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きゅんきゅんハニー  作者: 松宮星
少女の旅立ち
10/236

発明家は浪漫機械の夢を見るか?

 アタシとジョゼ兄さまは二人っきりだった。


 馬車は、仲間候補のルネさん家の近くに止まっている。


 他のみんなは、ルネさんに会いに行った。


 ドロ様ご推薦のルネさんは、発明家とのこと。

 郊外のお屋敷に籠って、日夜、画期的な発明品づくりにいそしんでいるらしい。

 ルネさんの人柄や発明品を観察した上で、『魔王戦で役立つ人だ!』ってみんなが認めたら、アタシもルネさんに会う。

 まあ、そこでアタシが萌えられなきゃ、仲間にはできないんだけど。


 今、目隠しをしたアタシの横には、ジョゼ兄さまが座っている。

 みんなと一緒に行ってって頼んだのに、『ジャンヌを一人にはしておけん。俺は残る』と席を立とうとしなかった。

 護衛役なら俺がやります、ってアランが言っても聞く耳もたず。仲間選びは任せたぞとクロードに。『どうせ、どんな奴だろうが気に喰わんのだ。俺が行っても無意味だ』って。

 で、さっきから、ずーっと黙ったままなのだ。


 ジョゼ兄さまは、よく言えばマイペース。悪く言えば自分勝手だ。

 団体行動って意識なさそう。

 それに、アタシとクロードとしか会話しない。『もっと社交的になって』って叱った後は、アランとも話すようになったけど……

 ドロ様が仲間になった時も喧嘩腰だったし、さっきはカーッとしてリュカをぶん殴ろうとしてた。

 お師匠様のことも嫌ってるみたい……


 アタシの仲間は、百人にまで増える。

 これから先、ジョゼ兄さまはみんなと仲良くやっていけないんじゃ……

 むぅ。


「ジョゼ兄さま」

 アタシは左手でジョゼ兄さまの腿に触れた。手を握りたかったんだけど、思った場所に手がなかった。

 目隠しのせいで、どこにあるのかわかんない。ジョゼ兄さまの腿の上に掌を滑らせ、ジョゼ兄さまの手を捜す。

「ジャ、ジャンヌ?」

 どこよ、手は?


「聞いて、兄さま。アタシ、百人の男の人を仲間にする」

 魔王を倒すために。

「でも、兄さまは特別。他の仲間とは違うわ」

 たった一人の義兄だもん。周りの仲間から浮きまくったら、困っちゃう。


 お。

 見っつけた、手。

 ぎゅう。

「兄さまからすれば面白くない事もあるかもしれないけど、アタシのために、我慢してくれる?」

「ジャンヌ……」

 ジョゼ兄さまの体が震えている。

 寒いのかな?

「お願い、兄さま……」


 お?

 おおお!


 ハグされてしまった!

 すごい弾力。兄さまの胸、逞しいわ。


「すまん……ジャンヌ。許してくれ」

 兄さま?

「おまえは勇者の使命を果たす為に、よその男どもと仲良くしているだけだ。頭ではわかっていた……わかっていたのだが……」

 兄さまがアタシの背をぎゅっと抱きしめる。

「我慢ならなかったのだ……馬鹿な俺を許してくれ……」


 アタシからも、兄さまにしっかりと抱きついてあげた。

「できるだけでいいから、みんなと仲良くして」

「……わかった」


「お師匠様ともよ?」

「……ああ」

 すごく嫌そうな声。


「ねえ、もしかしてお師匠様が嫌い? どーして?」

「昔……ちょっとな」

 兄さまは吐き捨てるように言った。

 けど、そこでおしまい。何があったかは語ってくれない。話したくなさそう。


「お師匠様はぶっきらぼうだけど、優しい人よ? ずーっとアタシをかわいがってくれたわ」

「そうか……なら、いい。おまえが不幸だと感じずに育ったのなら……」


「ぜったいみんなと仲良くしてよ?」

「……努力してみよう」

「できるわ、兄さまなら。魔王を倒すまでの間だもん」

「そうだな…… 魔王さえ倒せばいいんだったな」

 ジョゼ兄さまがぎゅうぎゅうアタシを抱き締める。伝わってくる心臓の鼓動が、やたら早い。熱血漢の兄さまっぽい。


 と、そこへ。

「ジャンヌぅぅ、ジョゼぇぇ」

 ちょっと遠くから、クロードの情けない声が近づいて来る。

 発明家さんの能力チェックが終わったのかしら?


 兄さまが、アタシからそっと離れる。

 左のほっぺにあたたかな感触。チュッしてくれた。

 あれ?

 そこ、さっきリュカにキスされて……アタシまだ拭いてないんだけど……

 てか、その前にクロードに鼻水つけられてたかもしれない……


 馬車の扉が勢いよく開いた。

「すごいんだよ! 二人とも来て!」

 声をはずませて、幼馴染が中に飛び込んできた。

「テオドールさんも、もう反対してない! ルネさんに会って!」

 らしくないほど、興奮してる。


「百万ダメージ以上、出せそうな人なのね」

「うん! すっごい人だもん!」

 クロードが断言する。ビビリのこいつが、初対面の人をそこまで気に入るとは。

 がしっと、左手が握られた。

「行こう! ぜったいジャンヌもジョゼも好きだよ!」

 好き?

「早く、早く!」



 こ、これは……

 確かに、すごい……

 目隠しを取ったアタシは、硬直してしまった。


「はじめまして、勇者様。お会いできて光栄に存じます。発明家ルネです」


 まじまじと見てしまった。


 こちらの戸惑いなど承知しているとばかりに、相手は自分の胸をバン! と叩いた。

「おお、これに注目なさりましたな! さすが勇者様、お目が、高い!」

 いや、視線を向けたら、否応もなく見ちゃうでしょ、そこ。


「ただのヘルメットと、ごっついプロテクターではありませんぞ! ドラゴンにふみつけられてもへっちゃらな強度! 背中には、魔法機関のロケットエンジン! 城壁すら一撃で粉砕する鉄の拳! これこそ、私の最高傑作のひとつ、フル・ロボットアーマーです!」

 えっと……


「腹部には、トランクばかりか、貯水タンクに食料収納ポケット、更には薬箱まで完備! これさえあればもう大丈夫! どこで迷っても安心ですな! 迷子の友、その名も『迷子くん』。今ならたったの百二十万ゴールドでお納めします。いかがですかな、一着!」

 迷子用装備なのね、それ……


 目の前の人物は、たとえるなら、足が生えたチェストだ。木製ではなく、金属製だけど。

 頭部はフルフェイスのヘルメットに覆われている。半透明なシールドガードのせいで、顔がまったく見えない。


「ね? すごいでしょ!」

 興奮したクロードが、アタシの肩を揺さぶる。

 メカメカしいロボットアーマーを見つめ、目をキラキラと輝かせて。

 そっか。男の子回路を刺激されちゃったわけね。


 ソファーを勧められたけど、断った。

 だって……ダニがいそうなんだもん。お師匠様もテオ達も腰かけてない。ソファーの前に立って、アタシと発明家さんを見ている。


 何というか、汚い部屋。壁の前には木箱が雑然と積まれていて、その上につくりかけの機械やら紙の束がどさ〜っとあって、脱ぎ捨てた着替えと思われるものまで積んであったりして。

 ばっちい……

 どーみても、お客さんを通す部屋じゃない。

 てか、お化け屋敷みたい。ソファーは色あせてるし、テーブルにもへこみがある。どこもかしこも汚れている。床に瓶まで転がってるし。

 何年、掃除してないのよ。

 造り自体は立派なのに勿体ない……家具や壁紙は凝った意匠だし。


「おお、この部屋の発明品に注目してくださってますな! さすが勇者様、お目が、高い!」

 いや、違います。部屋のちらかり具合に呆れてただけです。


「しかし、ここは普段使わん部屋なので、試作品やボツ作品しかありません。お見せするのもお恥ずかしいものばかり。そうですなあ、現在おすすめできる発明品は……」

 機械仕掛けの手が、ロボットアーマーの腹部より何かを取り出す。

「これ、これ! これなどいかがです! 『だれでもテント』+『どこでもトイレ』の便利野営セット! 圧縮すればボール(だい)! 冒険のお供に最適ですぞ! 今でしたら、携帯洗顔器『お顔ふき君』と『ぶんぶんナイフ』もおつけしましょう!」

 はぁ。

「むむ、乗り気ではない? でしたら、こちらなどいかがです! 『魔力ためる君』+『呪文いってみよー君』の魔術師ごっこセット! これさえあれば、魔力のない一般人も魔術師気分で大活躍! 『ファイアー』で、ステーキも一瞬で作れますぞ!」

 ぴくっと隣の幼馴染(バカ)の目が輝く。アンタ、偽の魔法で肉焼いてどーすんのよ。


 まず、これ聞かなきゃ。

「失礼ですが……何故、その装甲をつけてらっしゃるんですか?」


 アタシの質問に、金属の塊が即答する。

「むろん、発明家のアイデンティティーの為!」


 はい?


「私は『個人発明家』でして……。発表の場が少なく、いいモノを作っても市販ルートになかなか乗せてもらえんのです。『安心』を買いたがる人が多いですからなあ。発明品の良し悪しではなく、大学やら機械工房のブランド物かどうかで、売上が変わるのですよ」

 嘆かわしいことです、とロボットアーマーの人がフーッと息を吐く。


「だから、発明品を着て歩きなって、助言してやったのさ」

 フフッとドロ様が笑う。

「歩くだけで無料の宣伝だし、興味を持ってもらったらその場で発明品の説明も販売もできる。顧客増加間違いなしだろ?」


「おかげさまで、何処へ行っても注目の的でしてな! 発明品も少しずつ売れるようになってきましたぞ! アレッサンドロさん、いやはや、誠に感謝しております!」

「いやいや」


 お客さんは増えたのかもしれない……

 でも、何か大切なものを失ったんじゃ……?


「勇者様、私の発明品はどれも最高のモノばかりです!」

 ロボットアーマーの人が、作り物の手をぐっと握りしめる。

「攻撃でも防御でも、知的アイデアでも、生活必需品でも何でもござれ。私は、お買い得ですぞ? あなたの冒険に、私と私の発明品を加えてみてはいかがですかな?」


「彼は、戦闘力は高いです」と、テオ。

「先ほど、中庭でデモンストレーションを見せてもらいました。自分の身長よりも大きな岩を、右手の一撃で粉砕していました」


「俺より強いです」

 裸戦士が、両腕を組みながら言う。

「戦士の目は、相手の技量をある程度見極められます。ルネ殿は、この中では最強です」


「その男が最強……?」

 横の兄さまが、ぴくっと反応する。

『強い奴をぶっ倒し、最強となる!』的な、格闘家の本能が刺激されたっぽい。

 けど、アタシの伴侶達とは『できるだけ』仲良くしてくれるのよね?

「……私闘禁止」

 アタシが横目で睨むと、兄さまはばつが悪そうな顔になって、小さく(かぶり)を振った。

 そうよ、喧嘩腰はやめてよね。


 盗賊のリュカがフフンと笑いながら、アタシを見る。

 他のみんなから離れて、リュカは立っていた。養い親のドロ様が、かろうじて近い。

「良かったな、強いんだってさ。萌えて仲間にしたら?」


 むぅぅ。

 メカに萌える趣味はないんだけど。


「発明への情熱を忘れられず、第二の人生を歩み始めてから、はや十年……」

 遠くを見やるように、ロボットアーマーの人が虚空を見上げる。

「妻に見捨てられ、親族からも縁を切られ……それでも夢を諦めずに発明を続けて来た甲斐がございました! 勇者様と出逢えましたからな! 今日この日の為に、私は生きてきたに違いありませぬ!」


 ロボットアーマーの人が、アタシに迫って来る。

 ガッションガッション、ドスン、ドォン!

 すっごい騒音。

 歩く度に、シンバルを鳴らすようなけたたましい音が響く。


「勇者様! 是非、私を仲間に加えてください!」


「私の発明品は、旧来の常識をくつがえす革新的なモノばかり! 絶対、お役に立ちますぞ! ぜひとも魔王戦でお使いください! 私の発明品が、この世を救う! これほど発明家冥利に尽きる事はありません!」


「更に! 魔王戦で活躍すれば、『もと勇者の仲間』というブランドもゲットですからな! 一度注目されれば、こっちのもの! ルネ工房の優秀さはたちどころに広まり、スポンサーも鈴なり! お金がなくて諦めた、アレもコレもソレもぜ〜んぶ開発できますぞ!」


 ふきだしてしまった。

 世を救う夢は本気なんだろうけど、途中から発明品のアピールに浪漫の矛先が摩り替わってるんだもん。

 でも、ここまであからさまだと、かえって愉快だわ。

 正直者で野心家のオジさんなのね〜


「しかし、お役に立ちたいという気持ちに偽りはありませんぞ? 勇者様と私の未来の為に、ぜひこの私を仲間に!」


 アピールを終えたらしく、機械の右手がフルヘルメットの頭を掻く。

「ああ、失礼。少々、熱くなってしまいましたかな」


 暑い暑いと、ルネさんがフルヘルメットを外す。


 そこから現れたのは……

 意外な顔だった……



 胸がキュンキュンした。



 心の中でリンゴ〜ンと鐘が鳴る。

 欠けていたものが、ほんの少し埋まっていく、あの感覚がした。


《あと九十二〜 おっけぇ?》

 と、内側から神様の声がした。



 うっわぁ……

 どうしよう……

 格好よすぎて鼻血でそう……


 太くて濃い眉、筋が通ってキレイな高い鼻、少し重たげな瞼が優しげな垂れ目なのに、琥珀色アンバーの瞳の眼力めぢからったら! まつげも長くて、セクシー……

 全てを抱擁してくれそうな笑みの口元を飾る、念入りに整えた口髭が、また!

 そんでもって、ポマードで撫で付けたオールバックが、もう! キレイな広い額! ほんのちょっとだけ乱れてて、黒い前髪がはらりと垂れてるところなんか、うっはあ……

 やだぁ、大人の色気ぇぇ!

 どうしよう、萌えるぅぅ!

 わ、若造には絶対出せない魅力が……びんびん……


 メカの中に、こんな渋いおじ様が隠れていただなんて!


「……仲間にしたのか」

 いつも通り、お師匠様が淡々とつぶやく。


「おおお? 仲間としてくださったのですか!」

 ルネさんが、明るい笑みを浮かべる。

 笑うと口元にしわができる。けど、豊かな人生を生きてきた証というか……包容力を漂わせているというか……

「ありがとうございます! さすが、勇者様! お目が、高い! 決戦日まで、めいっぱい発明いたしましょう! 勇者様とみなさんの助けとなれるように! はっはっは!」


 あああ……素敵、ルネさん……いえ、ルネ様。

 そのご衣装(ロボットアーマー)はナニだけど、ドロ様の野生(ワイルド)さに勝るとも劣らないナイスミドルのフェロモンが……

 癒されるどころか、よろめいちゃう……



「賢者様から伺いましたぞ。明日にはこの世界での仲間探しを終え、異世界に旅立たれるのだとか」

 ルネ様がバン! と胸を叩く。

「旅の準備はお任せくだされ。あらゆる危機に対処できる、発明品をご用意しておきましょう」

 おおおお、頼もしい!

「明日の朝にはみなさんと合流すればよろしいかな? 宿泊先のオランジュ伯爵邸まで『迷子くん』で飛んで行きますぞ」


「え? そのロボットアーマー、空が飛べるんですか?」

 アタシが尋ねると、発明家のおじさまはニッコリと微笑んだ。

「もちろんですぞ! 背中のロケットエンジンは飾りではなく、ロケットバーニアに変形しますからな! 『迷子くん』は飛行ロボットアーマーなのです! 空飛ぶロボは発明家(おとこ)のロマンですぞ!」

 アタシの横で、幼馴染が『うん! うん!』と頷いている。


「空を飛んで、大岩も一撃で粉々……すごいですね、そのアーマー」


「いやいやいや。それは『迷子くん』の能力のほんの一端にすぎませぬ」


 あ。

 フルヘルメット、被っちゃった。

 半透明なシールドガードのせいで、被ると顔がまったく見えなくなるのよね。

 チェッ。もったいない。

 せっかくのイケメンおじさまが、ただの機械の塊に……


「突然の雨! 困ったなーという時にはこれですぞ! 傘変形!」

 へ?

 グォングォン音がして、ロボットアーマーの左手が変形し、ポン! と傘が現れる。

 ロボットアーマーの左手の先が、真っ黒なコウモリ傘に変形……。


 周囲がシーンとする。


「どんな雨が降っても、これでへっちゃらですな! もちろん、回転しますぞ! これができてこその発明、浪漫ですからな!」

 傘がぎゅんぎゅんと回り始める。


 クロードだけが両手をがっしり組み合わせて「かっけぇ……」って目をキラキラさせてるけど……


「おなかがすいた! 困ったなーという時にはこれですぞ! 自動調理機能! 食料収納ポケットから素材をランダムに選び胸部のレンジで適当調理! 何ができるかわからない闇鍋的楽しみも付加されていますぞ!」

 ランダムって……

「すげぇ!」とクロードは感動の様子。

 でも……

 アタシは、お師匠様やテオ達を見渡した。ドロ様はニヤニヤ笑っていて、それ以外のみんなは『微妙〜』って顔をしている……


「それでは、とっておき! 川に行った! 困ったなーという時にはこれですぞ! 『ザリガニくん、とれ〜る』! お腹から網が出てザリガニすくい放題! 水槽がザリガニでいっぱいに……」

「うぉぉぉ!」

「マジか!」

 バカが身を乗り出す。ってか、ちょっと待って。何で兄さまも目を輝かせて食いついてんの? そもそもザリガニのどこがいいのよ? 理解不能! 男って、ほんとわけわかんない!



 しばらくルネ様…… いや、ルネさんは熱いトークを語り続けた……


 その結果、わかった。『迷子くん』には武器が無いのだ。


 いや、そのまんまでも強いんだけど!

 ギミックを搭載するんなら……ミサイルとか、レーザーソードとか、ドリルアームとか……もっと、こう……


「いやはや、発明資金が足りなくて」

 はっはっは、とロボットアーマーの人が笑う。

「バッサリ諦めた機能が多いのですよ。欲しかったんですけどな。波動砲とか他次元ミサイルとか加速装置とか、そりゃもう浪漫ですからな。しかし、まあ……今の『迷子くん』も美しいモノです。予算不足の結果とはいえ、極限にまで機能を削った、シンプルでストイックな機械となりましたからな! これはこれで浪漫です!」

 ふーん。

 薬箱とかレンジを付けといて、シンプルでストイックと言い切るのか。



 ヘルメットさえ着けなければ格好いいおじさまなのに……

 ルネ様なのに!

 ヘルメットかぶると、ルネさんに降格だわ。

 ロボットアーマーを普段着にしてるとこといい……

 ちょっと……センスがアレ。


 どーして、アタシの伴侶ってば、こう……。



 魔王が目覚めるのは、九十五日後。



「それでは、また明日。必ずおうかがいしますぞ、はっはっは」

 ルネさんに見送られ、アタシ達は次の目的地へと向かった。


 さっきよりは、馬車の中の雰囲気が和らいだような?

 ルネさんに気圧されて、どっと放心したとか?

 いろんな意味で存在感があったもんね、ルネさん。



 今日はリュカとルネ様……ううん、ルネさんを仲間にした。これから更に一人増える予定。


 順調ではあるんだけど……


 次こそ、まともな(・・・・)ハンサムに会えますように!

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