レポート47 再会
あらすじに、みなさんの感想で内容が決まっていくと書きながら、その展開がないままそろそろ50話になることに、看板に偽りありの感じがしてきた。
なんの考えもなくスタートしたので、毎度その場で思いついたことを書いている。そうしたら、だんだん本当の自分をさらけ出してるような気がしてきた。
ある雑誌の編集長が、「自分をさらけ出してないのは大した作品じゃない」というようなことをおっしゃっていたが、さらけ出したら作品は良くなるのかな? よくわからないけど、出すのがいいならどんどん出していきたい。
スマホの着信音が鳴ると、バイオ生物たちがいっせいにブーンと飛び去った。
「もしもし」
「沼よ、ユメオ」
「知ってるよ。こっちの世界には、そもそも電話がないんだから」
「声が遠いわ」
「スマホに顔を近づけたくないんだよ。匂うから」
「もっと不気味にできないの?」
「充分だよ! 沼もこっちに来てみろ。間近で見る逆さ男マンが、どんだけグロいか」
「まだまだ足りないわ。やるならとことんグロくしないと。主人公が苦しめば苦しむほど、小説は盛りあがるんだからね。チャオ」
「ちぇっ。沼のやつ、外出自粛で暇だからって、注文ばっかりしやがって。なあ?」
「く、さ、い。く、さ、い」
ぼくはスマホを蜘蛛に舐めさせて、横ウーマンのところに戻った。
「あの、さっきの話ですけど」
「なに?」
「彼氏いるんですか?」
「なによ、しつこいわね。いないわよ」
「マジすか?」
「彼氏どころじゃないのよ。家族もみんな、牢屋にぶち込まれちゃったんだから」
「あのー、そんなに首を傾げて見られると、なんだかぼく、誤解しちゃいそうです」
「こっちは普通にしてるの! ほら、着いたわよ」
地下道は、デパートの地下駐車場につながっていて、正面にエレベーターが見えた。
「蜘蛛よ、ありがとう。じゃあ、横姉さん、8階へ行きましょう」
「横ウーマンよ!」
ぼくはエレベーターに乗ると、扉にキスをし、階数ボタンを下から順にクリクリつまんでいった。
「……なにしてんの?」
「ぼくに任せてください。エレベーターの扱いには、少々慣れてますから」
「8階に行きたいときは、⑧ってボタンを押すのよ」
横ウーマンが⑧を押したら、ちゃんと8階で止まった。どうやらこれは、普通のエレベーターだったらしい。
「どうぞ、レディーファーストで」
横ウーマンを先に降ろした。モンスターを警戒したということもあるが、より重要な目的は、お尻の肉の動きの観察だった。
ボディコンスーツの裾は、大胆に短い。風紀の乱れに眉をひそめる。逆さ男マンの話では、この街の女はみんな〇〇〇ンだということだったが、もしそれが悪口ではなく真実だったら、ぼくはどうにかしてこの街を救いたい。だって勇者だから。
横ウーマンが振り返った。そしてぼくの、憂いに沈んだ目を見て、
「そんなに真剣にお尻をジロジロ見る人、初めてよ」
「あっ、そうだ!」
「な、なによ? 突然」
「ぼくも首を90度に傾けたら、ちゃんと見つめ合って話せますね。ほら、ハハハ」
「なんであんたと見つめ合わないといけないのよ」
「ユメオ」
「どわっ!」
振り返ると、フラが腕組みをして立っていた。
「今度は横っ腹でも痛くなったの? ひらがなの『つ』みたいな形で立ってるけど」
「あー、びびった。気をつけてよ、フラ。背後でいきなり声がしたから、とっさに無双ブレイクダンスを出すとこだったよ」
「この女は?」
「コラ! 初対面で失礼だぞ。こちらは横ウーマンさん。えーと、紹介します、ぼくの彼女のフラです」
「あら、若いのね。10代?」
「うん。おばさんは?」
「……ちょっと、まだ20代なんですけど」
「20? おばさんじゃん」
女同士がにらみ合った。片っぽは縦、片っぽは横で。
「まあまあ。年齢で争ってる場合じゃないでしょ。一緒に力を合わせて、バイオ博士マンを探すんだから」
すると突然、ダダダダダダダダという音が聞こえてきた。
「あっ! バイオ刑事マンが出たのか?」
ゲームコーナーに走った。すると逆さ男マンがクレーンゲームに向かってマシンガンを乱射し、割れたガラスからアドバイ爺が侵入して、景品を片っ端からボンボン投げていた。
「見たか! 景品王の実力を!」
「さすが師匠じゃ!」
「なにやってんですか、大の大人が。本物の刑事に捕まっちゃいますよ」
「ゲーセンに店員がいなかったら、誰でもやるだろ。それが男の……ん?」
逆さ男マンの逆さの目が、横ウーマンをロックオンした。
「おまえ……」
「あなた……」
2人は近づくと、抱き合って口づけした。
「オエッ! ジジイとババアがキモッ!」
確かに逆さと横の口が合わさるのは気持ち悪かった。しかし、離ればなれになった恋人同士の再会を見たのかと思うと、ちょっと感動した。
「横ウーマンさん。逆さ男マンが、彼氏だったんですね」
「え?」
濡れた唇を離して、横ウーマンが首を90度からさらに傾けて言った。
「これ、イケメンを見たときの、初対面の挨拶だけど?」
この街の女は、ホント〇〇〇ンだな!
PV1376
LV13
前回の後書きで、司馬作品のことを書きました。
作者はそれほど、歴史・時代小説を読んでいません。でもその少ない読書量の中で、強烈なインパクトを覚えた作品があります。
「一夢庵風流記」隆慶一郎著。
前田慶次郎のキャラが衝撃的でした。あそこまで強烈なキャラクターを出せたら、もう勝ちです。読んでいて、「こんなに面白くていいの?」って思ったほどの超面白本でした。




