ハニトラ男には、男に飢えた婚活女性をぶつけるのが正攻法です ④
ゴールデンウイーク中に祝勝会編の投稿が出来ました。待たせてしまい済みません。
引きも切らぬ挨拶の雨が途切れた頃。
遂に、佐久間支部長率いる日本支部の面々がやって来た。
支部長の後ろにいるのは、松永大佐と大林少佐の他に、一条大将と工藤中将と氷室中将の、合計五人がいた。全員盛装している。
ただ歩いているだけなのに、あちこちから松永大佐の名前を呟く大勢の女性の声が聞こえた。その中には松永大佐に秋波を送る女性もいた。松永大佐はガン無視して歩いている。
……松永大佐は本当にモテるな。
そんな日本支部一行は、こちらに向かって真っすぐに歩いて来た。自分がいる事に気づいた工藤中将の顔が、一瞬だけ引き攣ったものに変わり、次の瞬間には真顔に変化した。顔芸人みたいだな。
工藤中将の他に、一条大将と氷室中将も自分の存在に気づいた。しかし、視線が合っても二人の顔に変化は無い。支部長と松永大佐と大林少佐の三人は、自分がいる事を事前に知っているので無反応だ。
「直接会うのは久し振りですな、元支部長」
「最後に会ったのが九月だから、三ヶ月振りだな」
歩み寄って来た支部長と、待ち構えていた祖父が挨拶と共に握手を交わした。
「馨子、久し振りだな」「うふふ、父さんも久し振りね」
親子なのか、氷室中将は男性老人との再会を喜んでいる。
「一条、大過は無いだろうな?」「ハイ。アリマセン」「美緒、元部下をいびってどうする気なのだ?」「朔良、いびってはいないぞ」「そう見えないから、言っているのよ」
一条大将は二人の老婆に挟まれていた。気のせいか、一条大将が緊張している。それにしても、祖父が『飯島』と呼んでいた老婆が一条大将の元上官だったのか。
残りの三人は蚊帳の外になっているが、誰も気にしない。工藤中将に至っては、自分を見ないように明後日の方向に顔を向けて『うげっ』と声を上げた。
釣られた自分も工藤中将の視線の先を見ると、そこには豪奢に着飾ったドレス姿の初老の女性がいて、大股でこちらに向かって来ていた。
「ねぇちゃん――じゃなかった、姉貴!?」
工藤中将の悲鳴のような声を聞き、全員の視線が工藤中将に向いた。直後、大股で歩いていた初老の女性がこちらに辿り着いてしまった。
「太一! 久し振りに会う姉に向かって、その反応は一体何なんだい!」
工藤中将の前に立つなり、女性は怒鳴った。工藤中将は弁明を始める。
「いや、姉貴が出席するって聞いていないんだけど!? 今日は何時もと種類が違うパーティーだよ!?」
「ウチのグループが一番日本支部に出資しているのに、その代表の私が呼ばれない訳ないでしょう! 常識でものを考えなさい!!」
「……ソウデスネ」
今、聞き捨て出来ない事を聞いた気がした。
工藤中将の実家(グループだから多分実家で合っている)が、日本支部出資者トップなの!?
会議であんなに雑な扱いを受けている工藤中将の実家が……。世の中には不思議な事が多いな。
驚きが顔に出ないようにしていると、工藤中将の姉に当たる女性は首を動かして自分を視界に収めた。
「妹の亜璃奈がデザインしたドレスを着てくれているのね。ワインレッドは派手過ぎるから駄目だと言ったのに、似合っていて良かったわ」
目を弓にした女性からお褒めの言葉を頂いたけど、ドレスをデザインした人物の正体を知り、再び顔が引き攣りそうになった。
……何と言うか、昨日から新事実判明のオンパレードだな。
自分の驚愕に気づいていないのか、無視しているのか。工藤中将の姉は自分の体をペタペタと触る。何度か声を掛けても無視された。
「姉貴。何時までそうして触っているんだ?」
見かねた工藤中将が止めに入ってくれたけど、工藤中将の姉の自分の体を触る手は止まらない。やがて満足したのか、最後に自分の顔を両手で挟んで上に向かせた。
「大叔母の曾孫だって聞いていたけど、……顔が似たり、面差しが入るのは孫の代までなのかしら?」
「ねぇちゃん。今、さらっと、とんでもない事を言わなかったか?」
こればかりは工藤中将と同意見だ。誰が誰の曾孫だって?
工藤中将の姉は自分の顔から両手を放し、驚きの余り目を点にしている工藤中将に向かって説明を始めた。
「爺様に妹が二人いたのは太一も知っているでしょう? 二人いた妹さんの内のお姉さんの方が日生家に嫁いだのよ」
「日生家って、十何年ぐらい前から大変な事になっていて、没落寸前のあの日生家?」
「そうよ。爺様の遺言状に『もしもの事』が書かれて在ったから、指示通りに大叔母の遺灰や御骨とかは回収して、ウチのお墓に移したわ」
「ねぇちゃん。大叔母の事は大切だけど、元支部長に我が儘を言ったのはねぇちゃんだったのか!?」
「大叔母の曾孫に当たる子が事故に遭ったのよ? 確認を取るのは当然でしょ!? 常識を考えなさい!」
「ねぇちゃん。確認と会いたいって我が儘を言うのは別もんだろ? それよりも、常識を考えろって言うのなら、先ずは挨拶と自己紹介をしろ。招かれた客なら常識だろ?」
「……あっ!?」
工藤中将の姉は、工藤中将から指摘を受けて挨拶をしていない事に気づいた。
オホホと上品に笑ってから、工藤中将の姉――名前は工藤真咲――は祖父や支部長を始めとした面々に挨拶を忘れた事について謝罪し、今更だけど、改めて挨拶をした。
初めて会うので、自分も自己紹介をする事になった。ついでにドレスのお礼も言った。
「佳永依ちゃんって名前なのね。私の事は真咲おばちゃんと呼んでね。そこにいる弟は、太一おじちゃんで良いわ」
「ねぇちゃんは俺の胃に穴を開けに来たの? 他にも挨拶をする人がいるでしょう?」
工藤中将は雑な扱いで姉を追い出し、この場にいた一同に姉の無作法について頭を下げた。
「気にしておらん。工藤家の長女は相変わらず元気で良いな」
「元支部長、我が家にも体面と言うものが有りまして……」
「呵々、それを言うのなら、次女殿に孫のドレスを急ぎで用意して貰った身だから大丈夫だ」
「工藤中将、私も気にしていないぞ」
「は、はぁ」
気にしていないと言われてもと、言わんばかりの顔で工藤中将は頭を上げた。
祖父と支部長はそれぞれ、出資者からの要請を断り、急ぎで手間のかかるものの準備を依頼している。お互い様と言うより、懐の深さを見せるように『これくらいは許すよ』と言う事かもしれない。
佐久間支部長率いる日本支部の面々が別の場所に移動すると、今度はそこへパーティーの出席者達が集まった。
多分、ハニトラ要員の男性対策として招いた婚活女性とその父親からの挨拶だろう。松永大佐に熱い視線を送っている女性は多い。
松永大佐とダンスを踊りたいと支部長にお願いする女性は多かったが、支部長の事前宣言の通りに、『今日の松永大佐は護衛役だから』と言って断っている。
大林少佐は秘書官だし、一条大将と氷室中将と工藤中将の三人もどちらかと言うと護衛が必要な方だ。この四人以外で護衛役が務まるのは松永大佐だけとなる。
人選もその辺りを考えているんだろうね。
パーティーに出席して、最初に行うべき挨拶類が終わったら、手持ち無沙汰になる。
会場の一画では、招かれた楽団が流麗な音楽を演奏し、その音楽に合わせて会場の中央ではダンスを踊っている男女のペアがいる。
自分も一応ダンスを踊る程度の事は可能だが、今日は顔を見せるだけで良いので踊らない。
自分達と一緒にいた従兄と伯父の四人は会場の中央で、最初の方に挨拶に来た婚活女性とダンスを踊っている真っ最中だ。四人は愛想笑いを浮かべているけど、いかにも『仕事です』って感じがする。
四人は一人の女性とダンスを踊ったら、そのまま次から次へと、四人と踊りたいと希望する女性の相手をしている。二人の伯父は五人程度の女性とダンスを終えたら解放されたが、二人の従兄は五人を超えても解放されなかった。
一曲当たりの時間が五分前後だとは言え、五人と踊れば三十分近い時間、動き回っていた計算になる。伯父二人は年齢的に三十分の運動はまだ可能だろう。従兄二人は二十代なので、女性視点だと体力的に余裕が有ると見做されて(あるいは一曲相手をして欲しい願望から忘れ去られている)いる可能性はある。
従兄のダンスが終わるのを待っている女性が十人ぐらいはいる。仮に、二人があの十人とダンスを踊り終えても、追加が発生する可能性は高い。もう暫くの間は戻って来ないだろうな。
伯父と従兄達が戻って来るまで、自分は暇に……なる筈だった。
「佳永依、ちょっと良いかのう」
「? どうかしましたか?」
祖父に呼ばれて会場の休憩室へ移動するが、何故か松永元大将を始めとした他の面々も一緒だ。
年を召した人が休憩室に行くのは不思議な事ではない。その中に子供が混ざっていても、今日の保護者が老人ならば怪しまれない。
老人一行と共に向かった休憩室には、飲み物や軽食が置かれたテーブルと、ローテーブルを囲むように三人掛けのソファーが四つ設置されていた。そのソファーの上には、日本支部代表の六名がいた。
先客六名はソファーの好きな場所の上で少し伸びていたが、自分達が入室するなりすぐに居住まいを正した。その中でも、支部長と一条大将の二人は慌てて居住まいを正していた。
そんな二人を見た飯島刀自は小さくため息を吐いた。
「まったく。だらしないと言いたいが、この手の集まりは肩が凝るから見逃すか」
「飯島。……元上官として色々と言いたくなるのは分るがよぅ、こう言う時ぐらいは言わねぇでやれよ」
「一番手を焼いた部下と、一番優秀だった部下が、それぞれ支部長と大将になったんだ。しかも、問題児だった方は初代支部長と同じあだ名で呼ばれるようになったのよ。一言ぐらいは言わせなさい」
「だったら、休憩室の外で言え」
飯島と言う老婆は一条大将の元上官のようだが、支部長の元上官でも在ったのか。ここに来るまでだが、この飯島刀自は風紀委員のように厳しいな。
休憩室は会場から抜け出して休憩する為の部屋だ。
そんな部屋に来たので、老人一行は思い思いの場所に腰を下ろすのかと思ったが、自分は祖父と松永元大将の間に座らされた。
「すまんな。こいつらが協力を申し出てくれたところの事が知りたいと煩いのだ」
「協力を取り付けられたんだから、それで良いだろって、言っても聞かねぇんだ」
どうやら、休憩室に移動したのは、自分に聞きたい事が有ったからだったようだ。
今ここに、従兄と伯父達四人がいない点を考えると、あの四人に自分がパイロットをやっている事を始めとした様々な情報が、一切知らされない可能性が有る。
祖父は息子と孫を部外者扱いしているけど、己の立場を考えての行動だ。自分があれこれを言ってはいけない。自分が最大の原因だしね。
「……そうですか。情報の開示範囲はどこまでですか?」
「定例会議出席者と同じだ。そこまでは既に話した」
情報の開示範囲を祖父に尋ねると、意外な回答が返って来た。
定例会議出席者と同じと言う事は、上から二番目の開示範囲だ。一番ではない点を考えると、深い付き合いにはなら無さそうだな。
休憩室に長時間は居られない。
質問は一人につき一つにして貰い、自分は老人一行からの質問を受けて答えた。
老人一行との質問の受け答えを終えたら、ほぼ全員が疲れ切った顔で蟀谷を擦った。
「……何だか、長編映画を見た気分になったぜ」
「猿と同じ感想ってのは癪だが、俺も同意見だ」
「何で俺と同意見だと癪に障るんだよ!?」
佐藤翁は分かりやすく憤慨した。
周りの人達は首肯している。佐藤翁の味方は誰もいなかった。
「条約、か。佳永依、儂らがその条約に抵触する可能性は無いのだな」
ここで祖父が言っている『条約に抵触する』と言うのは、向こうの宇宙に存在する条約の事だ。
「可能性はありませんね。次元の亀裂が入っている場所がどこなのか、私も知りません。そもそも、向こうに大勢で行く為の手段が存在しません」
「ふむ。それを考えると、抵触する可能性はほぼ無いか」
祖父は納得したのか引き下がった。
向こうに行く手段は有るが、現時点で使用可能なのは小型転移門だけだ。新式の転移門もオニキスの収納機に入っているが、使う予定は無いので、今ここで言う必要は無い。
他所の宇宙との接触を禁止する条約は、転生者である自分を介しているので、抵触はしない。
自分はこっちの宇宙で生まれ育っている。
向こうの宇宙は前世でいた世界と言う、非常にややこしい事になっている。自分が向こうの宇宙の元出身者で、自分からの協力要請だから条約に抵触していないと見做されている。
それ以前に、こちらの宇宙で今回の黒幕をどうにかしないと、今度こそ滅びる可能性が出て来ている。共倒れの未来を防ぐ為に、緊急で条約の事を棚に上げている状態だ。
さて、質問タイムが終わり、軽食を摘まみ、飲み物を飲んで一休みしたら会場に戻る。
祝勝会の開催時間が残り一時間半を切っている事もあり、支部長達六人は一足先に会場に戻った。
これは、密談をしていたのではと勘繰られない為の処置だ。
こちらは老人一行だから、休憩時間が多少長くても怪しまれない。
元気な男性老人達は盛大に飲み食いしている。あ、佐藤翁がワインをラッパ飲みし始めたけど、大丈夫なのか? 松永元大将が対抗するようにワインボトルを両手で二本も掴んでいる。そのまま、ボトルの注ぎ口に直接口を付けて、一気飲みした。
イイ歳の老人がやって大丈夫なのか? あ、飯島刀自の雷が拳骨と一緒に落ちた。佐藤翁と松永元大将が仲良く頭を抱えて床の上でのた打ち回っている。
「まったく、何時になったら精神年齢が実年齢に追い付くのだ……」
床の上でのた打ち回る二人を見た祖父は頭を抱えた。けれど、祖父の口元を見ると、少し緩んでいた。
一緒に馬鹿が出来る人がいるって事は、ある意味、良い事だ。
自分の場合は――いや、思い出すのは止めよう。
佐藤翁と松永元大将が痛みから復活してから少し時間を置き、祖父は『会場に戻るぞ』と声を上げた。
祝勝会終了一時間前に会場に戻り、日本支部の面々と合流したけど、会場内は死屍累々の表現が似合う惨状が広がっていた。
絶望し、疲れ切った顔をしているハニトラ要員の男性陣。
お肌艶々で上機嫌な女性陣とその父親勢。父娘で乾杯しているから、狩りに成功したっぽい。
大量の部下を売り飛ばす事になったのか、頭を抱えている他所の支部長達とその側近一同。
ここまで来ると、最早笑えないな。
「死して屍拾うもの無し。負けて賊軍に成り下がると、苦労するのう」
「その通りですな」
「策に嵌めた奴の発言じゃなければ、俺も同意したぜ」
祖父と支部長のやり取りに、松永元大将が突っ込みを入れ、自分以外の面々が首を縦に振って同意する。
自分はこの策の提案者だ。何も言えん。
祖父が『そろそろ帰るか』などと言い始めたが、伯父と従兄の四人はどこに行った?
会場内を見て探すと、四人は背後からやって来た。合流した四人は祖父と自分に『どこに行ってた!?』と詰め寄って来た。
四人の話を聞くと、会場内に自分と祖父がいない事に気づき、女性陣に適当な事を言ってから、建物内を探して回っていたらしい。
祖父は素知らぬ顔で休憩室にいたと――嘘は言っていない。休憩室に長居していただけだ――言ってから、四人に謝罪した。自分の付き添いで一緒に行動していたので、祖父と一緒に四人に謝った。
自分が謝ったら、奇妙な事に四人は狼狽えた。
四人の反応を奇妙に思って首を傾げるも、祖父からは『気にするな』としか言われなかった。
意味は分からないが頷いた時、工藤中将の姉こと、真咲さんがいない事に気づいた。祖父も自分とほぼ同じタイミングで気づいたらしく、工藤中将にどうしたのかと尋ねていた。
「姉ですか? 明後日の予定の準備の為などと言って、少し前に帰りました。本日の無作法について、後日姉が詫びの印となるものを皆さんに贈るそうです」
「別に気にしておらんが、謝罪を受け取った証拠として受け取ろう」
「ありがとうございます。姉にもそのように伝えます」
工藤中将はそう言ってから祖父に頭を下げた。伝言役は大変そうだなぁと工藤中将を見つつ、『帰ったのか』と何とも言えない気持ちになった。
改めて帰ろうと言う空気になった時、疲れ切った顔をした主催者がマイクを使い、祝勝会の終了を宣言した。予定時刻よりも一時間近くも早い終了宣言だ。
これは自分の予想でしかないが、各支部の支部長辺りが主催者(多分国連防衛軍の長官)に『今日はもう終わりにして(意訳)』と掛け合った可能性が高い。
自分の予想を裏付けるように、各支部の支部長が喜んでいる。あの人達は、ハニトラ要員の男性を何人売り飛ばしたんだろうね?
他所の支部の事よりも、祝勝会は終わった。
会場内にいた出席者達が退場して行く。帰る間際に、祖父と支部長が招待した父娘は二人に挨拶をしてから去った。
祖父と支部長への挨拶が終わり次第、自分達も会場から去る。
ただし、自分達の背中には、他支部の支部長や売り飛ばされた面々からの殺気に満ちた視線が飛んで来た。
個人的には、ガーベラのパイロットでもある自分を表に引っ張り出そうとした、そっちが悪い。
支部長に個人的なお願いの内容を会議で読み上げて貰ったのに、簡単に表舞台に出る訳ないでしょう。読みが甘いな。
このあと。
昨日と同じく祖父と同じ部屋で一泊した。
翌日の昼に迎えに来た大林少佐と共にツクヨミに戻ったけど、スマホのカレンダーを見たら、十二月の二十七日だった。
時差と移動に掛かった時間に、祝勝会が開催された場所を考えると、やっぱりアメリカ辺りにいたのかな?
まぁ、どこにいたのかについて考えるよりも、いなかった数日間で溜まっていた仕事を捌く事を優先した。流石に居残りだったマオ少佐一人では全てを終わらせる事は出来ずに溜まっていた。
五日以上離れていた訳でもないのに、マオ少佐はげっそりとしていた。
松永大佐は女性とダンスを踊らずに済んだ事が嬉しいのか、元気一杯だった。祝勝会に参加中は松永大佐と話す機会が無かったけど、元気なら良いか。
ツクヨミに戻った翌々日、真咲さんから届いた『お詫びの品』はカタログギフトだった。工藤中将からの伝言では『皆さんに』と在ったが、松永大佐にも同じカタログギフトが届いた。
工藤家グループのお店のカタログギフトらしい。冷凍のホールケーキを見つけたのでこれにした。
西暦三千年代の現在、大体のものが電子化されているので、カタログギフトと言っているが例に漏れず、カタログは電子ノートだった。手書きは教育現場以外だと廃れているね。
溜まった書類を、松永大佐を含めた三人で黙々と終わらせたら、日付は十二月三十一日になっていた。
工藤弟の姉の呼び方ですが、普段は「ねぇちゃん」です。「姉貴」呼びは、人目を気にしたり、真面目な話をする時です。吃驚したり動揺した時も、「ねぇちゃん」呼びになります。
TPOやその時の感情でころころと変わります。誤字ではありません。
ご存知の方はいるとは思いますが念の為書きます。
刀自と言うのは、中年を過ぎた女性の敬称です。主人公から見て、階級が分からないので刀自と付けています。階級が判明したら、松永父のように呼びます。




