表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/19

ひろし、孫に会う

 ー 翌朝 ー


 おじいさんは居間のソファで目が覚めた。


「あぁ、そうか。昨日はソファで寝てしまったか……」


 おじいさんはその時、自分に毛布がかけられている事に気づいた。


「あれ、これは……」


 おじいさんは、昨日おばあさんが眠ってしまっていた座椅子に目をやると、すでにおばあさんは居なかった。


「あぁ、毛布をかけてくれたんだな。ありがたい……。おばあさんは寝室かな」


 おじいさんはソファから立ち上がって寝室に目をやると、ドアの隙間からおばあさんが寝ている姿が見えた。


「わたしも、もう少し寝るかな……」


 おじいさんはそう呟くと、ゆっくりと寝室へと入っていった。

 


 ー 昼 ー


 寝室で寝ていたおじいさんが目を覚ますと、かつお出汁(だし)の良い匂いがした。


 おじいさんが時計を見ると、もう午後1時を過ぎていた。


「あぁ、随分寝てしまったなぁ。いたたたた」


 おじいさんは、ゆっくりとストレッチをすると、起き上がって台所へ向かった。


「おはよう、おばあさん」


「あら、あなた。おはようございます、ってもうお昼ですけどね。いま、あなたの分も作りますね」


 おばあさんはそう言いながら蕎麦をひと(たば)鍋に入れた。


 すると、おばあさんは思い出したようにおじいさんに話した。


「あ、最近いろいろあって言い忘れていたわ。つむぎちゃんが、あなたを見たんだって」


「ええ!? つむぎちゃんが?」


 つむぎはおじいさんの孫娘で、つむぎも同じゲームをやっていた。


 おばあさんは、蕎麦を盛り付けながら話を続けた。


「ほら、ホワイトドラゴンが来たときがあったでしょう?」


「ああ。え? まさか、あの日に?」


「ええ。つむぎちゃん、お友達とバスに乗ってたみたいで、ドラゴンに向かって車を走らせるあなたを見つけて驚いたんですって」


「ええ!? あのバスに乗ってたのかい?」


「そうなんですって。それで、つむぎちゃん、ええと、なんでしたっけ……、何とかIDを教えてくれたんだけど……、良くわからなくて」


「何とかIC? なんだろうか……」


 おじいさんとおばあさんは孫のつむぎの話をしながら昼食をとった。



 おじいさんは昼食をとり終えると、おばあさんからつむぎのプレイヤーIDを教えてもらった。


「ええと……、F0947-6566……」


 おじいさんはメモをとりながら気づいた。


「あぁ、しまった。メモはゲームに持っていけないか。ははは」


 おじいさんはメモをテーブルに置くと、横に置いていたスマホの通知欄にメッセージが表示された。


『めぐ:やば、今起きた…。課題やらないと』


 それを見たおじいさんは思いついた。


「あ、みなさんなら……」


 おじいさんはスマホを手にとってアプリを起動した。


 ーーーーーーーーーーーー

(ここから未読)


 アカネ:おーい、家に誰もいなーい


 イリューシュ:今日は寝坊してしまって。仕事が終わらなくて。


 めぐ:やば、今起きた…。課題やらないと


 ひろし:こんにちは。わたしもさっき起きました


 アカネ:じいちゃんも寝坊?


 ひろし:昼までねてました ところでお聞きしたいことが 孫がプレイヤーIDくれまして、どうしたら会えますか


 めぐ:おじいちゃんのお孫さん! アプリの右上に「+」マークあるでしょ


 ひろし:はい


 めぐ:それをタップすると、フレンド申請できるんだけど、ID入力するところがあるからID入れればフレンド申請送れるよ!


 ひろし:ありがとうございます。大変助かりました


 アカネ:じいちゃん、こっち来たらお孫さんも一緒に遊ぼうよ


 ひろし:はい、おねがいします


 イリューシュ:わたしも仕事を終わらせたら行きますね


 めぐ:おじいちゃん、わからなかったらまた聞いてね


 ひろし:ありがとうございます。IDいれてみます

 ーーーーーーーーーーーー


 おじいさんはチャットを終わらせると、画面右上の「+」マークをタップしてみた。


 するとフレンド申請画面になり、IDを入力する欄があった。


「あぁ、これだな」


 おじいさんはメモしたIDを入れてみると、画面に「つむぎ」というプレイヤーネームが表示された。


「あ、つむぎちゃん! ……ええと、ひろじいちゃんです、よろしくおねがいします……。よし」


 おじいさんは、(つぶや)きながらメッセージを書いてフレンド申請ボタンを押した。


 おじいさんはスマホを手にとって居間のソファにやってくると、おばあさんはゲームをしようと座椅子に座ってVRグラスを用意していた。


 それを見たおじいさんはおばあさんに尋ねた。


「おばあさんも、つむぎちゃんにフレンド申請するかい?」


「そうねぇ、わたしはゲームでは違う姿ですからね。しばらく様子を見てみようかしら。うふふ」


「ははは、そうだな。じゃあ、わたしが先につむぎちゃんに会ってくるよ」


「おねがいしますね。わたしはお店があるので行ってきますね」


「あぁ、頑張ってな。いってらっしゃい」


 おばあさんはVRグラスをかけてゲームの世界に入った。


 するとその時、おじいさんのスマホが鳴った。


「おや?」


 おじいさんがスマホを見ると、アプリの通知が表示されていた。


『つむぎさんからメッセージが届いています』


「あ、つむぎちゃん!」


 おじいさんは慌ててアプリを開くと、つむぎからメッセージが来ていた。


 ーーーーーーーーーーーー

 つむぎ:ひろじいちゃん?


 ひろし:はい。ひろしです


 つむぎ:ひろじいちゃんバスから見たよ! かっこよかった


 ひろし:ありがとう、はずかしいです


 つむぎ:ひろじいちゃん、いまゲームやってる? いまピンデチにいるの


 ひろし:いまから行きます


 つむぎ:わかった時計台に行くね


 ひろし:はい。ありがとうつむぎちゃん

 ーーーーーーーーーーーー


 ひろしはチャットを終えると、笑顔でVRグラスをかけた。



 おじいさんは時計台の前に現れると、近くのベンチに腰掛けて孫のつむぎを待った。


「ひろじいちゃん!」


 すると、前から孫のつむぎが走ってきた。


「ああ、つむぎちゃん!」


 おじいさんは笑顔でつむぎを迎えた。


「あはは、本当にひろじいちゃんだ!」


 つむぎはおじいさんに抱きつくと嬉しそうに言った。


「ひろじいちゃん、ゲーム買ってくれてありがとう。とっても楽しいよ」


 おじいさんは、おもわず目に涙を浮かべて答えた。


「あぁ、つむぎちゃんがこんなに喜んでくれるなんて、わたしもうれしいよ。ははは」


 すると、つむぎはおじいさんの手を引いて言った。


「ひろじいちゃん、見せたいものがあるの。こっち来て!」


「あ、ああ」


 おじいさんは、つむぎと一緒にピンデチの外れのほうへ向かった。



 おじいさんたちはしばらく歩くと、ピンデチの森の横へ出た。


 つむぎは周りを警戒しながら少し森をかき分けて入ると、森の中を指さした。


「これ! 見て見て」


 おじいさんも森をかき分けて入ると、なんとそこには美しい花畑があった。


「ああ! こりゃすごい! つむぎちゃんが作ったのかい?」


「うん! たくさんお花集めたの。ここはお友達と一緒に作った秘密の場所なんだ」


「つむぎちゃんは凄いなぁ! とっても綺麗だよ」


「このゲームはね、お花を集めたり、育てたりできるの。友達がやってたから、一緒にやりたかったの」


「花を集めたりもできるんだなぁ、知らなかったよ」


「ひろじいちゃんも、お花持ってる?」


「いやぁ、わたしは持ってないなぁ……」


 すると、つむぎは綺麗な赤い花を1株抜いておじいさんに渡した。


「はい。これ、わたしが育てたんだよ」


「え!? くれるのかい?」


「うん。アイテムになるから、好きなところに飾れるよ」


「ほんとうかい!? うれしいよ、つむぎちゃん」


「おじいちゃん、お花飾る所ある?」


「ええと……。ああ、あるよ。そうだ、一緒にそこへ行かないかい? おじいちゃんのお友達がいるんだ」


「う……、うん。でもちょっと……」


 つむぎは人見知りだったので、少し怖がった。


 すると、それを見たおじいさんは優しい笑顔で気遣(きづか)った。


「つむぎちゃん。おじいちゃんのお友達は、みんな良い人たちなんだよ。もし怖かったら、また2人でここへ戻って来よう」


「……うん、わかった」


 こうして、おじいさんとつむぎはお喋りをしながら、ゆっくりとG区画の家へと向かった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ