信用毀損罪
「あまり滅多なことを言うもんじゃないっスね」
キョン子が眉をハの字にしている。
「炎上商法のせいで『口は災いの元』が空しく聞こえるな」
バカを連呼する煽りはバカのひとつ覚えだから、やめた方が良いぞ。
「先輩が以前[誣告罪]の話をしてたじゃないすか。あれに該当する事件で判決が確定しましたよね」
いまどきの16歳ってこんな風なの?
「あったな。で、お前はどう思うの?」
女としての考えを聞こう。
「その虚偽告訴をした人物は罰せられて当然ですが、それに乗っかって不確かな情報を広めた人たちは、これまた罪深いですよ」
発言を謝罪するならまだしも、居直ってるからなあ。
「名誉毀損は耳タコだが、信用毀損罪ってのもあるぞ」
【刑法第233条】
虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
『これが事実かどうかは知りようがないんだから私には責任が無い』との言い逃れは出来ない。その風説が被告人によって創作されたか否かは問わないとの判例が、大昔に出ている。
『そんなことを言ったら殺されるぞ!』という窘めが、様々な問題を未然に防ぐ抑止力として、かつては存在した。
暴力反対の名の下に、どんな無礼な発言も野放し状態と成り果てている。
発言の当事者たちも自ら気苦労の絶えない生活を送る羽目になっているのだが、これで良かったとはとても言えない。
「私人逮捕も問題になっていますね」
彼らは法律に基づいていると思い込んでいる。
「それなら話は簡単だ。刑法第220条で、逮捕及び監禁の条文があるだろ?」
「ああ、これっスね! あの人達も正義感で動いていますから、これを読んだら大人しくなりそうです」
その心意気やヨシなんだが、勇み足の感は否めないな。




