ひろし、囲まれる
ー 1時間後 ー
おじいさんは再びゲームの世界に入ると、時計台の前に現れた。
すると、すでに大熊笹と茂雄が待っていた。
「あぁ、大熊笹さん茂雄さん、お待たせしました」
「いえいえ、早く来てしまいましてな」
「ひろしさん、宜しく願いします」
「こちらこそ宜しくお願いします」
3人はお互いに深々と頭を下げると、おじいさんが茂雄に尋ねた。
「茂雄さん、メインクエストはどの辺りまで……」
「あ、はい。船に乗れるところまでは専務の大谷さんと一緒に終わらせました」
「なるほど、では次はレスカカルですね。ではG区画の海岸で船に乗りましょう」
「はい」
こうして、おじいさんたちはG区画の海岸からレスカカルへ向かって出航した。
ー レスカカルの海 ー
船がレスカカルの島の近くにやってくると、おじいさんが茂雄に説明した。
「茂雄さん。そろそろ敵のタコが現れると思います。気をつけてくださいね」
「ほう、タコですか」
「はい、とても大きいタコで、墨も吹くんですよ」
「それは気をつけなければなりませんね」
茂雄がそう言った瞬間、海からタコが現れて船の甲板に着地した。
ザバァ!! ビチャーン!
「なるほど、これは大きいですね!」
茂雄がタコに驚いていると、大熊笹はベンドレから貰って取っておいた「豪炎の壺」をタコに投げつけた。
ガシャン! ガシャン!
ボワッ! ボワッ!
「グォォオオオオ!」
それを見たおじいさんは大熊笹に笑顔で言った。
「大熊笹さん、素晴らしいです!」
「はっはっは! 投げ飛ばせないならアイテムですな!」
すると今度は茂雄がガードを固めて体を左右に振りながらタコに近づいていった。
「グォォオオオオオ!」
タコは茂雄に向かって触手を振り上げると力いっぱい叩きつけてきた。
ビターン!!
しかし茂雄は俊敏なステップでかわすと、触手にパンチのラッシュを浴びせた。
「シュシュ、シュッ!」
ズバババン、ズババン!!
そこへ、おじいさんの剛速球もタコに炸裂した。
シャァァアアアアア……、ズバン!!
「グォォオオオオ!」
タコは堪らず後ろへ仰け反ると、そこへ大熊笹が痺れ粉と毒の粉をタコへ投げつけた。
ブワッ ブワッ
「グォォ……ォ……ォ」
「おお!」
「痺れ粉と毒の粉も効きましたな! はっはっは」
「よし!」
タコは痺れて動けなくなると茂雄は一気に走り込んでタコの頭にパンチのラッシュを浴びせた。
「シュシュ、シュッシュッ、シュシュ!」
ズバババン、ズババン!! ズババババン、ズバン!!
そこへ、おじいさんが勢いの乗った剛速球を投げつけ、
シャァァアアアアア……、ズバン!!
シャァァアアアアア……、ズバン!!
シャァァアアアアア……、ズバン!!
ガシャン、ボワッ!!
最後に大熊笹が豪炎の壺を投げつけると、タコは静かに消滅していった。
シュゥゥゥウウウ……
「よかった! 倒せましたね」
「やりましたな!」
「ありがとうございます」
3人はお互いに笑い合うと船をシャームに向かわせた。
この後もおじいさんたちは順調にクエストを進めてゆき、鍛冶屋を解放するために盗賊のアジトへ指輪を取りにいくところまで進んだ。
◆
ブゥゥゥウウン……
おじいさんたちは軽トラで盗賊のアジトにやってくると、大熊笹が荷台から飛び降りて先にアジトへ入っていった。
「あ、大熊笹さん!」
「あの新人のボスさんがシッカリやっているか気になっていましてな! 先に盗賊たちを倒して道をあけておきますので!」
「あ、は、はい!」
おじいさんと茂雄は軽トラから降りると大熊笹の後を追いかけた。
おじいさんと茂雄はアジトを道なりに進んで奥まで辿り着くと、すでに大熊笹はボスの部屋へ入っていた。
「あ、大熊笹さん! もうボスの前に」
「さすが大熊笹さん。すごいですね」
部屋の奥のソファには前回新人だった女性盗賊のボスが寝そべっていて、大熊笹にポーズを決めながら言った。
「ふっふっふ。良くここまで来れたわねぇ……って、あら?」
ボスは大熊笹に気が付くと、驚いて座り直した。
「その道着、あなたは……」
「おお、だいぶボスらしくなりましたな!」
大熊笹はボスらしくなったボスに笑顔になると、ボスは大熊笹の事を思い出して慌てながら言った。
「こ、この間はお世話になりました!」
ボスはソファから立ち上がると大熊笹に一礼した。
大熊笹も一礼すると軽く構えてボスに言った。
「今日は友人のお手伝いで来ました。ボスさんのボスっぷりを見させて頂きましょう」
すると、おじいさんと茂雄もボスの部屋に入ってきて戦闘態勢を整えた。
ボスは少し戸惑うと、茂雄に言った。
「あ、えっと、あなたが初めてのクエストの方ですよね」
「はい。初めてです」
「それが……」
するとボスは少し上を向きながらしばらく止まると、ウンウンと頷いて茂雄に言った。
「ええと、特に嫌がりそうな記憶が無いのと……、うっ……」
ボスはそこまで言うと急に涙ぐみながら話を続けた。
「茂雄さん、桜の群生地での戦い……。か、感動です……」
ボスはポケットをゴソゴソとすると指輪を取り出して茂雄に差し出した。
「これ、どうぞ」
茂雄は少し驚いてボスに言った。
「え、ええと、よろしいのでしょうか」
「はい。元々、パーティーに1人も嫌がるような記憶がある人が居なければ指輪を差し上げる設定なんです」
「そうなんですね。……では、ありがたく頂戴いたします」
茂雄は指輪を受け取りながらボスに深々と頭を下げた。
こうして、おじいさんたちは指輪を手に入れると、ボスに「溶岩ようかん」をお土産に渡してアジトから出た。
そして再び軽トラに乗り込むと鍛冶屋のあるベイリゲンの町へと向かった。
ブーーーーン……
おじいさんはベイリゲンに向かいながら助手席の茂雄にこの先の説明を始めた。
「これで鍛冶屋が使えるようになるので、素材を集めれば強い武器と防具が作れます」
「なるほど。素材……、はどうやって手に入れるのでしょう」
「ええと、鍛冶屋が使えるようになると、敵を倒したときに……、あ、あぶない!」
その時突然、おじいさんたちの軽トラの行き先を塞ぐようにミニバンのモービルが飛び出してきた。
ザザーー
おじいさんは急ブレーキを踏んで軽トラを停止させると、ミニバンから沢山の騎士たちが降りてきた。
「あ! もしかしたら敵かもしれません」
おじいさんはそう言うと軽トラをバックさせた。しかし、
ゴン!
しかしなんと、おじいさんたちの軽トラに他のモービルがぶつかってきて、軽トラを止めた。
すると荷台に乗っていた大熊笹が飛び降りて身構えた。
おじいさんと茂雄も軽トラから降りたが、2台のモービルから降りてきた騎士たちに囲まれてしまった。




