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続・VRおじいちゃん ~ひろしの大冒険~  作者: オイシイオコメ
老兵は消えず、ただ戦うのみ
5/29

ナミ、戦う

 全分隊が町の外へ出ると、ドラちゃんは大きな黒いドラゴンに姿を変えた。


 それを見た山口は弓部隊に指示を出した。


「弓部隊のみなさん、ドラゴンに乗り込んでください!」


 弓部隊のメンバーは次々とドラちゃんに乗り込んだ。


 すると最後に乗り込んだ山口がドラちゃんの上から大きな声で言った。


「これから弓部隊が出撃します。みなさん、各通路で待機してください。宜しくおねがいします!」


「「「宜しくおねがいします!!」」」


「では弓部隊、出撃!!!」


 バサッ バサッ バサッ


 弓部隊が空へ羽ばたくと、分隊もそれぞれの持場(もちば)の通路近くへと転移や移動をしていった。



 ー ベンドレのいる敵本陣 ー


 5つの通路がつながる中央の広場の一角に、美しい絨毯(じゅうたん)が敷かれたスペースがあった。


 その中央には玉座があり、横には側近が並んで座っていた。


 そして玉座にはリーダーのベンドレが座っていた。


 北西の山を眺めていたベンドレは、北西の山頂に到着した弓使いのリーダーからボイスチャットで連絡を受けた。


「ベンドレ様。弓の狙撃隊62名、山頂に到着しました」


「ご苦労だったな。山頂から見て異常は無いか?」


「はい、今全ての通路が見渡せますが、特に異常はございません」


「そうか。先程、偵察兵から大勢のプレイヤーが黒の屋敷に集まっていると連絡があった。時間を空けずにまた来るはずだ」


「はい。そのとおりだと思います」


「お前たちは山の上から各通路をしっかり見張っておくんだ」


「承知しました」


「何か異常があったら知らせてくれ」


「はっ!」


 ベンドレは参謀の女性賢者を呼んだ。


「ルル、ちょっといいか」


「え、なーに?」


「お前は黒の残党はやってくると思うか」


「どうだろー。んー、わかんない!」


「ふっ。確かにそうだな」


「でもさぁ、もし来たら、敵は勝つ自信があるってことよね」


「そうだな。こちらは200名以上居るが、半数以上がまだメインクエストも終わっていないプレイヤーだ」


「え、そうなの? ちょっと、ほんとにヤバくない?」


「とはいえ、強いプレイヤーたちも大勢居る。せっかく手に入れた俺の居場所だ。ぜったいに譲れない」


「そうだよね。わたしもプクナもらえるから、絶対に譲れないわ。あはは」


 その時、2人の会話を遮るように1人の軽装の騎士がベンドレの元へ走ってきた。


「ベンドレ様!!」


「どうした」


「バリードレの偵察兵から連絡が来ました! 黒の屋敷から、大勢のプレイヤーたちが出発致しました」


「なんだと! 数は?」


「約60名です。しかし、S級の武器や防具を持つプレイヤーが多く油断できません」


「黒の残党め、やはり来たか」


 ベンドレは参謀のルルに言った。


「ルル、全員に戦闘態勢に入るように通達してくれ」


「はーい」


 ルルはボイスチャットで5つの通路を守る防衛隊長たちに連絡をした。



 その頃、おばあさんたちは担当の通路の入り口近くで待機していた。


 するとメイがマユに心配そうに尋ねた。


「ねぇマユ。うちらの通路、敵強いかなぁ」


「どうだろう……。実際わからないよね……」


「そ、そうだよね。敵がどんだけ強いかなんて分かんないよね。ごめんマユ」


「ううん、メイも心配なんだよね」


「うん、やっぱ怖いよ。できればみんな守りたいし」


 するとロビがやって来てメイを励ました。


「メイさん、メイさんは僧侶なんですよね。ぼくも僧侶なんです。今日は一緒に頑張りましょう」


「あ、はい。えっとロビさん」


「はい、ロビです」


 するとその時、ナミからみんなにメッセージが届いた。


 ーーーーーーーーーーーーー

 ナミ:敵が見えた いってくる


 マユ:がんばって!


 メイ:がんばれ!


 洋子:気をつけて!


 美咲:がんばって


 和代:頑張ってください!


 哲夫:応援しています!


 ナミ:ありがとう


 メイ:ナミ、視聴リクエスト送っていい?心配で怖いよ。見えてたら、まだラクだから


 ナミ:うん


 マユ:あたしもいい?


 洋子:わたしもいいかしら


 ナミ:みんなだいじょうぶ

 ーーーーーーーーーーーーー


 マユたちはナミに視聴リクエストを送った。哲夫と和代、そして洋子も教えてもらいながら視聴リクエストを送った。


 ナミは全員にボイスチャットOFFで許可を出すと、みんなの目の前にはドラゴンに乗ったナミの視界が映し出された。


 ナミの視界を見たメイは驚いて声をあげた。


「うわ、山の上の敵多くない!? これ、空から撃つんだよね」


 マユがそう言うと、ナミが弓を引き絞るのが見えた。


 そして、ドラゴンから見下ろす敵の弓兵たちに照準を合わせながら待機した。


「やば、ナミかっこいい!」

「だね!」


 そして山口の指示が聞こえた瞬間、ナミは矢を放った。


 そして次の矢を素早くつがえると、二の矢三の矢を放った。


 ナミの放った矢は全て綺麗に敵の拠点に飛んでゆき、敵プレイヤーたちに次々とダメージを与えていった。


「おー! ナミすごい!」

「やば! すご!」

「まぁまぁ、ナミさん!」

「こんな高さから……」

「格好良いなぁ」


 ナミの視界は一度空へ向き、そしてしばらくすると、また敵の拠点を(とら)えた。


 旋回しているドラちゃんの背から見下ろすナミの視界には、敵の弓使いたちが数を減らして慌てているのが見えた。


 そして賢者のツーリと黒猫が巨大な防御魔法陣が展開すると、今度は矢を放ちながら、拠点へ突っ込んでいった。


「わっ! 突っ込む!」

「ナミ!」


 マユとメイが驚いていると、ドラちゃんは防御魔法陣で敵の矢を弾きながら敵地に着地した。


 ナミは素早く立ち上がると矢を放ちながらドラちゃんの羽を滑り降り、そのままイリューシュの後をついていった。


 すると突然、ナミの視界に矢が飛んできた。


「わっ!」

「やば!」


 カン!


 ナミは弓で飛んできた矢を払うと即座に撃ち返した。


 そしてイリューシュと一緒に司令官の山口の後を追い、突然現れた片手剣の騎士も即座に射抜いた。


「え!? ナミ、すごくない?」

「やば、こんな素早(すばや)いナミ初めて見た」


 ナミはイリューシュと一緒に司令官を追い越すと、そのまま最前線に出た。


 ナミたちの前には防御魔法の魔法陣が展開され、敵の弓兵たちとの撃ち合いになった。


 その瞬間、


 ドッ!


「うっ!」


 ナミは射られて思わず声を漏らしながら右側を見ると、側面を突破してきた敵の弓使いたちの一団がいた。


「やばい、HPが半分になった!」

「ナミ、にげて!」


 しかしナミは弓を引くと、一歩も退かずに一団に向けて矢を放った。


「ナミ!」

「見てるだけで怖いよ!」


 その時ナミが視界を空へ移すと、月明かりに照らされた無数の矢が空から降ってくるのが見えた。


 するとナミは咄嗟(とっさ)に弓で矢を弾こうと構え、ナミを守ろうとしているアルマジロが少し視界に入った。


「やば!!」

「ナミ!!」


 ブンッ ブンッ ブンッ ブンッ


 その瞬間、空に沢山の赤い魔法陣が現れた。


 カカカカン、カカン、カカカカン


 矢は全て赤い魔法陣に弾かれ、ナミの視界に一瞬、骸骨の黒猫が両手をあげているのが見えた。


 それを見たおばあさんは思わず声を上げた。


「あの赤い色の魔法陣は猫ちゃんね! すごいわ!」


 ナミは矢が止んだ事を確認すると走って藪の中に隠れて回復薬を飲み、再び前線へと走った。


 そしてナミは戦闘中のイリューシュに追いつくと、それに気づいたイリューシュがナミに指示を出し、ナミは突然右へ走り出した。


 ナミは体を小さくかがめながら前線を外れて森の中を進んでゆき、大きな岩の陰に滑り込んだ。


 その岩陰から身を隠しながら遠くを覗き込むと、敵陣の奥で何やら指示をしているプレイヤーを(とら)えた。


 距離はかなり遠かったが、ナミは矢を引き絞って指示をしているプレイヤーに照準を合わせた。


「え、ナミ!」

「この距離で狙うの?」


 ナミは重力で落下する矢の弾道を補正するために微妙に照準を上にずらした。


「え、これ当てるつもりだよね」

「まじで!?」


 ヒュッ!


 ナミは矢を放った。


「放った!」

「いけ! 当たれ!」


 同時に3本の矢を放つナミの弓から放たれた矢は、3本ともブレる事無く美しく飛んで行った。


 そして緻密に計算された軌道を滑るように敵プレイヤーを狙った。


 ドドドッ!


「「当たった!!」」


 なんとナミの放った矢は3本とも見事に敵プレイヤーの頭を射抜いた。


 すると視界の左側からイリューシュが放った矢が飛んできてヘッドショットを決め、指示をしていた敵のプレイヤーは消滅していった。


「ナミ!」

「すご!」


 マユとメイが驚いていると、ナミの視界にドラゴンが映り、そして上空には敵の大きな雷の魔法陣が現れた。


 ナミはそれに気づいて視線を移すと、その魔法陣から逃れるように司令官の山口が走っていた。

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