表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/42

幕間・その頃の伊草と小池

「おまえ、2ケツしたことないの?」

「へっ?」

 運転を替わって少し走ったあと、伊草は自転車を止めて荷台の小池を振り返った。その顔は見慣れた呆れ顔だ。

「いっぱいあるよ、いつも妹乗せてたもん」

「後ろはないわけね。納得しました。この下手クソこぎにくいんだよばか」

「ひどい! ひっどいよ! 今あたし渡良辺ちゃん呼びたい!」

「呼べばあ?」

 は、と鼻で笑う。

「重心ばらばらじゃふらつくに決まってるだろ。ちゃんと前に体重寄せろよ。重いんだよ」

「重くない! 超努力してる!」

「だから頭の方が足りないのか。大変に残念なことだ。そしてなんなのその横座り。荷台の後ろに離れて座った上、横座りで片方に体重偏らせるとか嫌がらせ?」

「あたしスカートだよ!?」

「自分でこぐときとたいして変わんないじゃん」

「変わるよ、自分でこぐときは脚閉じてるもん」

「見せて困るぱんつかっつーの」

「ぱっ……いいよもうあたしがこぐから!」

「男がうしろとかみっともねえじゃん。ほんと、思いやりがねーな。おまえ自分のことしか考えてないだろ」

「どっちが!?」

「いいから、くっついてろって言ってんの。それに、ストーカー様が見たら、誤解してくれるかもしれないだろ」

 なるほど、と納得する。が、小池が理解したところで、伊草は心底うんざりしたようにため息をつく。

「頭の悪い女は疲れる……」

「いぐっちゃんってほんっと、性格悪いよね……」

「どこが? 俺超いいヤツじゃん」

 伊草は再び前を向く。発進の気配に、小池はあわてて前へ座りなおす。またいで座ることは、やはりとてもできなかった。スカートはだいぶ短い。そのかわり、サドルをつかんでいた手を、伊草の腰にまわす。

 伊草が地面を蹴る。改めて走り出した自転車は、先ほどと比べるまでもなく、安定していた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ