第20話 頼もしき
数日後、食堂にみんなを集めた。
「みんな、練習に入る前に聴いてもらいたいことがあるんだ」
朝ごはんの後にうちの団全員を集めた。舞台に出る人、裏方のジェマやミッケ達も呼んだ。もちろんアメデオも。
「聞いている人もいるかもしれないけど、実はこの国で変な噂があってね。なんでも岩の悪魔と呼ばれる得体の知れないのがいて、それが町や村を襲っているらしい。この国の調査隊も動いたけど消息不明になった。そこで新たに結成された調査隊に私とニニギ、プレンツにアメデオが参加することになったんだ」
あれから討伐隊とも話し合って参加メンバーを決めた。フレンは参加したがっていたけど、能力的に岩の悪魔に通じるか微妙だから今回は断念してもらった。その分舞台の方を頑張ってもらう。
「俺たちだって力になるぜ?訳ありか?」
「ありがとうアヴェラル。訳ありってわけじゃないよ。確かに大人数にしたいところではあるけどその岩の悪魔は洞窟にいるらしくてね。洞窟内がどれほど広いかもわからないから少数精鋭で行くことにしたんだ」
「そうか。必要になったらいつでも借り出してくれ」
「うん。そうするよ」
「ステラッチェ団長様!このオレーナもお力になりますことをお忘れなく!なんなら洞窟の入り口で後方支援いたしますが!」
オレーナは水魔法が得意で他の魔法もとっても上手い。私に近い魔法の万能さを持っているから連れて行きたいと思った。
「ありがとう。だけどね。私がいないからこそオレーナには私の役割をして欲しいんだ。その洞窟まではキエリスに手伝ってもらうんだ。だから私のように色々できるオレーナには残ってもらうよ」
他にも連れて行きたい団員はいるけど、多すぎても洞窟内だと力を発揮できなくなってしまう。
キエリスは副団長として引っ張ってくれるけど血の魔法を持つ人は基本的に血の魔法しか使えない。要するに転移の魔法しか使えない。
魔法を使う演技はできない。もちろん口頭でああだこうだと言えば物分かりのいいうちの団員はわかってくれるけど、百聞は一見にしかず、オレーナがイメージを再現できた方がいいからね。
それに岩の悪魔との戦いで私が無事で帰れる保証はない。相手が本当にヴィラコチャの忘形見ならかなりの強敵だろう。
「さっき言ったメンバーはたまに舞台の練習にいないかもしれないからそのときはいるメンバーで練習してほしい。公演の予定も遅らせるつもりはない。ということでみんなこれからも頼むよ。じゃせっかくみんないるんだしここでやっておこう」
ひょいっと机の上に登る。みんなが見えるように。
みんな、迷惑と不安をかけてごめん。
でも今のうちに手を打っておかないとヴィラコチャの大津波が襲うかもしれない。そうなれば公演どころかこの国すらどうなるかわからない。
それなりの手だれが揃ったこの国の調査隊も敗れた。きっと私達が最後の砦になるだろう。
何もなかったならそれでいい。
この国の人が、安心して舞台をお祭りを楽しめるようにすることが一番大切なんだから。
「みんな!なんで舞台に立つの〜?」
「舞台が好きだからー!!!」
ミッケ達も参加してくれた。いつも舞台上にいるメンバーしかやってなかったから新鮮だったかも。
さて締まったところで動きますか。
「団長ちゃん。その机拭いといてね」
「あ、ごめん」
みんな、机の上には乗っちゃだめだよ。危ないしミッケに怒られるから。
水の魔法で机を洗って風で乾かした。
「あと食器とかも」
はいはい食器ね。
水の魔法で……。
「って!何ついでに色々やらせようとしてるの!」
「いやぁどこまでいけるかなってね」
みんなの笑い声が聞こえる。せっかく締まったのに!
でもうちの団っぽいかな。
みんな、私達がいないときは頼んだよ。




