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プロローグ:とある少女の物語

 とある国、とある世界。そこには特別な少女がいました。


 少女は平民でありながら希有で潤沢な光属性の魔力を保持していました。


 この国では魔力を持つ子供はみなとある年齢になると、中央の魔法学園への入学が義務付けられています。


 しかし少女は遅咲きでした。


 本来ならば入学するべきの年の真っ只中で魔力が開花したのです。


 仕方なく少女は翌年の春。つまりは一つ歳下の子たちと入学する事が決まりました。


 そんな特別な少女を平民たちは腫れ物のように扱いました。


 様々憶測が飛び交い、そこには確かな悪意も含まれています。


 しかし少女が俯くことはありませんでした。


 なぜなら少女はずっと成り上がるチャンスを窺っていたからです。


 彼女は平民の貧乏な暮らしにうんざりし、貴族のような贅沢三昧な暮らしをしたいと日々夢想していました。


 そんな少女に回ってきた一世一代の大チャンス。


 少女はこの先の事を思うと周りの人の言葉など露ほども気になりません。


 少女は日々を図太く健やかに過ごし無事に入学を果たしました。


 さて、ここから少女のシンデレラ・ストーリーの幕開けです。


 彼女は自身の持っているものや他の人の持っているものを利用し、時には人の持つ悪意すら操り少女は自分とは別の悪役を作ったのです。


 自分に全てを奪われてくれる悪役を自分で仕立て上げ、その悪役から地位も名声もすべてを奪い去って少女は高い地位に上り詰めました。


 少女は学園で出会った国の将来を担う地位の高い若者たちに囲まれながらこの先のバラ色の人生を歩んでいくことでしょう。


 おしまい、めでたしめでたし。

 


 *



 この物語はここで幕を閉じる。


 少女は少女を貶め、幸せになる。


 この物語の悪役は地位を奪われた少女なのにこの物語の主人公がヤバイ奴であることはありありと伝わるだろう。


 この物語は主人公が野望のために周りを蹴落とし上に上り詰める話だ。


 しかし視点を変えるとどうだろうか。


 とある少女を主人公が蹴落とし、その少女をみんなでいじめ主人公の糧とする。


 なんて可哀想な少女なんだろう。


 しかしそれは仕方のない事なのだ。


 なぜなら少女は聖女を殺した悪魔なのだから。


 だから少女は幸せにはなれない。幸せになる権利をはじめから持っていない。


 この世界は決してそれを許さない。

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