表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
隠密侍女は推し令嬢を幸せにしたい!〜推しの兄は同士ですが、何故だか私にも甘いです!?〜  作者: 九条 睦月


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

21/64

19.尾行張り付き大作戦

 ギルヴァーナ王国の貴族は、十六歳から十八歳まで学び舎に通い、学問と社交を学ぶことになっている。

 ギルヴァーナ学術院はその一つであり、国の最高学府である。王都にはもう一つ別の学び舎があり、王都外にも学ぶ場所は数か所ある。でも、高位貴族はほぼギルヴァーナ学術院に通うし、下位貴族もここを目指す。


 というのも、ここを卒業することが一種のステイタスになるからだ。それに、卒業後の進路も何かと優遇される。だから、貴族の親たちは子どもがまだ幼い頃から家庭教師をつけ、ここに入学できるよう教育するのだ。

 グレイ家はさほど裕福でもないので、家庭教師なんて雇えなかったので、成績優秀だった母が勉強を見てくれた。ちなみに、兄たちもそうだった。


(着いた。……ついこないだまで通っていたとはいえ、なんだかもう懐かしい気がするわ)


 母校を見上げ、しばし感慨にふける。

 卒業してからまだ一年ほどしか経っていないけれど、この一年間で思いもよらなかったことが次々と起こり、もうずっと以前の出来事のように感じられた。


(卒業後は騎士になるつもりだったのに、何故か筆頭侯爵家の侍女、しかもお嬢様の専属になったんだもの)


 半ば強引にオルブライト侯爵家に連れて行かれた時は、不満もあったし、私なんかに勤まるわけがないと思っていた。

 でも、侯爵家の皆様にお会いして、そのお人柄に惹かれてしまった。運よく採用されて働き始めれば、使用人の皆の温かさにも感動した。なんて働きやすい職場なのだろうと思った。


(普通、嫌な奴の一人や二人はいるわよね……)


 にもかかわらず、オルブライト侯爵家では、そんな人間は一人として見当たらないのだ。

 謎すぎる。というか、採用担当者である奥様がありえないほど人を見る目がありすぎる。

 そんなことをつらつらと考えながら校舎内を散策していると、やがて鐘が鳴り、生徒たちが続々と教室から出てくるのが見えた。


(……いた!)


 お目当てのシャルロット様を見つける。彼女は多くの取り巻きを連れて、通りの真ん中を闊歩していた。


「まぁ! シャルロット様はサザランド公爵夫人とも懇意にされていらっしゃるのですね!」

「この間のお茶会には、アーネスト様もいらっしゃったの。楽しい時間を過ごさせていただいたわ」

「それは素晴らしいことですわ! 婚約者に選ばれるのは、絶対にシャルロット様ですわね!」

「素敵! サザランド公爵令息様とシャルロット様、本当にお似合いですもの!」

「あら、そう言っていただけて嬉しいわ。ありがとう」


 周辺にいる者たちにわざわざ聞かせるかのような彼女たちの大きな声に、私は眉を顰める。


(これはちょっとマズイかも。生徒たちから親にこの情報が流れれば、アーネスト様のお相手はシャルロット様が濃厚だと更に周知されてしまう。それにおもねる貴族たちも大勢出てくるわ……)


 それが真実ではないとしても、社交界の噂の効力は絶大だ。黒いものが白にひっくり返るほどの威力を持つ。


(それに、こんな話をアイリーン様にお聞かせしたくない……)


 ここが上級生クラスのエリアなら、アイリーン様が立ち寄ることなどほぼないだろうからいい。でも、今いるこの場所は、特別教室に向かう廊下。下級生も行き交うところなので、下手をすると鉢合わせてしまう……って!

 遠いけれど、通りの先に見えるあの神々しいお姿は……


(アイリーン様!? だめだめだめーーーっ! こっちに来てはいけませんっ! バック! バック! くるっと回ってバックしてくださいませぇーーーっ!)


 心の中で叫びまくるけれど、その声がアイリーン様に届くわけもなく、二人は互いの存在を認識しあった。

 アイリーン様は歩みを速め、シャルロット様の近くまでやって来て挨拶をする。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ