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ソフィアのファンタジックワールド ~竜討伐の物語 編~  作者: 季山水晶
暮雲春樹 一期一会

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73話 街の諸事情

無理やり感があったらすみません。

 エレナはマサトの話を聞いて驚いた。

「え、トピカの村からいらしたの?トピカの村とバルビアの村には盗賊が出るって、それに、ここに来る迄の間に狂暴なキラーウルフが出るっていう噂よ。大丈夫でしたの?」


「はい、ボスのドナテッリには逃げられましたが、盗賊は捕まえました。そして、3体出てきたキラーウルフはなんとか倒しました」


 苦笑いをしながら、頭をぽりぽり掻くマサトに対して、「噂でしか知らないのだけれど」と、エレナは驚きの表情で話を続けた。


「トピカの村とバルビアの村には怖い盗賊達がいて、手に負えないからとの理由で、街の外に出ること自体禁止されていましたのよ。それでも、バルビアの特産物等を仕入れに行こうとする商人たちはいたのだけれど、狂暴化したキラーウルフが街道に出現して怪我を負ったのですわ。結局、それ以来誰も西の方へは行かなくなってしまったの」


 ちょっと待って、盗賊達が討伐された話は噂にもなってないのか?


「僕達が倒した盗賊達は兵士たちが王国へ連れて行ったのですが、何かお聞きになっていませんか?」


「いいえ、盗賊達が討伐された話は誰の耳にも入っていないですわよ」


 一体どういうことだ?冷静に考えろ。盗賊達とこの街もしくは王国の誰かが結託していた可能性があるって事か。

 そう考えると、盗賊の噂と、キラーウルフの噂は西に行かせない為の十分の理由になる。あれは、僕達を限定して襲い掛かってきたのではなくて、街によそ者を入れない為と、出さない為に妨害工作をしていたっていう事なのだな。


 では、何故他と交流をさせたくないのだ?…


 そうか、テルの言っていた独占商売か。商人たちが他所で物資を仕入れると、価格競争が起きて商品の値段が下がる。独占販売をしてしまえば、価格は思うがままだ。


 増税もしているとテルは言っていたし、街の人の暮らしは一体どうなっているんだ?


 マサトが深刻な表情をしながら黙りこくるのを見たエレナは「どうしたの?」と首を傾げた。


 エレナの怪訝そうな表情にハッと気付いたマサトは愛想笑いをしながら


「それじゃあ、足りない物資とかあって大変だろうなと思って」と返すと、


「王国の方から物資を持ってくるからそこは大丈夫みたいですわ。詳しくは知らないのだけど、五ノ井商事と言う会社が各小売業に卸しているらしいです。でも、薬の種類によっては品薄になっていて、価格が高騰している様なの。だからこの辺りではマサトさん達の様に、一般の人が痛み止めを持っていることは珍しくて…」


 そうか、繋がってきたぞ。五ノ井商事は王国周辺から物資を仕入れることで、王国の方にも利潤を多くして口を出させない様にしていたのだな。仕入れた物資は独占して小売業に卸すことにより膨大な利益を得るという構図が出来上がっているのだ。他から物資が入るとそのシステムが崩れるのでそれを阻止するために、盗賊と、キラーウルフを活用したと言う訳か。


 だが、薬を不足させる理由はなんだ?あ、そうか。この質問の答えによってば合点がいくかも。


「所で、国王様は御壮健でございますか?」


 そう聞かれると、エレナは少し表情が陰り


「私も王家に関わりがあるとは言っても、分家なので詳しくは知らないのですけれど、心労が絶えないらしいのです。胃の辺りの痛みや、神経痛などで臥せっておられることが多いようですわ。でも、何故そんなことを?」


 やばい。色々深入りしすぎたか…


 マサトが戸惑っていると、ソフィアが上手くフォローをした。


「奥様が先ほど、『薬によってはが足りないものがある』って言っていらしたでしょ?実は、国王様の体調がすぐれないというお話は私の村でも噂になっておりました。薬が足りないとは知りませんでしたが、丁度、胃の薬と、神経痛の薬と、鎮痛薬を持っておりますのでお役に立てたらと思いまして」


(え?ソフィア。胃の薬なんて持ってたっけ?)


 マサトがこっそり耳打ちして聞いてみると、「バルビアアサガオの種が胃薬になるのよ」とそっと教えてくれた。


「そうでしたの。今言われた薬はどれも品薄になっている薬ですわ。あなたの持っていた鎮痛薬はとってもよく効く薬ですものね。王様もきっとお喜びになる事と思いますわ」


「必要なら、お薬は何時でもご用意できます。この街の人たちにとってそれが良い事なら是非そうさせて頂きます」


 ちょっと待ってよ、ソフィア。いくら何でもこの道を何往復もするのはちょっときついのですけど…

 不安げなマサトを他所に、ソフィアはどんどん話を進めていく。


 そもそも、この街に来たのは、小さな村から出て、冒険者を辞めて何か商売を始めたかったからで、それが薬屋なら、薬を作ってくれる薬剤師も知り合いに居る。それに、この街が薬を不足しているならもってこいの話だ。と、説明しだした。


「お店を出すにはピネルが足りないので、薬を卸したいと思うのですが、何処かお勧めの薬屋さんは御存じないですか?」


 勿論、一連の話は口から出まかせだが妙に信憑性がある。


「この街の薬屋さんは、素材が手に入らないので閉めてしまわれましたの。だから、今では庶民向けのお店は殆ど無いのです。でも、娘を診て頂いたお医者様に薬を持って行くと高く買って頂けるかもしれないですわ。お医者様もお薬が不足しているって言っていらしたし、さぞかしお喜びになられると思いますわ」


 成程ね。おそらく、薬の調達を滞らせているのは王の病気を治させたくないからだろうな。きっと、テルの言っていた大臣の仕業だ。そこで薬の素材が手に入る西の地に足を運ばせない様に細工を施したのだな。あの、黒いフードを被ったウイザードも仲間に違いない。


 さて、どうしたものか。


 王家の御用達の医院なら、五ノ井商事がその医院に対して妨害工作を行う事は難しいだろう。これは使わない手はない。


 そうすると、直接僕達に五ノ井商事が何らかのアクションを仕掛けてくることは間違いない。それまでに王家との繋がりをもう少し濃厚にしておく必要がありそうだな。

 けれど、ホテルの支配人に鎮痛薬を使った所も、王家の関わりのある人との接触も見られているわけだし、既に何らか動き始めてもおかしくない状況だな。


 盗賊達もどこかで匿われているかもしれない。証拠として見つけ出す事も必要だ。


 そして、あのウイザードは危険だ、何らかの対策は立てておいた方が良さそうだ。



いつも読んでくれて有難うございます。

次回「次なる準備 ①」です。

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