176/215
アジュンマの話し XLI
兵隊さんたちは・・・・・
いつか死ぬかもしれないじゃなくて
もう直死ぬことを覚悟をして
最前線に赴くだよ・・・
でもね・・・。
幾ら・・・・・
死ぬことを覚悟していても
誰だって死ぬのが怖いのは当り前で
普段どんなに強がってる兵隊さんだって
最前線に赴くその前の晩には震えてたりして
そんな兵隊さんにアタシがしてやれる事は
怖くて震えるその身体を朝まで
抱いてやるくらいで・・・。
そうやって・・・・・
最前線に行くのを見送った兵隊さんたちは
一人も それこそ誰一人も戻って来なかったよと
顔を曇らせてアジュンマはそう言うと
煙草の煙を溜息のように吐いた・・・。