アルドは何かを感じ、寒気が一瞬走った。
おっと、短気なセレナにはまず結論から話さないとだったな。
「あーごめん、ごめん。えっと、そうだな。国民のあらゆる生活に関わる行動からお金を巻き上げるってこと、つまりだ、めっちゃ儲かる!」
セレナはおもむろに立ち上がり、拍手をする。
パチパチ。
「素晴らしい!その言葉が聞きたかった」
(やっぱりそこか笑、金を巻き上げるのと、儲かるところか笑)
「まず、順番に説明するから、ひとまず聞いてくれ。インフラはだな、主に電気、ガス、水道、移動、通信だな」
「電気は、えっと、そうだな!雷だ」
「何だと!」
驚いたセレナは叫ぶ。
「武器になるのか?」
(質問は後にして欲しいけど無理かぁ)
「えっとスタンガン的な?レーザー?うーん、高度な武器は分からんな。そうだね、武器にもなるけど、そんなには強くないよ」
「ふむ、続けろ」
「まぁ、光を生み出すエネルギーを売るんだ。例えば、部屋の明かりはどうなってる?」
エレナが答える。
「ロウソクとか松明とか暖炉などかしら」
「うん、そうだね。それが電気によって同じような光がもたらされるんだ」
「何だと!」
セレナは興奮している。
(こいつは女王なのに何だと!しかリアクションはないのか笑)
アルドはため息を飲み込み、話を続けた。
「壁のつまみをひねるだけで、煙も出ずに昼間のような光が手に入る。さらに、俺の『爆熱』の力も、電気があれば『電子レンジ』っていう、火を使わずに一瞬で料理を温める機械が作れて、全家庭に普及させられる。みんなさらに電気代を払うことになるよ」
「素晴らしい……! 国民全員から、呼吸をするようにお金を巻き上げるシステム……!」
前のめりになりすぎて机に身を乗り出すセレナ。その圧倒的な圧迫感に、アルドは思わず後ずさりするのだった。
いや、いつものことだか凄まじいな。本当に欲望の塊だ笑。




