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黒ちゃん、おぉぉりゃぁぁあああ!!

 みんながララガたちやタッちゃんと遊んでいると、黒ちゃんが立ち上がってみんなに言った。


「わたしはちょっと(けやき)の棒を手に入れに行ってきます」


 するとアカネが黒ちゃんに尋ねた。


(けやき)の棒?」


「ああ。(けやき)は木材の中でも硬くて丈夫なので棍棒(こんぼう)に最適なのだ」


「へぇぇ。ていうか、それ何処(どこ)にあるの?」


「イークラトの森の中にあるのだ。森の中の(けやき)の木を切って鍛冶屋へ持っていけば(けやき)の棒が作れる」


「なんだー、イークラトかぁ。あそこ敵が強いんだよなー。一緒に行きたかったのに」


「うむ、特に森の中は凶悪な敵が多いからな。ドラゴン大福を買ってくるから待っていてくれ」


「まじで!? オッケー、待ってる!」


 黒ちゃんはみんなに手を振りながら家を出ると、イークラトの森へと転移していった。



 ー イークラトの森 ー


 黒ちゃんは森に転移してくると、ゆっくりと歩き出して(けやき)の木を探し始めた。


(けやき)の木は葉っぱがギザギザとしていたな……。あれは……、違うな。ん? あれか?」


 黒ちゃんは少し遠目(とおめ)に見えた木に近づいていくと、なんと2人の女性が、森のモンスター「ハンマーゴリラ」と戦っていた。


 ハンマーゴリラはその名のごとく木製のハンマーで攻撃してくるゴリラで、片手剣で戦う2人の女性は苦戦しているようだった。


 黒ちゃんは(くぎ)バットと盾を装備すると、2人の女性に言った。


「大丈夫ですか!?」


「ちょっと苦戦してます!」

「良かったら協力してもらえませんか!?」


「分かりました! お任せください!!」


 黒ちゃんは盾を前にしながらハンマーゴリラに突進すると、ハンマーゴリラは黒ちゃんに気づいてハンマーを振りかぶった。


「ガォォオオオ!!」


 ハンマーゴリラは全身の体重を乗せてハンマーを振り下ろしたが、黒ちゃんはお構いなしに盾でハンマーゴリラの顔を殴りつけた。


「うぉぉおおお!!!」


 ドガン!!


「グォォオオオ!!」


 黒ちゃんはハンマーゴリラをハンマーごと吹き飛ばすと、今度は(くぎ)バットでハンマーゴリラを殴りつけた。


「おぉぉりゃぁぁあああ!!」


 ドガン ドガン ドガン!!


「グォォオオオ!!」


 そして黒ちゃんは大きく足を開いて上へ飛び上がると、空中から勢いの乗った一撃を食らわせた。


「どりゃぁぁああ!」


 ドガン!!


「グォォオオオ!!」


 シュゥゥゥウウウウ


 ハンマーゴリラはその一撃を食らうと消滅して素材を落としていった。


 それを見た2人の女性は嬉しそうに黒ちゃんに駆け寄って来た。


「ありがとうございます!」

「すごい! 男らしかったです!」


「あ、いえ、ははは。素材が落ちていますからお忘れなく」


「ありがとうございます! カッコイイ!」

「やった! 素材がほしかったんです」


「礼には及びません。ではまた、どこかでお会いしましょう。お気をつけて」


 黒ちゃんはそう言って立ち去ろうとすると2人の女性が慌てて黒ちゃんに言った。


「あ、待ってください!」

「お(れい)をさせてください!」


「いえいえ、そんな。私はお役に立てただけで光栄です」


「いえ、本当に助かったので」

「あ、甘い物ってお好きですか?」


「え、あ、はい。ははは。お恥ずかしい」


「でしたらプレミアム・ドラゴン大福はいかがですか?」


「なんと!!」


 黒ちゃんが思わず嬉しそうな顔をすると、2人の女性からそれぞれプレミアム・ドラゴン大福が送信された。


 黒ちゃんはアカネに良い土産ができたと思って満面の笑みになると、それを見た2人の女性が黒ちゃんに言った。


「甘い物お好きなんですね!」

「笑顔がカワイイ」


「あ、いや、ははは。すみません、ではお言葉に甘えてプレミアム・ドラゴン大福をいただきます」


 黒ちゃんは深々と頭を下げると、笑顔で手を振って2人の女性と別れた。



 黒ちゃんは(けやき)だと思った木の所へやってくると、葉っぱの形が違うことに気づいた。


「これは葉っぱがギザギザではないな……。もっと奥へ行くか」


 黒ちゃんは細い道を奥へと進んで少し開けた所へ出ると、なんと開けたところの真ん中に大きな(けやき)の木が生えていた。


「おお! あれは(まさ)しく(けやき)の木!」


 黒ちゃんは笑顔になって(けやき)の木に近づいていくと、突然森の中から何かが飛び出してきた。


 ガサガサガサガサ!!


「きゃー!」

「くそっ!」

「だめだ、やられる!」

「ス、ステータスポイントが!」


 なんと4人のプレイヤーのパーティーが森から飛び出してきた。


 4人のプレイヤーは(けやき)の木の下まで走ると、森の中から4人を追い詰めるかのようにモンスター「氷魔(ひょうま)のエヴゥ」が現れた。


 氷魔のエヴゥは仮面をつけたタキシード姿の魔法使いで、少しだけ浮いたまま静かに4人に近づくと仮面を少しズラして言った。


「あなたたちが悪いのですよ。この私を怒らせたのですから」


 エヴゥは魔法の杖を4人のほうへ向けると笑った。


「フハハハハ! 深淵(しんえん)の闇へと消え()せるが良い。そして、そこで私を怒らせたことを後悔するのだ!! 死ねー!」


「おぉぉりゃぁぁあああ!!!!」


 ズバン!!


「へ?」


 エヴゥが思わず声を出したときには、フルスイングした黒ちゃんの釘バットが見事にエヴゥを吹き飛ばしていた。


「ぎゃふん!」

 ズザァアアア!


 黒ちゃんは釘バットを肩に担ぐと4人のプレイヤーを守るように立ちはだかった。


 エブゥはその姿を見るとニヤリと笑って起き上がった。


「フッ。このエヴゥに一撃を食らわせるとは……。どうやら死に急ぎたいようですね」


 エブゥは杖を黒ちゃんに向けると詠唱を始めた。


「la vid le ne ivich, keve tene liene……」


 逃げてきたプレイヤーたちは驚いて黒ちゃんに言った。


「やばい! 氷の矢が来るぞ!」

「気を付けて!!」

「あぶない!」


 キィィイ……ン


 すると、エヴゥの周りに無数の氷の矢が現れ、エヴゥは不敵な笑みを浮かべながら黒ちゃんに言った。


命乞(いのちご)いをするなら助けてやっても良いぞ。フハハハハ! (ひざまず)け! 靴を()めろ!」


「フッ」


 黒ちゃんはそれを鼻で笑って釘バットをエヴゥ向けると、4人のプレイヤーたちは口々に言った。


「おい! あの人、やる気だ!」

「でも氷の矢が……」

「いや、あの人の立派な盾なら!」

「ああ、あの盾なら防げるかもしれない!」


 エブゥは黒ちゃんの態度を見て激昂(げきこう)すると、大声で黒ちゃんに言った。


「生意気な奴めぇ! 後悔させてやろう!! フローズン・アロー!!」


 ズドドドドドドドドドド……


 黒ちゃんに無数の氷の矢が放たれると、黒ちゃんはそれを盾で防ぐ……、と思いきや、なんと盾で殴りかかった。


「おぉぉりゃぁぁあああ!!」


 ドガン!!

「うぶっ!」


 黒ちゃんが盾でエヴゥの顔を思い切り殴りつけると、それを見ていた4人のプレイヤーは驚いて声をあげた。


「おいおいおい!」

「盾の意味っ!!」

「うそっ!」

(おとこ)や! 何か間違ってるけど、(おとこ)やで!」


 スドドドドドドド……


 黒ちゃんは氷の矢を体で受けまま、今度は釘バットを(ちから)いっぱい振り下ろした。


「でやぁぁああああ!!」


 ドガン ドガン ドガン!!!


「げぶっ!!」


 さらに、大きく足を開いて上へ飛び上がると、空中で釘バットを振りかぶって渾身の一撃を食らわせた。


「おぉぉおおおお!!」


「う、うわ、やめ……!」


 ズガンッ!!


 シュゥゥウウウ……


 エブゥは消滅していった。


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