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アジュンマの話し XL
軍曹さんが連れて来たのは・・・・・
まだ顔にどこか少年のあどけなさを残している
そんな若い兵隊さんだった・・・。
「コイツは・・・・・
明日ここより北の戦地に赴くことになったんだけど
女を知らねえままそんな所に行かせるのは忍びねえから
今晩一晩オメエはコイツの貸し切りだ よろしくな・・・」
そんなことを軍曹さんは笑いながら言うと
その若い兵隊さんをアタシの元に残して
後ろ手を振りながら出て行ったの
そして・・・。
次の朝早くに・・・・・
その弟みたいに若い兵隊さんは
見送るアタシに気づくと軽く頭を下げて
そして軍曹さんの隊と共に前線へ赴いて行ったんだけど
行ったっきり軍曹さんもあの兵隊さんも戻っては来なかった・・・
そんなことを話したアジュンマの目は
涙ぐんでいた・・・。