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Stellacce Twinkle  作者: 橿原るり
第二幕 リマク国編
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第30話 賑やかし

 食器を片付けてそのまま食堂でティカと話していたら扉が開いた。

「あー!知らない人だー」

「以前も来ていましたよ。私も一瞬しか見ていないですが」

「そうだっけ?ボク見てたと思う?」

「それはなんとも……」


 サッフィさんとソフスさんだ。さっきのやりとりといい面倒なことを言われそうな気がする。


「はじめまして!ティカといいます!今日はこちらに泊まらせていただくことになりました」

立ち上がったティカが軽くお辞儀をしてふたりに挨拶をした。

「はじめまして。ソフスです」

「ボク、サッフィ!よろしくね〜。プレンツの友達なの?」

「以前団長が言っていた件の方ですか?」

さすがソフスさん察しがいいな。

「はい。ティカは岩の悪魔の討伐隊なんです」

「あーそんな話してたね団長。もう終わったんだっけ?」

「いえ、まだ始まってもないです」

「そうだったんだ。昨日何処か行くって言ってたからそのことだと思ってた」

サッフィさん全然話聞いてないんだな……。

というか終わっていたらここに泊まらないだろう。

「昨日はその討伐の準備でキエリスさんにマークを作ってもらってたんです」

「かなりの距離だったと思いますがキエリスさん張り切ったようですね」

「はい!キエリスさん張り切ってました!」

両手ガッツポーズで答えるティカ。

「そうでしたか。今日は泊まるんですよね。わからないところがあったら聞いてくださいね」

「はい!ありがとうございます」


サッフィさんとソフスさんがお昼ご飯を取りに向かった。

「私、サッフィさんみたいな亜人のひとはじめてみた。鳥の亜人の人は故郷の方でたまに見たけど」

 シャチの亜人。ぼくもそんなに亜人について詳しくないけどあまり見かけないような気がする。

亜人のひと自体、サンリスタニアではほとんど見かけなかったけどリマクではたまに見かける。

「シャチの亜人らしいよ」

「シャチ?シャチってなに?」

「……なんだろうね。多分サメみたいな生き物だと思う」

ニニギさんがいればきっと必要以上に解説してくれただろうな。

ティカは奥深い山の出身だから知らないのかもしれない。ぼくもよくわかっていない。


ティカの隣にサッフィさんが座った。


「今日はチキンか〜。ミッケのチキン好きなんだよね〜」

「ミッケさんのお料理美味しいですよね!」

ティカが笑顔で答えた。

「サッフィさん。邪魔しちゃダメですよ」

「いえ、ソフスさんも一緒に食べましょう」

 別にティカとの空間を保ちたかったわけじゃない。むしろサッフィさんだけだと不安になる。会話のブレーキとしてのソフスさんなら大歓迎だ。

「いいんですか?」

「もちろんです!」

「もちろんもちろん。じゃがいもの焦げ目がうまー」

「サッフィさんには聞いてません。……ではご一緒に」


 ぼくもご飯を食べながら4人で歓談を楽しんだ。

ほとんどがサッフィさんからティカへの質問攻めだった。

「リマクにも海あるんでしょー?なんでこんなに乾燥してるのー?」

「な、なんででしょうね」

「この前来たときは何してたのー?」

「この前はステラッチェ団長さんに実力を見せてたのと、ここの見学でした」

「この後はどうするのー?」

「特には決めてないですね」

「であればまた舞台の見学をなさったらどうですか?観客席だと今日は危ないですが、舞台袖からだと比較的安全ですよ」


見かねたソフスさんが助け舟を出した。

今日はしゃぼん玉が少ないから観客席にいるより舞台袖の方がいいかもしれない。


「あーさっきもリーホワにプレンツやられてたもんねー。よそ見しちゃ駄目だよプレンツ」

「あ、あはは」

 サッフィさんは舞台にいなかったから見られていないと思ったけどやっぱり全部把握してるんだな。その割には団長の話は全く聞いていなかったようだけど。

「舞台上での喧嘩ですか?」

ティカが顔を覗き込みながら聞いてきた。

顔が近くて少し驚いてしまった。

「団長と話してたときに容赦なく魔法を放ってきて、それを消すタイミングがギリギリだっただけなんだ」

「えー!危ないね。怪我しなかった?」

「うん。大丈夫」


なんとかね……。とはいえリーホワさんのことだからぼくに当たることはなかったと思う。あの人が失敗している姿はほとんど見ない。だから目の前まで電撃が飛んでもギリギリで逸れていただろう。たぶん。きっと。おそらく。


「あー!プレンツがなんか嬉しそうなのってティカのことー!?」

うわ、始まってしまった。

こういう時は冷静に、受け答えればそのような誤解は解ける。

ぼくもこの一ヶ月演劇というものを学んで、振る舞い方次第で見える印象というのが変えられるんだと知った。


「違いますよ。そもそもそんな顔してないです。お腹が減って顔が緩んでいたのかもしれないです」

「えーでも顔赤いよー」

ぼくの顔!赤くなるな!

ティカの方を見た。そっぽ向いて耳を赤くしている。なんか、ほんとにそうみたいじゃないか!


「サッフィさん。揶揄うのはやめましょう」

ソフスさん!そう!サッフィさんを止めて!

ソフスさんは頭がとてもいい。ガルニエの電気設備や薬などにも詳しいと聞いている。つまりとても大人なのだ。大人は余計なことには踏み込まないでそれとなく話を逸らしてくれるものだ。


「気づくのが遅いですよ。」

「「そんなんじゃないです!!」」

ティカとハモった。あっ!と思ってティカを見た。顔が熱くなるのを感じた。つい目を背けた。それすらもティカと同じタイミングだった。ぼくたち何してるんだ。

「これが図星ってやつだね」

顎に親指と人差し指を立てた手を付けて、ちょっと声を低くしてサッフィさんが呟いた。

「よく分かりましたね。あちっ」

コーンスープを飲みながらソフスさんが頷く。


扉が開いた。

リーホワさんだ。

「ふっ」

また鼻で笑われた。

だからなんで。


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