レポート56 BDMとの決闘
最近、「このご時世ですからね」というようなフレーズをよく耳にするが、どうも違和感がある。
新型コロナウイルスの感染を防ぐための行動を、国や個人が考えながら決定しているのであって、「時世」だからしているのではあるまい。言葉の意味がまちがっているわけではないが、安易な決まり文句に聞こえて引っかかってしまうのである。
あと、緊急事態宣言を発出の、発出も気になる。聞き慣れない言葉がいきなり出てきた感じで、ほかにもっとなかったのかなと思う。
発射じゃダメでしょうかね。緊急事態宣言を発射。ダメか。
「欠点だと?」
中折れ帽を深くかぶり、トレンチコートの襟を立てたバイオ刑事マンが、サングラスのブリッジに人指し指を当てて言った。
「おれに欠点などない。仮にあったとしても、きさまにわかるはずがない」
「そうかな? バイオ博士マンのメッセージが、この連載に書き込まれてたんだぜ」
「わかってる。おれもチェックした。だがあれはまったく見当外れだ。結局オヤジも、おれのことはなんにもわかっちゃいなかったのさ」
「おまえはすべての住人を逮捕した。だから給料を払う人もいない。いくら働いても、1円も入ってこないんだ」
「だからなんだ? 教えてやろう。おれ様は、この街の銀行を手に入れたんだ。だから金なら腐るほど持ってるのさ。フハハハ」
ぼくは、チラッと感想欄を見た。
なにもないーーやっぱり。
まあ仕方がない。ここはなんとか、ぼくの無双パワーで弱点を見破るのだ。
バイオ刑事マンの弱点。それはきっと、3人の名探偵と関係があるだろう。彼らの長所を引き継いでいるのであれば、短所も引き継いだと考えるのが妥当だ。
ホームズ、マーロウ、ポアロの風貌を思い浮かべる。彼らのうち、誰の遺伝子がもっとも強く影響しているだろうか?
自信家のところはホームズから引き継いだようだ。トレンチコートを着てカッコつけてるところはマーロウか。摩訶不思議なバイオの力を駆使する頭脳は、やっぱりポアロだろう。
……ん?
待てよ。この3人の中で、明らかに遺伝しやすい特徴を持ってるものがいるぞ。
(BDMは、25歳と若いゆえに、プライドが高く、自らの欠点を許せないでいる)
そうか。そういうことだったのか。
「わかったぜ、バイオ刑事マン」
テレビ画面に映った顔は、まだ皮肉な笑みを浮かべていた。
「悪あがきはよせ。おまえの死刑は確定した。いちばん先に、彼女の見ている前で執行してやる」
「フラ、聞こえるか?」
「よく聞こえるわ!」
「今からぼくが、バイオ刑事マンの欠点を明かす。それを、牢屋にいる人全員に教えるんだ」
「任せて!」
「じゃあ言うぞ。バイオ刑事マン、覚悟はいいな?」
「言ってみろ!」
「おまえはポアロの頭を受け継いだ。が、それは晩年のものだ。その遺伝子は強力で、若いうちから完全な形で発現した。つまり」
ぼくは大きく息を吸って、一気に言った。
「いくら働いても1円も入ってこないおまえには、儲け(もう、毛)がない。だからおまえは25のくせにつるっパゲで、ズルむけで、ピカピカで、つるつるテカテカのむきたてゆで卵ーー」
「言わないでー!!」
テレビ画面をまたいで出てきたバイオ刑事マンは、慌てすぎてすっ転び、中折れ帽をとばしてパーフェクトなハゲ頭をさらした。
「バイオ刑事マン!」
ぼくはコルトパイソンの銃口を光る頭に当て、厳粛に言い渡した。
「ズルむけ頭は卑猥である。よって、ワイセツ物公然開陳罪でおまえを逮捕する!」
「ふえーん」
「ユメオー」
フラがテレビから走り出てきて、ぼくに抱きついた。
「街の人たちが、いっせいに釈放されたわ! ユメオのおかげよ」
「いや〜」
「勇者よ」
逆さ男マンが、横ウーマンの手を引いてやってきた。
「きみこそ真の英雄だ。この街の女どもを、すべてモノにしちゃっていいぞ」
「いや〜」
「ユメオ殿」
アドバイ爺が、恰幅の良い紳士を連れてきた。
「紹介しよう。この街の市長じゃ」
「あなたにはお礼の申しようもない。欲しいものがあればなんでも言ってくれ。金か? 女か?」
「いや〜。みんなの笑顔が、最高の報酬ですよ。なーんてね」
「ユメオくん」
声をかけられて振り向くと、そこには貧相な、つるっパゲの小男が立っていた。
「よくわたしのヒントを解読した。あなたの知恵と勇気に敬意を表する」
「あ、じゃああなたが、バイオ博士マン?」
「そうだ。よくぞ、我が息子の暴走を止めてくれた」
「息子……」
ぼくがまじまじと見ていると、博士は光る頭をつるりと撫で、
「そっくりだろ? あれはわたしの細胞に、3人の名探偵のDNAを組み込んでできたものだ。そうしたら、99パーセントわたしの特徴を受け継いだがね」
だったら散々書いてきた伏線、ほとんど関係なかったじゃねーか!
PV1865
LV18
それではまた次の旅に出る。希望の展開・キャラがあったら書き込みヨロシク!
我が読書歴 第7回
ルパン物でついに小説に目覚めた。
読むもの読むもの面白い。あっという間に全30巻を読んだが、そのベストが、
「黄金三角」です!
あれでぼくは初めて、意外な犯人というものを知りました。心底驚きました。破壊的でした。それでぼくはおそらく一生、ミステリーを読むことになったのです。




