198/215
アジュンマの話し XLVI
千葉の慰安所では・・・・・
華北の慰安所ではあり得なかった
地元の金持ちを相手にすることの方が多かった・・・。
だから・・・・・
華北の慰安所に居た頃には
けして人に誇れるような仕事じゃないけど
それでもこんなアタシでも少しはお国の為に
慰安婦のこんなアタシでもお役に立っているんだって
そんな風に そんな風に思えることもあったから
だから 胸を張れるほど自慢はできなくても
それでも顔を上げて生きていられたけど
千葉に移ってからは・・・。
これで・・・・・
これでアタシもただの
ただの売春婦に落ちちまった・・・
自分のことがそんな風に思えてならなかったと
アジュンマは今でも遣り切れない思いを
煙草の煙と一緒に吐きだした・・・。