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ひろし、アドバイスする

 みんなは1階で(しばら)くくつろぐと、おじいさんは朝食を食べに一旦(いったん)ログアウトした。



 おじいさんがVRグラスを外すと、おばあさんが焼き魚をテーブルに運んでいるところだった。


「今日は早くから向こうへ行っていたんですね」


「あぁ、実は書道大会の結果が出てな」


「まあまあ! それで、どうだったんです?」


「ありがたいことに金賞を頂いたんだよ」


「あらまぁ、さすがじゃない!」


「いやぁ……、ははは」


 おじいさんは嬉しそうに笑うと、少し下を向いて頭を()いた。


 おじいさんはソファから立ち上がると台所へ行き、朝食を運ぶのを手伝いながら話を続けた。


「銀賞の(かた)はイリューシュさんのお祖母様(ばあさま)で、外国の(かた)だったんだよ」


「あら、外国の(かた)も書道なさるんですね」


「いやぁ、素晴らしい筆さばきだったなぁ。わたしでは到底敵(とうていかなわ)わない書だったよ」


「それは凄いわね」


 2人は朝食を運び終えるとテーブルについて手を合わせた。


「「いただきます」」


 おばあさんは漬物を(はし)で取ってご飯の上に乗せながら、おじいさんに話した。


「今日は、お店のみんなでレスカカルという所へ行くんです。サブクエストを進めるみたいで」


「あぁ、そのレスカカルの島でタッちゃんと仲良くなったんだよ」


「まぁ、島の中に入ったんですか?」


「あぁ。ええと、神殿に行って……、そうだ、ナミさんとめぐちゃんが転職したんだよ」


「あら、そうだったんですね。わたしたちは転移魔法を使えるようにしたくて、タコと戦うみたいなんです」


「転移魔法かい? 凄いなぁ。そういえば、タコは墨を吐くから気をつけてな。真っ黒になっちゃうんだよ。ははは」


「あらあら、それは気をつけないと。うふふ」


 おじいさんとおばあさんは楽しくお喋りしながら朝食をとると、家の掃除と庭の掃除を始めた。



 その頃、海とライラはエストンレルトの街にある冒険者ギルドに来ていた。


 冒険者ギルドでは、モンスターの討伐クエストを受けて報酬をもらうことができ、酒場を()ねていた。


 ライラはカウンター席に端に座る男に近づくと静かに声をかけた。


「情報屋、久しぶりだな」


 ライラは情報屋に話しかけながらプクナを送金すると、情報屋は上機嫌で答えた。


「ライラさん、お久しぶりっす! 今日もお綺麗で!」


「おべっかはいい。プレイヤーキラー集団のリーダー、アーボンについて聞きたい」


「おおっ! 今ホットな話題っすね」


「ルル様の話ではアーボンがザ・フラウ頂上決戦のエストンレルト代表になったと聞いた。本当か」


「はい、本当っす」


「街で聞いて回ったが、みんな知らないと言う。本当にアーボンはここに居るのか?」


「ええ。ですが、街には居ないんすよ」


「何? じゃあ何処にいるんだ」


「あ、すんません。さっきの金だと(はなし)はココまでっすね」


「ちっ」


 ライラは舌打ちをしながら情報屋にプクナを送金した。


「ありがとうございます。へへへ」


「で、何処にいるんだ」


「東のダンジョンっす」


「なんだと!? なぜ東のダンジョンに居る。あそこはベヒーモスの討伐クエストの場所だろう」


「そこなんすよ。ベヒーモスは強いんでプレイヤーたちはベヒーモス倒しても瀕死(ひんし)なことが多いんす」


「まさか、そこを狙って」


「そうっす。プレイヤーがHPもMPもギリギリで回復薬を飲もうとしたところをバーンと。それでステータス・ポイント集めてるんっすよ」


「なんて卑怯(ひきょう)な」


「アーボンたちは東のダンジョンのどこかの行き止まりを封鎖して根城(ねじろ)を作ってるって(うわさ)っす」


「なるほど。助かったぞ情報屋」


「いえいえ、またお待ちしてるっす」


 ライラは海をつれてギルドの外へ出ると、手を(あご)にあててブツブツと(つぶや)き始めた。


「相手がベヒーモスとなると、(おとり)をやるにも私では役不足だな……。それに潜入(せんにゅう)()けている者も必要か……」


「ライラさん、大丈夫ですか」


「ん? あ、ああ。海、東のダンジョンをあまり深くないところまで偵察(ていさつ)するぞ」


「はい!」


 こうして海とライラは東のダンジョンへと向かった。



 その頃、おじいさんとおばあさんは家の仕事を片付けて昼食を終え、一緒にゲームの世界に入っていた。


 おじいさんたちは一緒に時計台から歩いていると、G区画へ続く坂道をナミがララガ親子をつれて上ってきた。


 おじいさんとおばあさんはナミに気がつくと挨拶をした。


「ナミさん、こんにちは」

「あら、ナミさん。こんにちは。その子たちが噂の!」


「おじいさん、洋子ちゃん、こんにちわ。ぅん、お母さんとララ助」


「まぁ、とっても可愛いわね」


「ぅん」


 おばあさんは嬉しそうにララガ親子に近づくと優しく撫でた。


 おじいさんはその様子を笑顔で見ながらおばあさんたちに言った。


「では、わたしはG区画の家に行きますので。今日はがんばって」


「ええ、ありがとうございます」

「ぅん。ぁりがとぅ」


 おじいさんはそう言うと、三輪自転車を出現させてG区画の家へと向かった。


 ◆


 おばあさんとナミは一緒にお店に着くと、マユとメイ、哲夫和代夫妻、そして美咲も準備を済ませて待っていた。


「「こんにちは」」

「「「こんにちはー!!」」」


「キュウキュウ」


 すると、いつもナミの頭の上にいるアルマジロがナミのところにトコトコとやってきた。


 ナミはアルマジロを抱え上げると、いつものように頭に乗せた。


「よしよし」

「キュゥウ」


 するとマユとメイがララガ親子を見て笑顔になった。


「すごっ! 送ってくれた画像で見るより大きいね」

「うん、やばっ! でも、めっちゃかわいい」


 マユとメイがガガラ親子をワシャワシャすると、美咲がナミに言った。


「やっぱりナミさんは凄いね、テイマーになれるなんて」


「ぅぅん。たまたま」


「ふふっ。ナミさんらしいね」


 美咲はナミの言葉に笑うと哲夫と和代もララガ親子を撫でながら言った。


「いやぁ、格好良いですなぁ」

「うふふ。こっちの子は小さくて可愛いわね」


 ララガ親子はみんなに撫でられて嬉しそうに伏せた。


 ◆


 その頃、海とライラはモービルで東のダンジョンに到着していた。


「海、このダンジョンの敵は地下2階まではそこまで強くない。だが油断するなよ」


「はい!」


「いくぞ」


「はい!」


 海は盾を構えると、慎重にライラの後をついていった。


 ◆


 ライラは慣れた様子でしばらく進むと、1人のプレイヤーが前から歩いてきた。


 そしてそのプレイヤーはライラの近くまで来るとライラに話しかけた。


「こんにちは、ベヒーモス討伐ですか?」


「いや、今日はちがう」


「あ、そうですか」


 プレイヤーがそのまま通り過ぎようとするとライラはプレイヤーに尋ねた。


「すまぬが、アーボンという人を知らないか」


 すると突然プレイヤーは弓を構えて距離を取った。


 バン!


 そして賢者のスキルの「足鳴らしの氷壁」を作ると、弓の速射スキルで無数の矢を放ってきた。


「くっ、アーボンの仲間か! 海、気をつけろ!」


「はい!」


 ライラと海は盾で矢を防ぐと、ライラは盾を前にしながら敵のプレイヤーに突進した。


「でやぁぁああ!」


 ドガン!!


 そして、盾で敵のプレイヤーの作った氷壁を吹き飛ばすと、そのまま槍を突き出した。


 ビュッ!


「くそっ!」


 プレイヤーは堪らず後ろへ下がると、武器を双剣に持ち替えて襲いかかってきた。


 ダッ!!

 ガキン!


 それを見た海がライラの前に滑り込んで双剣の攻撃を盾で受けると、ライラはそれを見て飛び出した。


「海、すまん! 踏むぞ!」


「はい!」


 ライラは海の背中を踏み台にして飛び上がると、盾を下に向けてプレイヤーの頭上から叩きつけた。


 ドガン!!


「ぐわっ!」


 そして素早くステップをして踏み込むと、槍でプレイヤーの腹を突き刺した。


 ドスッ!


「うっ!」


 しかしその時、ダンジョンの奥から大声がした。


「おい! そこまでだ!!」


 海とライラが振り向くと、4人のプレイヤーたちが武器を構えていた。

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