第25話 路銀のため
ドロガとシエロの2人は失踪事件の起る村へと足を進めていた。
「なぁ、呪われた鎧兵なんて物語の中の話だろ?」
そういうドロガにシエロは負けじと言い返した。
「そんなことありません!そう出ないと失踪なんて有り得ません。」
「いくら呪いでも鎧兵に切られたら失踪じゃなくて殺人だろう?」
「それは鎧兵が片付けてるんです!」
「そんな几帳面なやついるかなぁ?」
「あなたの時も食べていたのに失踪案件だったんでしょ!?」
「いや、まぁそうだったけど…」
2人は地図から顔を前に向けると小さな村にたどり着いていていた。
「着いたようですね。」
「あぁ。とりあえず口コミだな。」
「そうですね…」
村はなんとも物々しい雰囲気を漂わせていた。そこだけ曇りかのように活気のない村は小さな森に囲まれていた。
「なんか、入りたくないですね。人もいないし…」
「そうだな。でも入るしかない!」
そう腹を括った2人は村の中へと入っていった。そこで、ある老爺が話しかけてきた。
「若者たちよ。何をしに来た。」
「あっ、失踪事件の呪われた鎧兵の討伐の依頼に…」
「ふん。まったく。まだギルドは情報の更新
「とにかく北へ進めば必ず死ぬ。お暗闇様によってな」
「結局お暗闇様ってなんなんだよ.。」
「あぁ。ここらの森の至る所に出てくる。脅威だよ。」
「脅威?お前たち支配でもされてんのか?」
「あぁ。まさにそうだ。何かをした人間をお食べになっている。そこから古いにかけりたように生き残っているのが俺らだ。」
「食ってるってことは鎧兵の可能性は潰れたな?」
そう優越するドロガにシエロは、ため息を着いた。そして老爺に向かって疑問を呈した。
「それを誰か見た事はあるのですか?」
「誰も見たことねぇが誰でも見たことがある。死にたくねぇならその依頼書ここで捨てて逃げろ。諦めるなら今のうちだ。今まで出会ってきた冒険者のほとんどはお暗闇様に食べなられたんだぜ。」
「ほとんど?」
「あぁ。ほかのやつらは偶然逃げ切れたやつさ。」
「そんなに恐ろしいのですね。」
完全に萎縮している老爺に2人はこれからは行う依頼に薄ら寒い雰囲気を感じていた。しかしドロガはそれらを打ち消すようにゴングを鳴らした。
「じゃあ、森に入るか!」
「そうですね!」
そう言うドロガとシエロに老爺は止めに入った。
「まて!なんでそんな自殺行為をするんだ!一体なんのために…?」
「路銀のためです。」
***
時を同じくしてマリナとクルヴァ。
「依頼内容は「出られない部屋の討伐」?なにこれ?わかる?クルヴァ」
そう聞くマリナにクルヴァは首を横に振った。
「出られないなら外から破壊するしかないよね。」
そう考えるまりなは吹っ切れたようにいった。
「場所はここから北東に進んだ街のはずれにぽつんとあるみたいだね。とりあえず行ってみよっか。」
クルヴァは首を縦に振った。
「じゃあ出発!」
***
そして一方クロス、フリンのふたりは依頼に不信感を抱いていた。
「依頼は「意志をもつ剣の討伐」……?そんなもんあるのか?」
そう言うフリンにクロスが口を開いた。
「剣と戦えとでも言うのか?」
「おかしな話だよな。」
そうフリンは笑った。
「まてよ。戦うってことはその時剣は浮くのか!?」
「いや、幽霊が操ってるわけじゃあるまいし。」
「これ、もしかして幽霊討伐なんじゃねーの?」
「え、嫌だぜ?俺、幽霊の類は心底苦手なんだ。」
「うるせぇな。行くぞ。」
***
「この小屋らしいね。」
クルヴァとマリナの2人はその場に到着後、街の人に聞き込みをしにまわり、小屋に行き着いた。
『街の人に聞くに、これが入ったら二度と出ることはできない呪われた小屋だそうだ』
「じゃあ、攻撃魔法で外から壊しちゃおっか。あーしらが1番イージーだったんじゃない?」
そう言うマリナを横目にクルヴァは扉を開けていた。
「ちょっと!なんで開けてんの!?入ったら出れないんだよ!?」
『いや、何となくどうなってるのかなぁと。』
「ダメでしょ開けちゃあ……」
そう、マリナが部屋を見ると普通の部屋が広がっていた。
「なんか甘い匂いがする…」
マリナは突然虚ろな目で小屋に入ろうとした。しかし、すかさずクルヴァに弾き返された。
『だめだ。近ずいたら。』
ハッとしたマリナは自分が合うだったであろう未来に背筋を凍らせた。
「なんか、催眠薬があるかも!クルヴァ!」
『僕は大丈夫。バンダナ巻いてるから。しかしこの仕組みを知らない限り倒してもまた出てくるかもな。』
「うん…確かに……」
『なんか手頃なものないか?』
「ペンなら…」
そしてクルヴァはペンを部屋に投げた。すると部屋に擬態していた巨大な牙を持つそれは勢いよくペンを飲み込んだ。
「ミミックっ……!!」
『そのようだな。』
「どうやって倒すの!?」
『ミミックを倒すには外側からじゃ意味がない!内側から爆破しないと』
「1回飲み込まれろって言うの!?」
『いや、飲み込みまれるのは僕だけでいい。』
「え!?なんであんたが。」
『僕が食われて中で暴れる。苦痛で姿をあらわした時、攻撃魔法を撃ってくれ。』
「でも、そんなリスキーな!」
その時はもう既にクルヴァは部屋の中に飛び込んでいた。
マリナの返事を皮切りにクルヴァはミミックに飛び込んだ。そして数十秒後、吐血しながらミミックは口を開いた。
「もうぅぅ!なんであんたの命背負わなきゃならないの!」
マリナはミミックに「シャトーノーン!」と攻撃魔法を叫んだ。
それは小屋を崩壊させ、ミミックの牙を折り、そしてその体を貫いた。
ムクっと這い上がってきたクルヴァをマリナは酷く心配したがクルヴァは平成を装った。
『よくやってくれた。信じていたぞ。』
そう紙を見せられた瞬間、マリナとクルヴァはハイタッチをして2人とも座り込んだ。
「ちょっと休憩しよっか。」
それにクルヴァはこくんと頷いた。
***
「なぁ、クロス、どうやら俺たちの舞台はこの洞窟らしい。」
クロス、フリンの2人は小さな岩山の洞窟に来ていた。
「こりゃまぁ、ただの洞窟だな。」
そう言うドロガはフリンに「もうちょっと警戒したらどうだ」と小突かれた。
「ここら一体に来た人間はそいつのせいで切り伏せられてるらしい。なかなか手強そうだな。」
「意志を持って動く剣。剣がやべぇか幽霊がいるのか。」
そういうクロスにフリンは叫んだ。
「幽霊だったら俺、逃げるからな!!全部お前がやれよ!」
そう言うフリンを横目にクロスはおもむろに洞窟に近づいた。
「なんで、こんなに近づいて、出てこねぇんだよ。」
そう言うクロスにフリンは「確かにそうだな」と反応した。
「もし仮にだ。俺らの強さがオーラとして届いてる説ないか?」
「いやぁ、そんなこと…」
すると洞窟から剣が飛び出してきた。クロスは頬を掠め、血を流した。
「フリン!構えろ!」
そう話した時には既にフリンは剣からの攻撃を剣で受けていた。
「へへっ洞窟の中じゃ狭すぎるってことか?」
そう煽るように言ったフリンにクロスは叫んだ。
「こいつ幽霊にしては高度まで上りすぎだ!幽霊説は消えた!こいつは剣自体がヤバいやつだ!」
「わーってるよ!」
そう言ったフリンは剣に向き直った。
「なんだ、ただの錆び剣相手の居合稽古か?」
フリンが剣と、剣戟をかき鳴らしている間、クロスは立ち尽くしていた。
「俺に今何ができる……あの剣とフリンが戦ってる間に何が……」
そう考えたクロスは自らの双刃刀を抜いた。
「おい!胸糞剣!かかってこい!」
そう叫んだクロスにフリンは動揺した。
「何やってんだよ!」
その時は既にクロスの元へ剣は届いていた。それを双刃刀で受け流したクロスはフリンに叫んだ。
「フリン!剣身じゃねえ!なかごを狙え!」
何度も打ち合いを繰り返すクロスにフリンは限界が見え始めていた。
「なかご…持ち手と剣身を繋ぐ部分。確かにあそこをつけりゃ剣身は落ちて戦いにはならないが……そんな精密なことできるのか……」
「フリン!早くしろ!」
そう急がせるクロスにフリンは腹を括った。とんっと飛び上がったフリンは空中からなかご目掛けて振り下ろした。
するとゴリっと音を立て持ち手から剣身が零れ落ちた。剣はそのまま意識が落ちたかの如く、カランカランと音を出した。
緊張と疲労で息を切らした2人はそのまま倒れるように寝転んだ。
「はぁ、死ぬかと思った。」
そう言うクロスにフリンは煽った
「あれだけでか?」
「お前もだろ…」
***
一方、ドロガとシエロは村を通り森の中へと歩を進めていた。
「なぁ、呪いの鎧兵なんていなかっただろ?」
「まだ分かりませんよ?お暗闇様っていうのがなにかわかっていませんし。」
「さて、行くか!お暗闇様討伐! 」
「はい!」
森に入って数分後、2人は不気味な気配に気づいた。
「この森がこんなに暗いのに理由はあるのでしょうか…」
「どういうことだ?」
「もしかすると呪いの鎧兵なんて比じゃないくらい危険な依頼かもしれません。」
「なんだよ!教えてくれ!」
「影を食らい、人間の存在を消す魔法動物シャドウイーターかもしれません…」
「なんだそれ?」
「シャドウイーターはその人の影を食らう魔法動物です。」
そう冷や汗を垂らすシエロにドロガは心配した。
「ダイジョーブか?顔色悪いぞ?」
「シャドウイーターは本来1級魔法使い以上が扱うことのできる魔法動物です。私たちでは勝てません。闇の中の失踪事件、不自然に高い報酬…なんで気づかなかったのでしょう。」
すると「コォォォォ」という禍々しい雰囲気を帯びた声が聞こえてきた。シエロは指先が微かに震え、呼吸を忘れてしまうほどの恐怖に襲われた。
「学窓でならいましたシャドウイーターは影の濃いところに稀に現れる…このほとんど陽の差さない森ではやつの独壇場です。」
その震える手をドロガが握った。
「大丈夫。お前は強い。おれも強い。だから安心しろ。自分を信じろ。」
落ち着きを取り戻したシエロは姿勢を正した。そして、とうとうシャドウイーターは姿を表した。
「やっぱりです。あれがシャドウイーター。」
「シエロ、どうやれば勝てる?」
「やつは物理攻撃が効きません。」
「じゃあ俺戦えないじゃねぇか!」
「いえ。あなたには戦ってもらいます。ドロガ様はその剣で陽の光を反射させてダメージを与えてください。私が唯一やつに効く魔法、戦いを終わらせる魔法を放ちます。」
「戦いを終わらせる魔法?」
「えぇ。戦いを終わらせる魔法には色々なものを賭けることによってそれを代償に戦いを終わらせることができます。今回は単純に生死を賭けます!」
「え!ってことはおれが劣勢だとその魔法に負けて死ぬってことか!」
そう驚愕するドロガにシエロは言い切った。
「いえ。死にません!ドロガ様ならやってくれると信じているので!」
そしてシエロは少し声を張って言った。
「では、行きましょう!」
「おう!」
そしてドロガは闇にこぼれた光をキラキラと反射させシャドウイーターに光を当て続けていた。
「まだです!シャドウイーターはまだまだ元気だと思います!」
「んな事言ったって難しいんだぞ!」
「がんばってください!」
ドロガの光を反射させる事でシャドウイーターにゆっくりではあるが着実にダメージを蓄積させていた。
「いい感じです!」
シエロも魂の天秤の魔法を使い、シャドウイーターとドロガの優劣を測っていた。
しかし、その瞬間、シャドウイーターはシエロに向かって抱きついた。そして大きな口を開けシエロの影を飲み込もうとした。すると、シエロの姿が薄くなっていった。
「やめろぉ!」
そう言ったドロガは剣を突き刺した。すると、シャドウイーターは痛みに顔を歪めてシエロの影を吐き出した。
「ありがとうございます…危なかったです……」
「どうだ?戦いを終わらせる魔法、使えそうか!?」
「はい!余裕です!」
そう言ったシエロは「グリンハンガー!」と叫んだ。 すると全てが一瞬止まりガタンと空気が動いた。
そして時間が動き出すとシャドウイーターは地面に付してサラサラと消えていった。
「あー疲れた。マジでやばかった。」
「すみません。私の不手際で危険な思いをさせてしまって。」
そう申し訳なさそうに言うシエロにドロガは軽く返した。
「いいって。そんなこと気にすんな。助かったんだ。」
「えぇ。ありがとうございます。」
「じゃあ、行こうか。」
そう言うドロガの裾をシエロは引っ張った。
「あ…あの…腰が抜けて立てないです……」
「ははっシエロもそんなことあるんだな。」
「うるさいです…。」




