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隠密侍女は推し令嬢を幸せにしたい!〜推しの兄は同士ですが、何故だか私にも甘いです!?〜  作者: 九条 睦月


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19-2.尾行張り付き大作戦(2)

本日2回目の更新です。

「ごきげんよう、シャルロット様。先日はありがとうございました」


 それに対し、シャルロット様が悠然と笑みを返した。


「ごきげんよう、アイリーン様。とても楽しかったですわね。私、アイリーン様とももっとお話したかったのですが、セシリア様とアーネスト様との会話が盛り上がってしまい、あまりお話できずに失礼しましたわ」

「いえ、そんな……」

「アーネスト様が、今度は別々にお話する機会を設けるとおっしゃっておられたのですが、ご存じ?」

「いえ、存じ上げません……」

「そうなの? 早速我が家には次のお茶会の招待状が届きましたのよ? 今度は二人きりでお話できるだなんて、本当に楽しみですわ!」

「そう……なのですね」

「うふふふ。アイリーン様のところにも、そのうち届くことでしょう。今は選定中なのですし、平等にされると思いますわよ?」


 ここで、取り巻き令嬢たちも会話に加わる。


「あら、でもシャルロット様のところには招待状がすでに届いているのに、アイリーン様のところに届いていないということは……」

「ちょっと、それははっきりと言いすぎなのではなくて?」

「でも、そういうことですわよねぇ?」

「皆様、そんなことおっしゃらないで。私が特別扱いされているなんて、そんなはずはなくてよ? オルブライト侯爵家は筆頭ですもの。きっと何かの手違いで、まだ届いていないだけだわ」


 その言葉に、アイリーン様の頬が、ほんの少しだけピクリと引き攣った。


「……」

「シャルロット様がそうおっしゃるのなら、そうなのですわね!」


 僅かに視線を伏せるアイリーン様を見て、シャルロット様は満足そうに微笑む。


「それではアイリーン様、私たち、次の授業がございますのでこちらで失礼いたしますわ」

「……はい。お引き留めしてしまい、申し訳ございませんでした」


 アイリーン様が目礼する。そんなアイリーン様を一瞥し、シャルロット様たちは去っていった。


(なによ、あの言い草はっ! 腹立つぅーーーーっ!)


 引き留めていたのは、むしろシャルロット様たちの方だ。

 知り合い同士、それも先輩後輩が顔を合わせた以上、後輩から挨拶するのは学内ルール。でも、そこからあれこれ話し始めたのはシャルロット様だというのに、何故かアイリーン様が謝る羽目になっているだなんて! それに!


(次のお茶会の招待状? そんなの、来てないわよ!? なのに、向こうには届いてるの? どういうこと? オルブライト侯爵家より、ダニング侯爵家の方が優遇されているということ? 彼女たちの言うように、シャルロット様が選ばれる可能性が高いということなの!?)


 アイリーン様の表情が暗い。パッと見はわからないけれど、沈んでいるのがよくわかる。

 アイリーン様と一緒にいるご学友たちは気づいていないようだけれど、めちゃくちゃ落ち込んでいらっしゃる。

 本当なら、すぐに駆け寄り、励まして差し上げたいところだけど……


(申し訳ございません、アイリーン様! 私には使命があるのですっ!)


 私は、後ろ髪を引かれる思いでアイリーン様の横を駆け抜ける。シャルロット様を追いかけなくてはいけないからだ。

 振り返ると、アイリーン様がご友人の皆様に、ぎこちない笑みを向けていらっしゃった。


(くぅっ! 健気っ! ……尊いっ!)


 アイリーン様の切ない微笑みを胸に留めつつ、私はシャルロット様を追いかける。


(ん……? これは……)


 シャルロット様ご一行が通った場所に、小さな赤いものが見えた。


(なんだろう、これ? 実? ラズベリーかしら?)


 誰が落としたのだろうか。実の状態からすると、落ちてからまださほど時間は経っていない模様。そして、この辺りだとシャルロット様が通った後かと思われる。

 よくわからないけれど、私はひとまずその赤いものをポケットに入れ、シャルロット様の尾行を続けたのだった。

いつも読んでくださってありがとうございます。

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