↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/445

レポート22 門番の言うことにゃ

「リアルタイム☆ファンタジー」というものを書きながら、読書歴を振り返ってみると、童話やSFやホラーを除いたファンタジー作品は、


「冒険者たち ガンバと15ひきの仲間」斎藤惇夫


「ウォーターシップ・ダウンのうさぎたち」リチャード・アダムス


「ゲイルズバーグの春を愛す」ジャック・フィニィ


 の3冊くらいしか読んでいない気がします。


 この中では特に、ジャック・フィニィの短編集が好きです。この作品集のことを思い浮かべるだけで、顔がほころんできます。


 若い読者は、フィニィを読んでどんな感想を持つのだろう? というのも、気になるところです。

「余計なことを言わないでくれ。ぼくは伝説の、無双の勇者なんだ。この山は絶対に越えてみせる」


 ちらっとフラを見た。すると、堂々と勇者宣言をしたこのぼくではなく、まだケツの青いガキ門番の顔をジーッと見ていた。


「フラ。きみもあきらめる気はないだろ?」


「え……ええ、もちろんそうよ」


 心ここにあらずという返事だ。この浮気性の、ネクロマンサー(ネクスト・ロマンサー:すぐ次のロマンスに奔る人のこと)め!


「そう言って、何万、いや、何百万人が死んだことか。この山が特別だってこと、みんな学ぼうとしないんだ」


「いったいどこが、特別なんじゃね?」


「この山は意志を持ってる……生きているんだ」


 プーッとぼくは噴き出した。


「山が生きてるって? じゃあどっかに脳みそがあって、心もあるのかな? ハッ! そんな都市伝説みたいなこと言って、冒険のジャマするってことは、さてはこの山、お宝が隠されてるんだな」


「知ってるの?」


 ガキ門番が驚いたように言った。どうやら当てずっぽうが、ホントに当たったようだ。


「あるんだな、お宝」


「そういう噂はある。でもそれは、人間が決して触れてはいけない宝で、それを得ようとしたものには必ず死が訪れる。そう言い伝えられているんだ」


「面白い。得ようじゃないの」


「やめましょうよ。安全に山を越えたらいいじゃない」


「こんなガキの脅かしに、ビビることないよ。ぼくは勇者だ。フラは黙ってついてこい」


「生きている山……人間が触れてはいけない宝……うーん、実に心をそそられるのお。ぜひこの謎を解いてみたいものじゃ」


「あれれ、おれ止めようとしたのに、逆効果だったみたい」


「じゃあな。ぼくらで見事お宝をゲットして、生きて向こう側に降りるから。おチビさんは、そうやって門番をつづけてな」


「待って。責任とって、おれも行くよ」


「はあ?」


 まったく近ごろのガキは、なにを言い出すかわからない。


「小学校の遠足じゃないんですけどー。冒険の旅に子どもがいたら、足手まといでしかありまっしぇーん」


「おれ14だぜ。おれの村じゃ、結婚できる年齢なんだ。おれ、お姉さんみたいな人と結婚したいな」


「…………」


「てんてんてんじゃないよ! このマセガキって言って、ひっぱたいてやれ!」


「かわいい子ね。ぜひお供して」


「そうじゃな。なにも知らんわしらだけで行くより、地元の若者の案内があったほうが良い」


「なんだよ、フラもアドバイ爺も。さっきそこで会ったばっかりのガキを、そんな簡単にパーティーに入れちまうのかよ!」


 ホーカミ、ガ、アラワレタ!


 ホーカミ、ハ、ムレ、デ、オソッテキタ。


 ユメオ、ガ、タオサレタ!


「そこに生えてる薬草を食べて!」


 門番の知恵で、ユメオは命拾いした。


「メンメラメー」


 フラ、ノ、ヨウジュツ。


「ガォー!」


 ホーカミ、ニ、ヨウジュツ、ハ、キカナカッタ。


「ホーカミは水に弱いんだ!」


「聖水!」


 門番の知恵で、アドバイ爺が聖水を浴びせた。


「キューン」


 ホーカミ、ノ、ムレ、ヲ、タオシタ!


 新鮮な肉を手に入れた!


「ありがとう、門番くん! これからもわたしたちを助けてね.。お、ね、が、い」


 フラの媚びを含んだ声を聞きながら、ぼくは今に見ていろと思い、傷口にせっせと薬草をすり込んだ。


 PV518

 LV5


 あ、レベル5か。ようやくですね。


*モンスター事典


「ホーカミ」


 アンダースン&ディクスンのSF〈ホーカシリーズ〉の短編集『くたばれスネイクス!』に収録されている短編「ホーカミの群れ」より名前を拝借。


 このホーカシリーズ、ほのぼのユーモアのSFシリーズとしては、代表格だと思います。読めばきっと好きになりますよー。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。