レポート37 次なる旅へ
前回の本文で、ユメオくんが北の崖に背を向けているのに、南の斜面から来たフラに向かって、「振り返った」と書いてしまいました(改稿済み)。
こういうまちがいをするのは、ぼくが娘たちにバカにされるくらいの方向音痴で、頭の中に立体像を描けないせいであります。
ゴッド・オブ・ミステリー島田荘司先生は、トリックを思いつくには3次元的発想が必要で、そうでないと、読者の発想を超えらないとおっしゃっていました。
だからぼくは、ミステリーがいちばん好きですけど、トリックを考えるのはあきらめました。
「なんだこれは。風景が、一変しちゃったぞ」
ぼくは困惑した。さっきまで、岩と雪と氷しか見えなかったのに、今は眼下いっぱいに、豊かな緑の大地が広がっている。
「楽園だよ」
ぼくの後ろに来て、そう言ったのは、門番だった。
「これが、この山が隠していた、人間が触れてはいけない宝さ。真の勇者が現れて、知恵と勇気でボスを倒したから、山が本当の姿を見せたんだ」
「真のゆう……よく聞こえなかった。もういっぺん言って」
「ちがうっしょ。ここであんたが言うべきセリフは、門番、おまえの正体はなんだ、でしょ?」
「おまえの正体はなんだ。赤フン小僧か?」
「ちがう! おれの正体は、山の意志だ!」
「山の意志……あ、そう。そういやこの山は、生きてるって言ってたもんね」
「……もうちょっと、驚かない?」
「なんで? この連載読んでよ。もっと驚いていいこと、いくらでもあるよ」
「張り合いないなー。まあいいや。解説を続けるよ。今日からこの山は、動物たちが安心・安全に暮らす楽園となる。人間どもに虐待されたり捨てられりしたペットも大歓迎! みんなが楽しく幸せに暮らせるのさ。ただし、人間は入れない」
「なーんだ。だったらぼくには関係ないな」
「待ちたまえ、勇者。きみには使命がある」
「指名? 女の子からの?」
「勇者さん、お友だちになってーって、ちがう! 使命だ。人間の世界には、醜い争いが多い。戦争、競争、出世争い、ご近所トラブル。こういうことを続けていたら、人間は未来永劫、この楽園には入れない」
「だって、それが人類だもの」
「あきらめちゃイカン。きみはこれから街に行って、醜い争いをやめさせるのだ」
「どうやって?」
「さあ。それは読者からアドバイスをもらうなり、自分でなんとかしたまえ。とにかくきみは、世界を変えて、人類を救いなさい。勇者でしょ?」
「了解ッス」
「軽いなー。で、ガルちゃんだけど、ここで退場するよ」
「なんでじゃ!」
これを叫んだのは、アドバイ爺だった。
「わしが少女しか愛せないの、知ってるじゃろ!」
「じゃあ、次の章でも少女を出してもらって。ガルは仲間たちと楽園で暮らすから。ほら、本来の動物に戻ったよ」
ガルは、窮屈なメイド服を牙で咬みちぎると、尻尾を振って斜面を駆けおりていった。
「ああ、ぼくの萌えホーカミ軍団の夢が……」
「ということで、おれもここでサヨナラだ。山が旅についてけないしね。人類が、本当にここにふさわしい状態になったら、また来てね。動物たちと幸せに暮らそう」
「そうだね。そうなるべきだと、ぼくも思うよ。ぼくが真に無双なら、きっとまた会えるだろう」
ぼくは、ついさっきまで本気でボスにやられることを願っていた門番と、ガッチリ握手した。
「行こうか」
フラとアドバイ爺に言った。すると彼方の山脈から、谺のような音が響いてきた。
「この先の展開、考えてるのー?」
沼だった。
「まだだよー!」
「読者に書き込んでもらうー?」
「無理だよー!」
「じゃあ次の3つからえらんでねー。1、街に行ったら、バイオハザードみたいな世界だった。2、街に行ったら、タイムマシンに乗せられて、歴史ファンタジーになった。3、心機一転、野球部に入った」
「ぼくはなんでもいいよー」
「それではみなさーん、希望の展開があったら、感想欄に番号を書いてねー」
毎度、性懲りもないですが、明日の朝6時までによろしく!
PV934
LV9
お、レベル9か。気分良く第4章に行くぞー。
ガルと門番は、ここで退場させます。
ただし、誰か一人でも、また登場させてほしいという方がいらっしゃれば、いつでもどこでも復活させます。
ストーリー上の要請より、感想欄の意見を優先させるのが、この連載のポリシーです。




