物理的ダイエット化学的ダイエット
「科学的じゃなくてっスか?」
年末年始の体重増加は、誰しも悩むところだ。
「そう。キョン子もよく聞くだろ。ダイエットは運動よりも食べるものが重要だって話」
キョン子が俺の背中をめくった時に、ボディチェックは済んでいる。
「ああ~。言いますよね、それ!」
不満げなキョン子。
「お前は絶対無理だろ。好きなもんぐらい食べさせてくれって話だぜ」
ダイエットが脂肪量を基準に語られるようになったのは、いつ頃だろうか。
「そう考えると、脂肪の多い少ないだけがプロポーションや美しさを左右するのか気になりますね」
食べなければ痩せるが、とても健康的とは言えない。栄養が局所的に蓄積するので、バランスが悪い。
「だから俺は化学的ダイエットより物理的ダイエットが好みなんだよ」
逆立ちをしたら、栄養の行き渡り方はどのようになるだろうか?
「先輩いっつもあれやってますもんね」
部屋の隅っこにぶら下がり健康器がある。ぶら下がる以外にも色々出来るんだぜ。ちょっと手を加えてあるんだ。
「よっ」
懸垂は朝飯前。片手。指二本。
「すごすぎて引くレベルですよ!」
キョン子は痩せてるわけでは無いが太ってるわけでも無い。食べるのが好きだからいまの内からやっとかないとな。
「なんかオヤジの論評みたいのが聞こえましたよ!」
鉄棒にぶら下がって脚を上下させたら、脂肪の蓄積の仕方はどのようになるか?
「でもめっちゃ効くっスね!」
軽い分、懸垂は女子のほうが得意だったりもする。
「運動して脂肪を燃焼させて~ではなく、物理的に肉体を変形させるイメージだな」
脂肪を燃焼させてが行き過ぎると、延々と有酸素運動を続けることも考えられる。
やれる人はいいが、大多数がここで脱落してしまう。
「たっぷり動いたんで、骨付きカルビが食べたくなりましたよ!」
キョン子の動作を見てもなんとも思わないが、どこか胸騒ぎな腰つきだな。




