レポート21 回復術師と門番でネクロマンサー!
〈R15〉指定にしたことを、迷っている。
本音を言えば、15歳以下の人にも読んでもらいたい。はっきりと、そういう配慮をして書いている。
しかし、戦闘シーンは出てくるだろう。流れによっては、死を描写することもあるかもしれない。
まだ先が読めないので、指定をどうするべきか迷っているのである。
「どう、頑張ってる?」
ゴツゴツした岩場に腰かけて、ステンレスボトルに汲んだ清流水を飲んでいると、野鳥の口を借りて沼が言った。
「まあね。ぼちぼちだよ」
「PVはちっとも伸びないようだけど」
「ジタバタしてもしょうがない。じっくり腰を据えて、冒険に取り組むことにしたよ」
「地味なのはダメよ」
「わかってるさ」
「今ざっとランキングを見てみたけど、人気作には、回復術師とか門番とかネクロマンサーとかが出てくるようよ」
「いただきましょう」
「意味わかってるの?」
「回復術師はその名のとおり、リハビリの専門家。門番はいわゆる守衛さん。ネクロマンサーは……なに?」
「人に訊かないで、自分で考えなさい」
「ロマンサーは、ロマンスする人でしょ。その前のネクはなんだろう? ネクストの略かな? ネクスト・ロマンサー、つまり、すぐ次のロマンスに奔っちゃう人だ」
「その3つをうまくストーリーに嵌め込むのよ。それじゃあね、バイビー」
野鳥は一声啼くと、フンをして飛び立った。
「お待たせ」
フラとアドバイ爺が休憩していた小川のほとりに戻ると、ぼくらは山登りを再開した。
「ここまでは順調だね。なんだかたいした山じゃないような気がしてきたよ」
「なにを言っておるのじゃ。死の山だと言うたじゃろ。ここはわしでも知らん謎に包まれた場所じゃ。油断すると、命とりになるぞ」
アドバイ爺がそう言ったとき、それまで春の暖かな陽気だったのが、にわかに空がかき曇り、肌寒いほどになった。
「いやな雲ね。不気味な感じ」
「山の天気は変わりやすいのじゃ。フラ殿の心のようにの、フォッ、フォッ」
ぼくは嫌な予感がして、フラに訊いた。
「ねえ、ネクロマンサーって知ってる?」
「えっ?」
フラは、明らかに動揺した。
「なにそれ、知らなーい。どういう意味?」
まちがいない。フラはネクロマンサーだ。彼女の体内には、日本人にはない奔放な血が流れているのだ。今後のストーリー展開で、もし若い男のキャラが現れたら、早めに死なせることにしよう。
「ところでの、わしの家系は先祖代々、回復術師なんじゃ」
驚かなかった。でも一応、
「へえー、そうなんですか」
「だからな、足とか腰が痛くなったら、遠慮なく言うがよい。リハビリしてさしあげるぞよ」
と、そのとき。
モンバン、ガ、アラワレタ!
モンバン、ノ、センセイコウゲキ。
「ここから先は通さん!」
ユメオたちは、困った。
アドバイジイ、ノ、コウゲキ。
「そこをなんとか!」
と言いながら、袖の下に万札を入れた。
「む……」
モンバンは、金をそっとしまった。
モンバン、ヲ、タオシタ!
「では、先に進むとするか。行くぞよ」
「待て!」
金の力に屈して、地面に膝をついていた門番が、苦しげに歪んだ顔をあげた。
「おれがこの先は通さんというのは、あんたらのためを思って言ってるんだ!」
よく見ると、その顔はまだ、少年と呼んでいいほど若かった。
「おぬしはなぜ、かように門もないところで、門番をしておるのじゃ?」
すると少年門番は胸を張り、
「みんなここを登山口にしてるだろ? でもおれ、そこの村に住んでて、知ってるんだ。ほとんどのやつらが死んじゃうってことをさ。だから、ここに立ってやめさせることを、自分の仕事にしたんだ」
「優しいのね」
フラが言うと、門番が鼻の下を掻いた。
「だって、お姉さんみたいなキレイな人に、死んでほしくないじゃん!」
「まあ……」
フラが顔を紅くした。
ぼくは憎悪に燃え、この少年は絶対にストーリーのどこかで死なせてやると、固く心に誓った。
PV494
LV4
ネクロマンサーと聞くと、作者の頭には、SFの名作「ニューロマンサー」しか浮かんでこない。
この「ニューロマンサー」、実は作者は、読んでもほとんど意味がわからなかった。にもかかわらず、傑作を読んでいるという喜びと満足感は、存分に味わえた。
そんな作品は、コレが唯一かもしれない。




