レポート5 初のお題はチート?(後書き参照)
小説は、作家の病から生まれるとも言われる。
だとしたら、確実にこれは、作者のPVを気にする病から生まれている。
「発表します。本日までの獲得PVは……ジャーン、116」
え? マジで?
じゃあこれで、ぼく、生きられるんだ。よね?
やった! きみたちのおかげだ!
「おめでとう、ユメオ。扉が開いたら、そこはファンタジーの世界。なるべく多くの読者を喜ばせる行動をとって、たくさんPVを稼ぐのよ。つまんなきゃ、即命をとるからね」
相変わらず沼は、不条理なまでに厳しい。
ぼくは天井に向かって、大声で叫んだ。
「PV100でLV1っていうのは、正直つらい。ぼくは1作目のコメディが、PV600手前で頭打ち。現在連載中の推理物も、9話投稿してようやくPV120。こんなぼくには、LV10とか20なんて夢の話だ」
「だから」
おっかぶせるように、青島沼の声が響いた。
「人気が出そうなテンプレに従って行動しなさい。マイナーな推理物なんかやめて、そこに努力を集中するのよ」
「……テンプレって?」
「チートで無双でハーレムよ」
「チート?」
「そうね。このテンプレで、あと10話やってLV5にならなかったら、今度こそ死んでもらうわ」
「ちょっと待ってよ。無双ってどうやんのさ!」
ぼくは最近まで、ネット小説を知らなかった。書き上げた原稿の送り先を探していて、たまたまネット小説大賞の存在を知り、小説家になろうに投稿したのだ。したがって、そこで流行っているものの知識がまるでなく、ランキング上位のタイトルを見ても、ぼくにはお経のように意味不明だった。
「まず意味を教えてよ」
ネット小説の世界に頭まで浸かっていると自慢していた沼に、専門用語の解説を求めた。
しかし、
「それは自分で考えなさい。創作は、オリジナリティこそが肝。あなた独自の無双をぶっこくのよ」
「独自の無双を、ぶっこく……」
一難去ってまた一難。せっかく死なずにすんだのに、これからどうやって生き延びたらいいのか、皆目見当もつかないのだ。
頭を抱えたところで、投稿。
PV116
LV1
告白。
作者は、職場のパソコンからアクセスしました。
その結果、レベルがあがりました。
これチート(不正な手段によって主人公を強くする)ですよね? ちがうかな?




