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アジュンマの話し XLII
戦争による飢餓で・・・・・
あばらが浮くくらいガリガリに瘦せ細った人たちの姿を
店の棚の上のテレビで見ながら・・・。
華北にいた頃は・・・・・
戦時中だっていうのに なのに
アタシは今よりもずうっと太っていたんだよ・・・
兵隊さんのなかには自分たちに支給された食べ物をないしょで
慰安所にいるアタシらの所に持ってきてくれたりしてたから
だからあそこに居た頃は今よりもずっとコロコロしてて・・・
そう言ってアジュンマは笑った後に直ぐ
顔を曇らせて・・・。
きっと・・・・・
銀の箸を買ってくれた少尉さんも
アタシが初めての女だって言ってた一等兵さんも
いつ来ても添い寝しかしなかった兵長さんも軍曹さんも
アタシらに優しかったあの兵隊さんたちはみんな
きっと きっとみんな死んじゃったんだよね・・・。
アジュンマは暗く沈んだ顔でそう呟いた。