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アジュンマの話し XLIII
戦況っていうのは・・・・・
それこそいきなり変わるんだよ
そしてそれまで居心地の良かった慰安所の空気も
当然のようにして一変するんだよ・・・。
慰安婦は・・・・・
戦況については一切何も聞いてはならない・・・
慰安所ではそういう決まり事になっていたから
だからアタシも誰にも何も聞いたことはないけれど
でもそれでもアタシのとこにやって来る兵隊さんたちの
兵隊さんたちのその顔つきを見ていればわかるよ
何も言わなくてもね・・・。
それまで・・・・・
戦争中だっていうのに
アタシの顔を目にするといつも
軽口を叩いて笑ってた兵隊さんたちがみんな
怖いくらいに強張った顔をしてるのを眼にすると
これはヤバイんだってアタシだってわかったよ・・・。
そう言ってアジュンマは紫煙を吐いた。