50 女の戦い! 《完》
この話で完結です!
長めです! 2話分くらい!?
これまでお付き合い頂き、どうもありがとうございます!
それでは最終話! どうぞよろしくお願いします。
「エンジェル王女様!
どうでしたか!?
ヴェステラント殿下の反応は!?」
エンジェル王女が侍女と使節の部屋に引き揚げると礼儀指導係として付いてきているクライン侯爵夫人が待ちきれないように聞いてくる。
クライン侯爵夫人という名を名乗っているが、王の側室のひとりだ。
女性の方が細かいことに気づき、さらに裏からの工作もしやすいということで、頭の切れる彼女が王女の後見(指示役)として付いているのだ。
「あ、ご挨拶はしたわ。
でも、婚約者の方をそれは大事にしているみたいで……」
エンジェル王女は自分を助けてくれたマデラインのことを思い出していた。
正直、ヴェステラント第2王子殿下の顔や姿はぼやっとしか覚えていない。
「素敵だったわ……」
うっとりと言うと、クライン侯爵夫人はにんまり頷く。
「それはそれは、エンジェル様がその気になれば、落ちない男はいませんわ!
そうですか……、では、次の段階に進みましょう。
ヴェステラント殿下の婚約者は学院の4年生なのだそうです。
まず婚約者の令嬢に近づいて……、ヴェステラント殿下へ接触を増やしましょう!!」
「えっ!
あの方と……、お友達に!!」
「はい、王女さえ良ければ、このまま留学させよと王からの指令でございます!」
「留学! するわ! する!」
◇ ◇ ◇
ステファンとエスメラルダの結婚式は盛大に行われた。
その後ろにヴェステラントとマデラインは控えて、見守る。
『穏やかな第2王子』とちょっと変わった『騎士令嬢』として、周囲からは苦笑気味に見られることがあっても、ふたりなら全然平気だ。
「マディ、マディが卒業したら、私達も結婚しよう!」
「えっ!
あ、そうですね……。まあ、それが順当か……。
え、でも、騎士団に……」
「ああ、今のところ、第一騎士団にかなり近いところにいるとか?」
「ええ、カイルも私も頑張っていますから!
でも、ちょっと第三とかにも興味がありますよ」
ヴェステラントが顔を顰める。
「ライトの影響?」
「あ、まあ、なんか予算とか?
私が入ったら、もう少し予算がしっかり付くんじゃ?」
「ライトから……なんか言われた?」
「いやー」
「……私抜きで会ったりしてる?」
「……いやー」
ヴェステラントはため息をついた。
「おかしいな……。ライトはマディが第三に入るのを反対してたはずなのに」
「あー、まあそうですけど。
理想と現実っての? 入ってみたらいろいろ考えたんじゃない?」
「マディもきちんと婚約してみて、いろいろ考えてくれた?」
「きちんと婚約って。
まあ、そうですね。ちゃんと婚約者してると思いますけど、自分なりに」
マデラインが顔を背ける。
ヴェステラントからはマデラインの耳が赤くなっているのが見えた。
「マディ……」
ヴェステラントはにっこり微笑んで、マデラインを抱きしめた。
「ちょっ! ヴェス!」
マデラインがヴェスと呼んでくれることがとてもうれしいヴェステラントだった。
◇ ◇ ◇
「どうぞよろしくお願い致しますわ!
マデライン様!」
4年の教室に現れた制服姿のエンジェル王女にジルティア、ライラベル、カイル、ロザリーは驚いた。
「エンジェル王女、どうぞよろしく。
みんな王城で会ってるもんね。
留学されることになったんだって」
話を聞いていたマデラインは笑顔でエンジェルを迎えて、みんなに説明した。
「よろしくですわ!
マデライン様、まだわからないことが多いので、お隣に座ってもよろしいですか?」
「ああ、どうぞ。私でよければ」
マデラインは優しく対応している……。
ライラベルはカイルに囁いた。
「マデラインのこと、ちゃんと守ってよ」
「えっ、どういうこと!?」
「もう、どんな狙いがあるかわかんないじゃない!」
ランチの食堂でも、エンジェルはマデラインにべったりだった。
ロザリーがびっくりした表情で見ている。
「うわぁ、すご……」
ジルティアが目を細めてエンジェルを見ている。
「えー、剣の授業!?」
「午後から、月一の合同授業なんだ。
ジルティア達が見学に来るから、一緒に来れば?
じゃあ!」
マデラインはカイルと食堂を後にした。
食堂には何となく黙ったままの4人の女子が残された。
「あ……、その、マデライン様の剣の授業、見たいかな。
連れて行って頂ける?」
エンジェルが仕方がないという感じでお願いの言葉を口にした。
ライラベルとロザリーが頷くが、ジルティアが動きもしない。
「ジルティア?」
ライラベルがジルティアを見てはっとする。
「えっと、私達、席を外した方がいいかしら……」
そう言いながら、ライラベルはロザリーの手を掴んで「行くわよ」と言った。
「えっ? なんで?」
そう言いながら連れて行かれるロザリー。
エンジェルは緊張した表情でジルティアを見た。
「何が目的なの?
マデラインに付きまとわないで、不愉快だわ」
ジルティアの低い声。
エンジェルはすっと表情を消し、腕を組み、目を細めて顔を上げるとジルティアを見下すようにする。
先ほどのマデラインの前でのかわいらしい表情が嘘みたいだ。
「公爵令嬢ごときが王女に何?
私はマデラインが気に入ったの!
ふふっ、いずれは私だけの騎士になってもらうわ!」
「……マデラインは私達の大切な人よ!
あんたみたいなあざといだけの女には渡さないんだから!」
「私達、ときたか!
自信がない女は大抵そーいうのよねー」
「何ですって!」
「ふふっ、マデライン様は私のものになるんだから!」
「なっ!
何を言っていらっしゃるのかしら!?」
バチバチと音がしそうなくらいの気迫なのだが、ふたりとも無表情なので、金の髪のエンジェルと銀の髪のジルティアが真剣に向かい合って語り合っているように見える。
遠くからそれを見ていた学院生達は「わあ、おふたりで何を真剣に話しているんだろう!」「これからの国の行方とか?」「ああ、ジルティア様は真面目だからなー」なんて噂していた。
すぐそばの壁の影からライラベルとロザリーは2人の様子を見ていたのだが……。
ライラベルはため息をついた。
「ヴェステラント殿下じゃなくてマデライン狙いって!?」
「わあ、これからはマデラインを巡って女の戦いが始まるの!?
エスメラルダ様に報告しなきゃ!」
ロザリーがワクワクしたように言った。
◇ ◇ ◇ 完 ◇ ◇ ◇
最後まで読んで頂き、ありがとうございます!
読んだ記念に評価していただけたら、とてもうれしいです!
どうぞよろしくお願いします!!
最初は『見たまんま三人称』で書き始めたのですが、ちょっと表現しにくいところが出てきてしまい、途中から方針転換して主要人物の内面も少し書きこむように心がけてみました。
どうだったでしょうか?
主人公はマデラインとヴェステラントですが、いろいろな魅力的でかわいい登場人物をいっぱい書けて楽しかった!
けっこうエスメラルダ様がお気に入り。
ロザリーと『創作』の道へ進まれちゃうかもしれませんね!
うひゃひゃ。
幼い頃の呪い。
私は先天性疾患(見た目はわからない)がありますが、祖母がそんな私になぜか2人っきりの時に、伯父のお嫁さんの愚痴を言うのが大嫌いでした。
お嫁さんの疾病は結婚してからなのか、その前からなのかは小学生の私にはわかりませんでしたが、どうやら聞いていると私と同じ内臓の疾患のようでした。
祖母は「あの子(伯父)は騙された」「持病があるなら嫁になど貰わなかった」と愚痴り続けます。
いや、私も今のところは目立った症状ないけど、同じような持病持ちだしな。
大人になったら症状出るかもだし……。
嫌な気持ち、でも2人で家にいてばあちゃん見てないとだしと、子どもながらに葛藤し、怒ってその場を離れるという選択ができませんでした。
結婚相手の親にここまで言われるなら、自分は結婚できないだろうなー思いました。
短編の後書きで書いたことがありますが、それもあり初めての恋人と結婚の話が出た時には、馬鹿正直に初対面時にご両親に自分の持病のことを伝えました。
次の日に恋人から両親から反対されたからあきらめることにしたと伝えられました。
夫はその時の恋人なので、まあ、ハッピーエンドなのかもしれませんが。
母がパートから帰ってくる夕方前、電気をつけるほどではなく、でもどんどん暗くなりつつあるリビングで祖母のぼそぼそ言い続ける愚痴(呪い)は、本当にいまだに忘れられません。
途中からそんなことを思い出して書いてました。
最後まで読んで頂き、ありがとうございます!




