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アジュンマの話し XLV
アタシのことを・・・・・
モノとしてではなく人として女として
この世に産まれてきて初めて扱ってくれた場所が
あの華北の従軍慰安所だった・・・。
韓国に居たときも・・・・・
そして日本に集団渡航で家族と来てからも
アタシはずっと人というよりもまして女なんかじゃなくて
壊れたらすぐにポイと捨てられてしまうモノみたいな扱いで
だから どこでもそんなモノとおんなじただの働き手は
オマエの代わりなんか幾らでもいるだみたいな
そんなぞんざいな扱いだったけれど・・・。
あそこでは・・・・・
華北のあの従軍慰安所では
姐さんたちはみんないい人ばかりで
兵隊さんたちもアタシに優しくしてくれて
もしかしたらもしかしなくてもあそこにいた時が
アタシは一番しあわせだったのかもしれない・・・。
そんなことをアジュンマが言っていた。