~激闘開始~
トムホークvsハーピークイーンです。
引き続き三人称でおおくりしております。
北の地、ここではそこに住む鳥型の魔物とハーピー達が争っていた。
現在、ハーピーの数が少ないのもあってレベル差のほどは押されていない。
それも限界が近いだろうが。
その長であるトムホークとハーピークイーンの戦いも当然、大空で起こっていた。
トムホークの戦い方はシルバーウルフのものとは正反対、大空からの一方的な大火力殲滅戦だ。
敵の届かない上空から下に向けて大量の魔法を打ち込むのが彼のスタイル。
もともと、ホーク系は魔法にはあまり優れない種族だ。
ゆえに純粋な魔法系の種族に比べてmpやintの値は低い。とはいえ、そのポイントの全てをintに極振りしているトムホークならば十分な火力を出せる。
だが、ハーピークイーンを相手に苦戦していた。
「まったく、すばしっこいちゅんね。もともと、対空戦は苦手だっちゅんのに。」
「あらあら、ご自慢の魔法が通じないだけで諦めるのかしら?そんなのでよく四天王なんて名乗れるわね。」
「だ か ら 対空なんて意識したことないっちゅんよ!
こんなやつがいるなんて聞いてないっちゅんよ。
にしても・・・どうやってここまで来たっちゅん?
森の中でこそこそしてたならともかく、ここまで来て俺たちが今まで気付かないっていうのはおかしいっちゅん。」
「あらあら、答える必要はないわね。」
ハーピークイーンの能力はagiに特化されている。そのため移動速度に関して言うのならばハーピークイーンはトムホークの倍以上の値を出している。シルバーウルフと比べてすらその速度は勝っている。
トムホークは自らの羽毛を金属化し、それを打ちだす魔法を主に使う。そのため非常に燃費はよくなっており、mpの少ないトムホークにとって非常に使いやすいものでもあるのだが、撃てる数に限りもあり、戦闘を終わった後に集めて自らの寝床に敷き詰めていた。
・・・そこで再利用しなくても良いと思うが。
そんなわけでトムホークの攻撃はハーピークイーンへと届かないのだが……それはハーピークイーンにとっても同じだった。
「にしても、厄介ね・・・。土魔法を体にまとわせて防御力を上げるなんて。私の攻撃が通らないじゃない。」
「本来なら、その硬さでもって貫くはずなんだっちゅんけどな。やれやれだっちゅん。」
ハーピークイーンの攻撃は高速で移動しつつの単純攻撃、または風魔法「ウインドカッター」による攻撃なのだがそのどちらもトムホークの文字通りの鋼の防御を突破できない。
このままでは千日手である・・・といってもお互いそこまで余裕があるわけではない。
この世界で戦うということはmpやspという上限のあるものを消費しながらの戦いとなるため全力の戦闘は長くは続かない。
ただ、この場合に限って言えば切り札が残っている状態。
使えば状況を変えられるが反動による消耗も怖い。先に使って仕留めきれなければ負けるのは必然。
ハーピークイーンは自身のユニークスキルの使う場面を探る。
その時、島に光が満ちる。
トムホークの能力値が1.5倍となる。
何が起こったのか分からないトムホークだが、おこなったものに心当たりのある、というかこんなことできるのはあのやろーくらいしかいないっちゅん、とほとんど正解を理解する。
一方のハーピークイーンも、それがなんなのかは分からないが自分にとって不利なものであるとは悟る。
そして、彼女はユニークスキルを使う。その力は「魔力飛行」トムホークが縮めた速度の差を元通りに、いやそれ以上に引き離す。
その速度でトムホークへと向かい攻撃を加える。
トムホークもそれを受けようとするが踏みとどまれず、吹き飛ばされる。
先ほどとは段違いの威力にさすがのトムホークといえども、動揺を隠せない。
そのまま、何度もハーピークイーンによる追撃を受ける。
「っちゅん!なんだっちゅん!?ただ早くなっただけじゃないっちゅんか!?」
「それに、答える、義理は、ないわ!」
確かに押しているように見えるハーピークイーンだが、すでに息も荒くなっている。それほどにユニークスキルの反動は大きい。
「なるほどっちゅん。体に魔力を通すことで速度をそのまま攻撃力に移してるっちゅんね。なんともまあ、派手なことするっちゅん。
だからこそーーー惜しいな。
まだ幼いし一撃が軽い。動きも直線的すぎて分かりやすい。絡め手に弱い。おそらく進化してすぐだろうにここまでやれるのも大したもんだが・・・仮にも最上位種がこの程度とは笑わせる。
それに一つ勘違いをしているな。
俺が使ってるのは土魔法ではない。鉱魔法という、土系統と風系統の混合魔法。
その強度は他の魔法とは比べものにならん。」
急にハーピークイーンの動きが止まる。
その体にはキラキラと光る糸が絡まっていた。
鉄でできた糸ーーートムホークが魔法で生み出した金属糸だ。
混合魔法によって土の利点である硬度が飛躍的に高まった糸がハーピークイーンをしめつけ、その動きを封じていた。
「な!何よこれ!いつの間に!」
「最初っからずっとやってたっちゅんよー。さすがに地力で負けかねん相手に無策では挑まんっちゅん。
もともとは飛ばした羽根を再利用しようとしてたんだけどっちゅんなー。」
トムホークのユニークスキル「魔力念動」は珍しく反動の小さなスキルではある。mp消費が動かすのにかかるだけという、実に低燃費なスキルではある。
「落ちた羽集めるのめんどくせーっちゅん」みたいな思いから生まれたスキルであるからかもしれないが。
「で?どうするっちゅん?いまのあんたはまな板の上の鯉、いや鶏っちゅんね。いかようにも調理できるっちゅんよ。」
「さっさと殺せばいいじゃない。」
「いやー別にハーピーって排除対象じゃないっちゅんよね。いちいち残党狩りするのもめんどくさいっちゅんし。だからこのまま俺の配下になってくれればいいかなーっちゅん。
あっ、最初は友達からの方がいいっちゅんか?確かにいきなりかもしれないっちゅんけどあんまり我慢のできる方じゃないっちゅんから、そこんとこよろしくっちゅん。」
「は?何言ってるの?
情けをかけられるくらいなら死んだ方がましよ!」
「ふーん、そういう態度っちゅんかー。だったらお前の部下のハーピー達も残らず死ぬことになるっちゅんよ?
基本、殺しはしないスタンスなはずっちゅんからまだ、全員生きてると思うんだけどっちゅんなー。
一族の長としてはどっちが正解なんだろうっちゅんなー。」
この後、ハーピークイーンがトムホークの下につくということで、北の地での戦いは終わる。
そのときに、トムホークの思いが通ったのかはここでは言わないでおこう。
リア充は死ねばいいのに(ボソッ)
ハーピークイーン「一つだけ条件があるわ。」
トムホーク 「なんだっちゅん?なんでも言っ
てくれっちゅん!」
ハーピークイーン「ちゅんちゅん言うの止めて。」
トムホーク 「oh・・・。」
なぜか書いてるうちにトムホークがゲスくなった……。
やってることが弱いものの命を対価に交際を迫るという、ゲスそのもの。
あと、シルバーウルフとかトムホークとかがなんの脈絡もなく強そうになってますがおそらく彼らの出番は今後一切ないであろうため、少しくらい良いとこ作ってあげようとした結果当初の予定より強めになってしまいました。
ユニークスキル抜きでも中級冒険者6人で倒せるか少し怪しくなっているくらいの実力にはなっています。
まあ、スキルとかある時点で目安にしかならないので、だいたいあれくらいのステータスなら、といった形で見てください。




