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鬼畜と叩き込まれていたアメリカ兵は
「捕虜になれば・・・・・
死ぬよりも恐ろしい拷問が待ち構えている・・・
そう 軍からそう言い聞かされてみんな信じてたから
避難してたガマの中では兵隊さんだけじゃなく地元住民の自決も
既に始まっていたんだけれど・・・。」
「どうしても・・・・・
アタシは死んでもいいけれど
どうしても子どものことをアタシは殺せなくて
ガマの中への砲撃が止んだのを見定めてから意を決して
子どもを抱いてガマから出て泣きながらアメリカ兵に懇願したの
『どうか どうかこの子だけは助けてやってください』って
手を合わせて額を地面に擦りつけて
そしたら・・・。」
「日本兵から・・・・・
鬼畜とそう叩き込まれていたアメリカ兵が
『ダイジョウブダイジョウブ』ってカタコトの日本語でそう言って
アタシの背中を大きな手で優しく擦ってくれたんだよ・・・。」
オバアは涙を零しながらそんな話しを僕にした。