9話・妖精さんは宴会を楽しむそうです
とてもとても長いこと間が空いてしまって済みません。
ギルドの近くにある酒場に、みんなでぞろぞろと移動してきた。
料理もお酒もがっつり食べて飲める大衆酒場で、ギルドが近いこともあって主な客は冒険者だ。
そして宿屋も兼ねていて、アルトはここに寝泊まりしているらしい。
今夜から私もお世話になるんだけど、わざわざ新しく部屋を借りたりしないで、アルトと一緒の部屋なのだ。
男女が一緒で泊まるなんて、って思うけど今更の話だからね。
その辺はアルトが宿のおかみさんに話を通しておいてくれたよ。
「お前ら! 今日は俺のおごりだ! 好きなだけ飲み食いしやがれ!」
「「「「「おおおーーーー!」」」」」
ギルドマスターの掛け声に、冒険者たちが大いに盛り上がる。
次々と料理が運ばれてきて、私もアルトに切り分けてもらってチマチマと食べ始めた。
「うーん! 美味しい!」
何の肉だかわからないけど、適度に脂がのっていて美味しかった。
でも、大した量も食べられないうちにお腹がいっぱいになってしまった。
せっかくの美味しい料理でも、たくさん食べることができないのはちょっと悲しいね。
それからはジュースをチビチビと飲んでいたよ。
周りはみんなお酒飲んでるけどね!
ファンタジーなこの世界的には15歳で成人扱いだからお酒を飲んでもいいらしいけど、私はやめておいた。
ちょっと興味はあるけどね!
そんな感じでアルトの横でまったりしてると、冒険者のお姉さんに手招きで呼ばれた。
「えーと、ミサキちゃん? 私はオーレリア。よろしくね」
「はい! ミサキです! よろしく!」
おおー! 女の人だ! 美人さんだ! おっぱいでかいぞ!
魔法使いっぽい、凝った刺繍の入った服を着ている女の人だった。
「ほんとに妖精なんだね。初めて見たわ。あなた一人だけなの?」
「えーと、私、記憶をなくしていて、良くわからないの」
「そう。じゃあやっぱり妖精がいなくなった理由とかも覚えていないのね」
「うん。ほかの妖精はどこに行ったんだろ?」
「ところでなんで裸なの?」
「ん? 妖精だから裸に決まってるじゃないか」
はう! アルトが会話に割り込んできたよ。
「そ、そう。確かに妖精だし、裸でも問題ないわね」
「ああ、大丈夫だ。問題ない」
何が大丈夫なのよ!
なんか、アルトが誘導しているようにしか見えないのよね。
でも、みんな簡単に納得しちゃってるし、完全に嘘でも無さそうなのよね。
うー、服が着たい!
きっと冬になったら寒いよ! 風邪ひいちゃうよ!
「やっぱり私、服を着たいの! ねえ、オーレリアさん。どこかで妖精の服って売ってないの?」
「妖精の服なんてどこにも売ってないわよ。だって妖精は100年も前にいなくなっちゃったからね。買う人がいないものを売っているわけないでしょ」
「うう~。その通りなんだけど、服が欲しいの」
「どうしてもって言うなら、オーダーメイドで作るのね」
「そっか、作ってもらえばいいのか! アルト! 明日、服屋さんに行こう!」
「行ってもいいけど、無理だと思うよ。ミサキが満足できる素材がないから」
「ああ~、そうだったぁ(泣)」
「素材? どうしたの?」
「手持ちの布を体に巻き付けてみたんだけど、チクチクして、着ていられなかったんだよ」
「なるほど。ミサキちゃんの肌、きれいだけど弱そうよね」
そう言いながらオーレリアさんが私の体を触りだした。
「うわぁ、柔らかいわね。それにすべすべしていてすっごく気持ちいい!」
「やーめーてー」
きゃー!
胸を触らないで! 揉まないで! 先っちょ摘ままないで!
脇とかお腹とか背中とか、くすぐったいってば!
ダメ! 足を広げちゃダメ! まじまじと見ないで!
ダメだから!
いくら女の子同士のスキンシップだからって、それ以上はダメだから!
「ていっ!」
「キャッ!」
ビリっと、静電気程度の電気を流して、手が離れたすきに飛んで逃げた。
もー! エッチなことはいけないんだからね。
あそこはちょっと危険だから離れていよう。
んー、少しお腹もこなれてきたし、変わった料理はないかなあ。
「おーい妖精さん、こっち来て食べていきなよ」
「こっちこっちー」
「うまいもんあるぞー」
お、若い冒険者さんたちが呼んでる。
男の子二人と女の子一人のパーティかな。
まだみんな十代くらいに見える。
美味しいものと言われて、そっちに飛んで行った。
「こんちはー。妖精のミサキです。よろしくね」
「おお、俺はランディ。戦士だぜ」
「僕はマキウスだよ。一応神官だよ。よろしくね」
「私はクラリスっていうの。魔法使いよ。妖精さん可愛い! ここ、ここ! こっち来て!」
ふよふよと近づいていったら速攻で捕まってしまい、テーブルの上に座らされちゃった。
クラリスさんってば 強引だよ!
でもまぁさっきのオーレリアさんみたいに変な風に触ったりはしなかったから、OKとしよう。
「ほんとに妖精だぁ。えーと、これ! これが美味しいよ!」
そういって渡されたものは漬け物? ピクルスみたいな感じの何か?
クラリスさんもポリポリと食べているのを見て、手を出してみた。
ポリポリ。
ん? んん? なんか不思議な味だね。
つい癖になる味でもう一口食べてみた。
ポリポリ。
「どう? 美味しいでしょ? キュウリの酒漬け」
「うん、おいしー」
ポリポリ。
これ食べてたらなんだか体が温まってきちゃった。
体が火照っているというか、とにかく暑くなってきたのだ。
「ふにー」
「あれ? どうしたの? 妖精さん顔が赤いよ?」
「ぽかぽかするのー」
ぽわーっとして気持ちいいのー。
気持ちいいからふわふわしちゃうのー。
ふわふわーって浮かんじゃうのー。
「ああ、妖精さん! どこ行くの!」
「ふにゃー。どこかー」
なんかクラリスが慌ててるけどどうしたのかな?
答えになっていない返事をしながら、酒場の中をふわふわと漂流する。
テーブルを回っているといろんな人から差し入れが渡され、それを一口ずつ口にしていった。
もぐもぐ。
どれも美味しかったよ。
お礼にその場で宙返りしたり、クラウチングスタートの説明したりしてあげた。
意外とクラウチングスタートの食いつきが良かった。
やっぱ珍しいみたいね。
そんなこんなで結構な量を食べたせいか、妊婦さんみたいにおなかがポッコリしてしまった。
妖精の身体って良く伸びるんだね。
でも流石にもう無理、これ以上食べられないよ。
「ほれ、もっと食いな」
「もう無理~」
「そうか? じゃあこれでも飲みな」
「ほ~い」
んくんく、ぷはー。
ほれれ?
なんかぐるぐるしてるよ?
「あ、熊だ」
熊は討伐いしなきゃいけよね。
ふぁいやー!
「うおっあちちち!」
あっちにもなんかいるー。
ふぁいやー!
「うわ、なんでこっちに!」
あははは!
とりあえずふぁいやー!
「「「やめろー!」」」
なんか騒がしいね。
でもたのしー!
もういっちょふぁ「こら。それくらいにしとけ」
ふがふが。
アキトに捕まっちゃったよ。
「ほら、もう部屋に戻ろうか。風呂にも入りたいでしょ?」
「お風呂入る!」
お風呂♪ お風呂♪ お風呂~♪
ちゃぽん。
ああ、いつもの感じで気持ち良くなってきたぁ。
んんっ、あうっ、あふぅ。
気持ちよくって声が出ちゃうのも仕方がないよね。
だってさ、全身が気持ちよく揉まれるような擦られるような感じがするんだよ。
しかも内側からも擦られて掻き回されるような感じがして、ビクンビクンって体が跳ねちゃうんだよ。
最後にはお腹の奥で何か熱いものがじわーっと広がるんだよ。
体がキュンキュンしちゃって、すっごく気持ち良くってぽわーってなっちゃうんだよ。
おかげでぐっすり眠れるね。
おやすみー。
今のところブックマークが5名。
他にも読んでくれている人はいると思うのですが、こちらで確認できる「続きを待ってみよう」と思ってくれている人はこの5人の方たちです。
もっと増えるように頑張ります。
よろしくお願いします。