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生きて国に帰れたのは正に奇跡です
「私は狙撃兵でした・・・・・
たぶん お若いあなた方の狙撃兵のイメージだと
遠く離れた場所から照準器で対象を見定めて
一発で狙い撃ちするそんな感じでしょうが
第二次世界大戦中の日本軍の狙撃兵は
『特攻』と同じなんです・・・。」
「撤退する部隊から一人残されて・・・・・
身体を枝葉で偽装して樹の上に隠れていて
敵が迫って来たら狙撃するのがそれが任務なのです
だから 狙撃兵は自分の身は助からないのが
それが普通なんです・・・。」
「それに・・・・・
私が渡された狙撃銃は
弾を撃った時のその反動が強くて
続けざまに狙い撃ちなどとても出来ない
光学照準器もついて無い7.7㎜の九九式短小銃で
生きて国に帰れたのは正に奇跡です・・・。」
そう言ってその人は笑った。